「リスクですまされない」東電社長が福島で語った危機感 via 朝日新聞

 東日本大震災から8年を迎えた11日、東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は福島第一原発にいた。いまも事故の後始末に追われる約700人の社員たちを前に、社長は何を語ったのか。
謝罪の次に強調したのは……

午後2時46分。小早川社長は1分間の黙禱(もくとう)を捧げた後、社員に向けて語り始めた。

(略)

陳謝と反省の弁に続き、小早川社長の口から飛び出したのは、厳しい言葉だった。
 「単なるリスクではすまされない事象が多発している」

事故から8年たってもなお、社長が厳しい口調で「安全」を説き続けなければならない事情が、東電にはある。
安全脅かす問題、いまも続々

福島第一原発廃炉作業で、目下の課題の一つがプールからの核燃料の取り出しだ。しかし、3号機では取り出すための装置の電圧の設定ミスや欠陥が見つかり、昨秋に始める予定だった作業は延期が続いている。原子力規制委員会の更田豊志委員長からは「手抜きにすら見える」と酷評された。

昨年11月には、東電柏崎刈羽原発新潟県)の地下トンネルでケーブル火災が起きた。最初に現場に駆けつけた中央制御室運転員と当直長らの間での連絡が不十分で、火元の情報が地元の消防などにうまく伝わらず、批判を浴びた。

昨年11~12月にあった福島第二原発での保安検査では、廃棄物処理建屋で火災や空調故障など4件の問題が起きていたにもかかわらず、報告を受けた本社の担当部署がシステムに登録せず、放置されていた。本来なら原因を突き止め、ほかの原発を含めた予防策を検討する必要があった事案だ。同じような登録漏れは、過去3年間に柏崎刈羽で17件、福島第一で5件、本社内のトラブル報告でも7件あったこともわかった。

(略)

 「改めて東京電力の原点は福島ということをグループ全員で共有したい。安全には終わりがないことを、昨日よりも今日、今日よりも明日と、日々の安全を高めていくことを社員全員で誓いたい」

小早川氏はこう締めくくったが、訓示に込めた「意識改革」が東電に浸透し、それが目に見えるかたちで実行されていかなければ、東電の再建はますます遠のいていく。(桜井林太郎)

全文は「リスクですまされない」東電社長が福島で語った危機感

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