原発、やまぬ逆風 震災後の再稼働9基 “成長戦略”輸出も「総崩れ」via 毎日新聞

東京電力福島第1原発事故から8年。日本の原子力発電を巡る状況は混迷を深めてきた。事故後に国内の17原発54基はすべて停止し、現在、新規制基準に適合して再稼働したのは5原発9基にとどまる。国内で原子力への逆風がやまぬ中、安倍政権が成長戦略の柱に据えてきた原発輸出も「総崩れ」に。電力会社や原子炉メーカーからは再編に向けた動きが出始めている。【袴田貴行、和田憲二】

政府、世論に配慮 新増設・建て替え言及避け
 政府は昨年7月にエネルギー政策の中長期的な指針となる「エネルギー基本計画」を改定。原発を「重要なベースロード(基幹)電源」と位置付けつつ「依存度は可能な限り低減していく」という従来方針を維持した。原発の2030年度の電源に占める比率は20~22%とする目標を掲げる一方、電力業界が求めてきた原発の新増設・建て替え(リプレース)については、厳しい世論に配慮して言及を避けた。

30年度の「20~22%」の達成は原発30基程度の稼働が前提だが、事故後は老朽化した原発の廃炉が続く。新規制基準をクリアするための安全対策費がかさむためだ。昨年10月に東北電力が女川原発1号機、今年2月に九州電力が玄海原発2号機の廃炉をそれぞれ決めるなど、東電を除いても、事故後に廃炉を決めた原発は7原発11基に上る。

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 さらに、政府が旗を振り、原子炉メーカーが進めてきた英国やトルコへの原発輸出計画も、安全対策費の膨張で採算が合わず次々に頓挫している。電力業界からは「再稼働や輸出が進まなければ、いずれ原子力の技術や人材が失われる」(大手電力幹部)との声も漏れる。
苦しむ事業者、再編へ動き

原発を巡る状況が八方塞がりとなる中、電力会社や原子炉メーカーは再編に動かざるを得なくなっている。旗振り役は福島事故後に実質国有化され、再編を志向する経産省の影響を強く受ける東京電力ホールディングス(HD)だ。

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 メーカーの危機感も強い。日立の中西宏明会長は1月、経団連会長としてのインタビューで「お客様(電力会社)が利益を上げられていない商売でベンダー(原子炉メーカー)が利益を上げるのは難しい」と懸念を示した。「事故以降、原子力に関する真っ正面からの議論が不足している」とも述べ、政府が主体となって再稼働に向けた国民的な議論を進めるよう求めた。

背景には、頼みの綱だった原発輸出の頓挫で日立が多額の損失を負うなど「海外事業のリスク」(中堅社員)があらわになり、国内に注力するしかない事情がある。しかし、原発に対する世論が二分する中、安倍政権の腰は定まらない。世耕弘成経産相は「エネルギー政策全般に関し、地道に国民の理解を深める活動を続ける」と述べるにとどめ、中西氏の提案に距離を置いている。

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