原発事故から間もなく6年 「子ども守る、母親たちに共感」via 東京新聞

2011年3月11日に起きた東日本大震災から間もなく6年。原発事故の被ばくから子どもたちを守ろうとする母親たちの姿を描いたドキュメンタリー映画「小さき声のカノン-選択する人々」の上映会が2月5日、横浜市内で開かれる。主催は、川崎や横浜市、都内在住の母親たちでつくるグループ。上映に先立ち、メンバーらは映画を監督した鎌仲ひとみさんを横浜市内で囲み、東京電力福島第一原発事故について思うことを語り合った。 (山本哲正)

◆川崎・横浜のお母さんの会 鎌仲監督囲み語り合う

 鎌仲 福島第一原発事故で、避難区域外から自主避難した人への住宅の無償提供が打ち切られようとしています。心配です。

 先月、この問題の集会が都内で開かれました。避難した人は「自分は逃げ出した」、また、福島に残った人は「子どものためになる避難をしなかった」と、それぞれが罪悪感を感じていました。

 大住みささん(小学生と未就学の女児二人の母親) 事故当時に住んでいた港北ニュータウン(横浜市都筑区)では、ママ友の多くが避難しました。私も避難を考えましたが、踏み切れず、オーストラリアの友人から「なぜ? 子どものことを思うなら避難しなさい」と言われました。

 林佐登子さん(未就学女児、男児の母親) 自分の子どもの健康を心配しても、周りに話せる人がいませんでした。福島の人たちに比べたら私の不安はささいで、誰にも相談できないのかなって。

 鎌仲 「(被災地で)もっとひどい目に遭っている人たちがいるから、被害の少ない私たちは何も言えない」と考えるのも一つの罪悪感だと思います。でも、何も言わないと被害がないことにされてしまう。

 政府のやることには「福島は大丈夫。避難している人は不安に思っているだけ」というスタンスを感じます。

 林燈子さん(ダンス講師) 人を敵と思わせる、分断させる思惑を感じます。

 杉山敦子さん(大学生男子の母親) 原発は必要と考える友達と話し合ったとき、「これ以上、この話を続けたら友達でいられなくなっちゃう」と言われました。

 林(佐) 上映会のPRなど情報発信をしていて先日、同窓会で話した友達が「えらいよね」と言ってくれました。うれしかったのですが、友達は「そんな巨大なものに立ち向かっても無駄だと、最初から思っちゃう」とも言っていました。

 鎌仲 「でも、できることはあるよ」と「小さき声のカノン」で描いています。味方になってくれる仲間ができていく姿を。

(略)

 この母親たちのグループは、小田急線、田園都市線、ブルーライン(横浜市営地下鉄)、南武線の沿線に暮らす人がメンバー。鉄道の頭文字を取って「おでぶな会」という。政治の問題などを気軽に話し合おうと一昨年、発足した。メンバーは、会員とみなしている承認制フェイスブックの参加者も含めて約五十人。問い合わせはメールで、おでぶな会=odebuna9-kai@yahoo.co.jp=へ。

      ◇

 「小さき声のカノン-選択する人々」の上映会 2月5日午前10時・午後1時半、横浜市青葉区あざみ野1の17の3、アートフォーラムあざみ野。シンガー・ソングライターNUUさんのミニライブや、鎌仲ひとみ監督のトークを予定。大人1000円、中学・高校・大学生500円、小学生以下無料。詳細は、おでぶな会=電090(9840)4181=へ。

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