Daily Archives: 2020/02/02

裁判官自らが語った「原発停止を決めるまで」その恐るべき苦悩と葛藤 via 現代ビジネス(Yahoo! News Japan)

裁判官。日本の中枢にいる彼らの生態について、私たちはほとんど知らない。彼らは普段、何を考え、何を求め、何に悩んでいるのか――。100人以上の現職、元職に取材し、裁判官の内面に迫った『裁判官も人である 良心と組織の狭間で』を上梓した岩瀬達哉氏が、原発裁判に関わった元裁判官の証言を通して、裁判所という組織の一面を浮き彫りにする。 「。。。」 気になって仕事が手につかなくなり、意を決して恐る恐る廊下を覗いてみると、薄暗い建物の向こうからジャージ姿の男が向かってくる。なおも目を凝らして見ていると、それは民事部の井戸謙一裁判長(部総括。31期)だった。  女性職員は、井戸に言っている。  「幽霊でも出たのかと思ったら、部長だったんですね。びっくりしました」  この日から約2ヵ月後の2006年3月24日、井戸は、稼働中の原発を裁判史上はじめて停止させる判決を言い渡した。任官して27年目、52歳の時だった。東日本大震災によって、東京電力福島第一原子力発電所が過酷事故に見舞われる5年前のことである。  井戸は判決文で、北陸電力が石川県能登半島の中部に設置した志賀原発2号機の安全対策が十分ではなく、同原発を運転してはならないと言い渡した。直下型地震の想定が過少に評価されているうえ、活断層帯における地震規模の評価も適切でなく、想定を超えた地震によって原発に事故が発生し、地域住民が被曝する具体的可能性を指摘したのである。 ほどほどのところで妥協すべきという空気  判決の衝撃は凄まじかった。負けるはずはないと高を括っていた電力会社は大いに慌て、経済産業省(経産省)もまた、傘下の「原子力安全・保安院」に地震対策の改定作業を急がせている。  安全審査の要である「耐震設計審査指針」は、1978年の策定以来、抜本的な見直しがなされておらず、2001年からはじめられた見直し作業も5年にわたり協議は難航していた。  しかしこの判決から半年後には、あっさり改正された。  早急に必要な補強策を整えなければ、他の原発訴訟の審理にも影響がでると怖れたからだ。そして「原子力安全・保安院」は、改正の翌日には早くも、全国58基の原発や再処理工場など62施設を管理する電力会社などに、新基準による耐震安全性の確認をおこなうよう指示を出している。  原発行政に一石を投じることになった井戸は、退官後、好むと好まざるとにかかわらず、原発訴訟の先頭を行くリーダーのひとりに押し上げられていた。福井原発訴訟弁護団長を務める井戸は、滋賀県彦根市の弁護士事務所で当時を振り返った。  「あの時点で、僕は、原発がなかったら日本の社会は成り立たないと思ってましたし、原発訴訟は住民側の全敗でしたから、まあ、同じような判決を書くんだろうなぐらいのイメージだった。でも、いろいろ審理していくと、電力会社の姿勢に危惧される面があった。さすがにこれだけ危険なものを扱うのに、この姿勢ではダメだろう。やる以上は、もっと耐震性を高めてから稼働させるべきというのが、あの判決の趣旨なんです」  政府が国策として進める原発事業の是非を、選挙の洗礼を受けていない裁判官が、わずか3名で判断するのは勇気のいることだ。まして電力の安定供給にかかわる重要政策であり、日本経済に打撃を与えかねない。当時もいまも、ほどほどのところで妥協すべきという空気が、常に裁判所内には蔓延している。  「社会的影響や予想される批判を視野に入れると、重圧と葛藤に苛まれ、身動きがとれなくなってしまう」と井戸は言った。  「だから、法廷の中だけに意識を集中するようにしていました。審理方針は、住民側の疑問に対し、電力会社側に安全であることを立証してもらい、それが出来ないかぎり原発を停止させるというものでした」  「立証責任の転換」と呼ばれるこの判断枠組みは、それまでの原発訴訟では一度も使われたことがなかった。