東京電力福島第1原発事故の和解仲介手続き(ADR)の決裂を受け、福島県浪江町の町民109人が計約13億1800万円の損害賠償を東電と国に求めた訴訟の第1回口頭弁論が20日、福島地裁で開かれ、東電と国は請求の棄却を求めた。
東電側と国側はともに「原発を襲う津波は予測できなかった」とする従来の主張を繰り返した。町民は地域コミュニティーの喪失を損害と主張するが、東電側は「新たに平穏な日常生活とその基盤を形成することは可能で、必ずしも元に戻らなくなったとはいえない」との見解を示した。
訴えによると、町民は2011年3月11日の東日本大震災と原発事故の発生直後から17年3月まで全町避難を余儀なくされた。町民は(1)コミュニティーの破壊(2)長期の避難生活(3)健康被害への不安-によって精神的苦痛を受けたなどとしている。
訴訟に先立ち、町は13年5月に町民約1万5700人の代理人となって慰謝料増額を東電に求める集団ADRを申し立てた。原子力損害賠償紛争解決センターは月額5万円を上乗せする和解案を提示したが、東電が拒否。[…]
20日は町民115人が追加提訴した。弁護団によると、最終的に1500~2000人が原告に加わる見通し。