福島思い「何かしないと」 「自主避難」基金へ支援の医師・山田さん via 東京新聞

二〇一一年三月十一日に起きた東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から、間もなく六年。「毎日福島のことを考え、何かできないかと思っていた」。東京都八王子市で診療所を営む山田真(まこと)さん(75)=西東京市=は、原発事故の避難区域外から避難を強いられた「自主避難者」の支援に、三百万円の私費を投じた。山田さんを動かしたのは、半世紀にわたり社会的に弱い人たちを支え続けた信念だ。 (中山高志)

 「福島で多くの親が子どもの健康を心配しているのに、医師に相手にされず困っている」。原発事故から二カ月後の一一年五月、ボランティアで都内から福島に通う女性から山田さんに電話があった。

 山田さんは当時、原発の危険性を見抜けなかった自分を責め「何かしなくては」と思っていたという。その後、約四年にわたり、福島県内や全国の避難先で無料健康相談会を開いてきた。現在も都内で仲間と続けている。

 支援に奔走する中、「国や東京電力が何もせずにのほほんとしている」と強い憤りを覚える一方、「何もできなかった」とむなしさも感じた。そんな中、自主避難者の住宅無償提供が三月末で打ち切られ、多くの人が困窮する実態を知り、寄付を思い立った。

(略)

十五日、寄付金を基に設立された自主避難者支援基金の抽選会場に足を運んだ。涙を浮かべ感謝する母親たちの姿に「孤立無援で本当に大変なんだ」と実感した。「原発避難者のいじめ問題に象徴されるように、大人が自主避難の人たちのことを正しく理解していない。各地でしっかりと向き合い、何ができるのか考えてほしい」

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