【パリ=共同】フランス紙ルモンドは三十一日付で、日仏両国が共同研究を進める高速炉実証炉「ASTRID(アストリッド)」について、フランス側が開発計画を停止すると報じた。高コストの研究投資が疑問視されたという。
一方、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)は三十日、声明を発表し、来年以降も研究を継続するため、改定した計画を年内に政府に提案すると表明した。ただ「短・中期的に(アストリッドに当たる)原子炉建設の計画はなく、今世紀後半以前に新世代の原子炉が実現する見通しはもはやない」とも指摘し、計画は事実上中断となる可能性もありそうだ。
ルモンドは「アストリッドは死んだ。資金やエネルギーをもうつぎ込まない」とする関係者のコメントを伝えた。同紙によると、計画を調整していた二十五人のチームは今春で活動を停止した。継続している一部の研究は年末までの計画となっている。
アストリッドはプルトニウムを再利用する核燃料サイクルのための実証炉で、二〇一〇年に設計を開始した。日本は一四年から共同研究に参加。高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉が一六年に決まった後、アストリッド計画を高速炉開発の柱に据えた。
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