民事訴訟の基本原則は、訴えを起こした住民側が、原発の危険性を証明しなければならないとしているからだ。  しかし膨大なデータを保有する電力会社と争い、住民側がその危険性を立証することは困難を極める。また、住民側の立証が不十分だからと訴えを退けていたのでは、本当のところ、原発の安全性と危険性を見極めることができない。そこで井戸は、原発が安全であり運転しても何ら問題ないということを、電力会社側に立証するよう求めたのである。 公害事件で用いられた枠組み  もともとこれは、高度経済成長期の工場排水や、コンビナートの排ガスなどによって引き起こされた四大公害事件の審理において用いられた判断枠組みであった。  熊本の水俣病、新潟の第二水俣病(阿賀野川水銀汚染)、富山のイタイイタイ病(神通川カドミウム汚染)、そして四日市ぜんそくが大きな社会問題となり、その救済策として生み出されたものである。 […] 当時、公害訴訟の審理方針を模索していた最高裁民事局長兼行政局長で、その後、最高裁長官となる矢口洪一は語っている。 […] 原告が、因果関係を最後まで証明しなければいけないという、今までの理屈からすると、証明は不十分かも知れません。しかし逆に、もうこの辺でいいじゃないかということでいけば、それで十分なんです。同時に、本当にそうではないのなら、『そうではないということを、会社側が言いなさい』と。  『ここは、こういうふうになっていて、俺のところは、こういう浄化装置で、こうしているんだから、俺のところから出たものじゃない』と。そう言えるのなら、言いなさい、と。疫学的方法と立証責任の転換とを使って、やっていこうじゃないかという協議がまとまったわけです」  疫学的方法とは、伝染病などの病原体が不明でも、患者が発生した地域や発生状況の観察から発生源を推定する統計手法である。政府にとって患者救済が喫緊の政治課題であったため、その意向を受ける形で最高裁もまた、これまでになかった立証方針を採用することにしたのである。  この「立証責任の転換」という審理方針は、35年余りの時を経て、井戸によって再び採用されることになった。 足音の正体  北陸電力も政府も、井戸の訴訟方針を軽く見ていたことに、のちのち臍(ほぞ)を噛むことになる。彼らは、電力会社側を負けさせる裁判官がいるとは思わなかっただけでなく、自分たちに原発稼働の決定権があると、いとも簡単に信じ込んでいた。その驕りが、法廷で安全性の立証が足りないと求められても、「もう、主張しません」と述べさせていたのである。  電力会社側の傲慢な態度に内心呆れ返りながら、井戸は審理終結後、左陪席裁判官が起案した判決原案を手元に抱え、幾度となく手を入れ続けた。  「きちんとした事実認定と、そこから導いた合理的な推論にもとづく結論を書けなければ、原発推進勢力だけでなく、裁判所内からもバッシングを受けるのはわかっていた。そんな羽目には陥るまいと心に誓っていたので、年が明けてから判決までの間、家族の住む滋賀県には一度も帰らず仕舞い。 […] 判決文の修正作業は、遅くとも夜9時には切り上げると、官舎近くのスーパーで数種類のつまみを購入してから帰宅。官舎で一杯やるのが唯一の楽しみだったという。ここまで語ったのち、井戸はしばし沈黙し、忸怩たる思いを滲ませながら言った。  「裁判官人生を振り返ってみると、僕なりに日和(ひよ)ってるんですよ」 「変わり者」というレッテル  この時、井戸の脳裏には裁判官の自主的な集まりであった青年法律家協会裁判官部会や、その後継団体である如月会、全国裁判官懇話会のメンバーの顔が浮かんだようだった。  これら最高裁に批判的な団体に集う裁判官を最高裁は嫌い、その中心メンバーは露骨な人事上の差別を受けていた。井戸も如月会や全国裁判官懇話会の活動に携わっていたが、積極的に活動するというより、どちらかと言うと腰が引けていたという。 … Continue reading

