白血病で賠償請求の元原発作業員が呆れる東電の無責任教育 via 女性自身

「3.11の事故までは、原発で働いたことは一度もありません。津波で人や家が流される映像を見て、何か東北の役に立ちたいと思ったんです。そんなとき、社長から『原発の仕事があるから福島に行ってくれないか』と頼まれて。家族には反対されましたけど、引き受けました」

そう話すのは原発事故後、東京電力福島第一原子力発電所などで働き、白血病を発症したとして、厚生労働省から労災認定を受けた北九州市の元原発作業員の男性A氏(42)だ。A氏は去る11月22日、「白血病にかかったのは、原発で働いたことによる被ばくが原因」だとして、東京電力や九州電力に約5,900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。本誌がA氏に単独取材したところ、東電の驚くべき無責任体質が改めて浮き彫りになった。

■デタラメな被ばく管理

A氏は、2011年10月中旬から2013年末まで約500日間、福島第一原発と福島第二原発、さらに九州の玄海原発などで原発内の溶接作業に従事。この間、A氏は記録が残っているだけでも計約20ミリシーベルトの外部被ばくをしている。これは、白血病の労災認定基準である5ミリシーベルトの4倍にあたる高い被ばく量だ。

ただし、「記録されていない被ばくがもっとある」とA氏は言う。というのは原発内での作業中に線量計を持たされなかったり、持っていてもきちんと記録されていないことが度々あったからだ。

(略)

さらにA氏が携帯していたガラスバッジ(個人積算線量計)を確認したところ、被ばく線量が“ゼロ”のままだったこともあったという。こうしたずさんな管理の結果、A氏が福島第二原発で作業していた2011年10月中旬から12年1月中旬までの外部被ばく線量の記録は、“なかったこと”とされ、残されていない。

■ウランは、夢のエネルギー

さらに驚くべきは、東電の作業員のための“教育”だった。A氏がもっとも放射線量が高い福島第一原発内で作業を行ったのは、2012年10月から13年12月末までの約14カ月間。4号機の燃料プールに残された燃料棒を取り除くために、天井クレーンを支えるカバーを設置するなどの作業にあたった。その作業に従事する前の2日間、A氏は仲間とともに東電の教科書を使って講習を受けた。

「ウランのペレット用燃料ひとつに対して、熱換算量はドラム缶200本分もある。だからウランは未来の夢のエネルギーだ、なんていう話を聞かされるんです。被ばくのリスクは一切教えられません。ただ放射線管理者の言うことは必ず聞くこと、勝手な作業はするな、とそれだけです」

(略)

この間、記録されているA氏の外部被ばく線量は、約16ミリシーベルト。途中、九州電力の玄海原発で働いていたときの線量と合わせると、約20ミリシーベルトになる。だがA氏の弁護をしている海渡雄一氏は、こう指摘する。

「体の外側から浴びた外部被ばくは20ミリシーベルトでも、体の中に吸い込んだ内部被ばくは“ない”ということになっているんです。これが問題です」

というのもA氏は原発内で働いている間、内部被ばくを測るホールボディカウンター測定を受けたが、内部被ばくは“ゼロ”という結果になっているというのだ。作業中、半面マスクがずれて外気を吸い込んだこともあったため、内部被ばくがゼロはあり得ないとA氏は言う。

「東電では、2ミリシーベルトに満たない内部被ばくは“影響がない”として記録されないことになっているんです。もちろん、放射線管理手帳にも記録されていません。しかし白血病の労災認定基準が5ミリシーベルトであることを考えると、2ミリシーベルト以下の内部被ばくが重なれば、健康被害につながる可能性は十分あります。2ミリシーベルトに満たないからといって、内部被ばくを“なかった”ことにするのは、明らかにおかしい」(海渡氏)

 全文は白血病で賠償請求の元原発作業員が呆れる東電の無責任教育

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