「処理水」にも新型コロナ影響 国と地元・福島…一層深まる溝 via 福島民友新聞

東京電力福島第1原発で増え続ける、放射性物質トリチウムを含んだ処理水の扱いを巡り、新型コロナウイルス感染拡大の影響で国と地元の溝が一層深まっている。

2年後とされる処理水の貯蔵タンク容量の限界を見据え、国は今夏にも処分方針を決めたい意向で、今後、県外でも関係者の意見を聞く場を設ける考え。一方、地元は緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大され、事態の収束も見通せない中、国民の関心は高まらないとして、結論を急ぐように映る国の姿勢を危ぶむ。

 ◆◇◇密集のリスク
 対象地域の拡大に先立つ13日、国は福島市と富岡町で関係者から意見を聞く2回目の会合を開いた。座長の松本洋平経済産業副大臣らは感染拡大防止を理由に会場に現れず、東京都内からテレビ会議を使って2会場に集った浜通りの市町村長ら計12人から意見を聞いた。「延期の選択肢はなかったのか。地元に密集のリスクを負わせてまで開いた会合。スケジュールありきだと勘繰ってしまう」。双葉郡のある自治体関係者は苦言を呈した。

東電の保管計画では2022年夏にも貯蔵タンクの容量が満杯になる。仮に海か大気中への処理水の放出が決まった場合、原子力規制委員会の許認可や準備工事に2年程度かかる見込みで、逆算すれば今夏が期限と想定される。報道陣から、感染拡大の中で会合を開いた理由を問われた松本氏は「タンク容量の問題もあり、どこかで一定の結論を得ないといけない状況」と強調した。その発言からは今夏を念頭にした処分方針の決定に向け、意見集約を急ぎたい思惑が透けて見えた。

◇◆◇視聴数伸びず
 会合の様子は国民の関心を高める狙いで動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信されたが視聴回数は23日までに福島市の会場が約800回台、富岡町の会場が600回台と伸びなかった。国の小委員会で処分方法を検討してきた福島大食農学類の小山良太教授は「関心の低さの表れ」と分析した。

(略)

◇◇◆若い世代にも
 また、テレビ会議を使った運営方法について「出席者が(事前にまとめた)意見を述べただけだった。国側の表情も反応も分からず、意見の背景を掘り下げるやりとりもない。アンケートを取るのと変わらない」と疑問視した。国民的な議論を深めるために「少なくとも緊急事態宣言の解除後、各組織の代表だけでなく将来を担う若い世代にも意見を聞く場を設けるべきだ。韓国など諸外国の理解を得る努力も重要」と提言した。

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