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The EU is doing well on green power- as the UK exits via Renew Extra Weekly

February 01, 2020 With Climate Change at the top of the agenda, the EU aims to be the first carbon neutral continent, working towards net zero greenhouse gas emissions by 2050, with a new climate law being enacted soon. That’s taken some fighting for and fiddling, given the opposition from … Continue reading

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US Navy’s Deployment of New “Low-Yield” Nuclear Warhead a Dangerous Step via The Guardian (Portside)

February 1, 2020 Julian Borger  THE GUARDIAN The US has deployed its first low-yield Trident nuclear warhead on a submarine that is currently patrolling the Atlantic Ocean, it has been reported, in what arms control advocates warn is a dangerous step towards … Continue reading

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Matt Canavan announces nuclear waste dump location in South Australia via The Guardian

Farm on Eyre Peninsula volunteered by owner to house low and medium risk waste […] On Saturday the federal resources minister, Matt Canavan, said 160 hectares of the Napandee property in Kimba would host Australia’s radioactive waste, the vast majority … Continue reading

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アングル:メルトダウンから9年、遠い廃炉 福島第一原発は今 via ロイター

Aaron Sheldrick 大熊町 29日 ロイター] – ロイターはこのほど、地震による津波で3基の原子炉がメルトダウン(炉心溶融)した福島第一原子力発電所の独占取材を許された。事故から10年近く、記者がここを訪れるのは4回目だった。 (略) だが、原子炉格納容器内に溶け落ちて固まった燃料デブリは残ったまま。原発周辺は、今も住民が帰還できない。避難指示が解除された町もあるが、戻らない住民もいる。  今回の取材では、汚染水の処理施設に案内された。巨大な穴の中で多核種除去設備(ALPS)と呼ばれる設備が稼働し、高濃度の放射能を含んだ水をろ過している。  <渡された3足の靴下> 記者が初めて福島第一原発を訪れたのは2012年。約20キロ南にあるサッカーのトレーニング施設「Jヴィレッジ」から防護服で身を包み、バスに乗って原発へ向かった。Jヴィレッジはこの3月、聖火リレーの出発点となる。  今回は、2017年に封鎖が解除された富岡町の駅からバンで移動した。原発からは約9キロの距離で、特に何の防護措置もなかった。サッカー場400面ほどの広さがある敷地内の9割以上で放射線量が低く、特別な措置はほとんど必要ないとされている。  それでも、第一原発の取材は容易ではなかった。敷地に入る前に靴と靴下を脱ぐように言われた。線量計、青い靴下3足、軍手、フェイスマスク、綿できたキャップ、ヘルメット、白いベストを渡された。ベストには、線量計などを入れ、通行証が外から見える透明のポケットが付いていた。  記者は3足の靴下をすべて履き、渡されたもの一式を身につけた。ゴム製の長靴も履いた。長靴は足を踏み入れるゾーンごとに違う色のマークが付されており、何度も履き替えた。履き終えたものはポリ袋に入れ、廃棄されるとのことだった。  小さなバスでALPSが稼働する建物に到着すると、デュポン社製タイベックの防護服で全身を固めた。手術で使うようなラテックス手袋を2枚重ね、テープで防護服に固定された。  フルフェイスのマスクも着用したが、そのためにはメガネを外さなければならなかった。マスクをしていると声が聞き取りにくくなるため、大きな声で話すように指示された。 (略) 暗いだけでなく、これだけ多くの機械があるのに驚くほど静かだった。放射線量が上昇し、線量計の警告音は鳴りやまなかった。  東電の担当者は、ALPSで処理をされた透明な水が入った容器を見せてくれた。基準値内まで希釈すれば、放出しても安全だという。  ここで事故処理に携わるのは、廃炉作業も含めて約4000人。その多くは、放射線量の高い区域に入る際に防護装備を着用している。 (略) 原子炉建屋で重要な作業が進む一方で、がれきの一部は汚染がひどく、そのまま放置されるか、放射線量が低減するまで所定の区域に移されている。  一般の服で作業できるエリア「グリーンゾーン」に戻り、我々は身に着けていた装備を外した。1つ1つ、正確な順番で専用の廃棄物入れに捨てていく。最初は手袋、次いでフェイスマスク。その後は別の場所で防護服と靴下を脱いだ。最後に靴下1足を残し、セキュリティラインを通過した。  そして線量計の値を告げられた。20マイクロシーベルト。およそ歯医者で撮影するレントゲン2回分だった。 全文はアングル:メルトダウンから9年、遠い廃炉 福島第一原発は今

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