旧避難区域の居住率23% 福島、帰郷きっかけ失うvia 日本経済新聞

東京電力福島第1原発事故による国の避難指示が2014年4月以降に解除された福島県の9市町村で、解除地域に住民票がある4万7721人のうち、実際に居住しているのは23.0%の1万1003人にとどまることが7日、各市町村への取材で分かった。

帰還する住民も一定数はいるものの、事故後の8年間で避難先に住まいを構え、古里に戻るきっかけを失った人が多いとみられる。避難解除が遅い地域で居住率が低い傾向があり、買い物や病院、交通などの生活環境の整備が重要課題となっている。

居住者数は1月31日か2月1日の時点で各市町村が集計したもので、避難先から戻った人に加え、原発や復興関連の作業員など転入者も含む。住民票の登録数は18年1月の計約4万9千人から大きく減っていない。

14年4月に最も早く避難解除となった田村市都路地区は81.3%。15~16年に避難指示が大部分で解除された南相馬市は41.4%、楢葉町は52.2%だった。楢葉町は住宅や商業施設などを集めた拠点を整備したことに加え、18年3月末に町外の仮設住宅の無償提供を終了し、居住者が回復したとみられる。

一方、解除の時期が17年春と遅かった浪江町は6.1%、富岡町は9.2%、飯舘村は18.4%と低調。浪江町では今年7月にもスーパー「イオン」が出店する。住民の帰還を促したい町の要請を受けたもので、町はイオンの土地や建物の賃料負担を検討している。

第1原発が立地する双葉町、大熊町は現在も全町避難が続く。今春に大熊町の一部地域が初めて解除されるが、帰還に向けた住民の動きは鈍い。

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