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その上で、小雨地域とそれ以遠にいた原告一人ひとりの「黒い雨体験」と健康状態を吟味。証言は具体的で十分信用できる。大雨地域の被爆者と同様に一定の病気を発症していれば援護対象とするべきだ――。こう述べて単純な線引きを否定した判決は、原爆体験の実態に即した審査方法を示したといえるだろう。
さらに注目すべきなのは、原告が放射性物質に汚染された水や農作物を口にしたと訴えたのを受け、雨による外部被曝(ひばく)とは異なる特徴を持つ内部被曝についての「知見を念頭に置く必要」に言及した点だ。国は今回の裁判でも放射線被曝と健康悪化の因果関係の高度な証明を求め、内部被曝の影響も否定したが、これを退けた。
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