東京電力第1原発事故で福島市から川崎市に自主避難した男子生徒が、以前通っていた中学校でいじめを受けていた問題で、原発被害者を支援する弁護団は19日、横浜市で記者会見し、この生徒を含め少なくとも神奈川県内の9人の子供が、通学先でいじめを受けた経験があると発表した。
避難者が国と東電に損害賠償を求め横浜地裁に提訴した集団訴訟で、原告61世帯が作成した陳述書を精査した。
このうち、事故時から現在までに小中高校生・高専生だった子どもがいる世帯は29世帯あり、うち8世帯の小中学生9人について、同級生や上級生から「福島へ帰れ」などの暴言を吐かれたり、丸めた紙をぶつけられたりするなどのいじめが確認できた。
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弁護団によると、9人はいずれも県内の小中学校で、同級生や上級生からいじめを受けた。「福島へ帰れ」といった暴言や、蹴る、たたく、丸めた紙をぶつけられるといった暴力があったという。
1人は今月川崎市で発覚した男子生徒の例。2012年4月に入学した市立中学で、同級生に「福島県民はバカだ」「近づくな」などと言われ、たたかれたり蹴られたりした。生徒側は学校を通じ話し合いをしたが、相手側が否定し解決しなかったという。また別の1人は、11年4月に入学した横浜市の小学校でいじめを受け、不登校になったという。
この他に弁護団は、大人に対しても福島ナンバーの車が傷つけられたり、「まだいるの」などといった言葉を投げかけられたりするケースが多いとし、「避難者をしっかり支援する体制が国や自治体に必要。事故は収束しておらず、避難が必要な実態を周囲の人たちに理解してもらえたら」と訴えた。
横浜地裁で係争中の訴訟は、14年12月の提訴時の原告は61世帯174人。うち29世帯に子供がいる。(抜粋)