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野球・ソフトボールの福島開催を巡っては、10月に来日したIOCのバッハ会長が安倍晋三首相と面会した際、復興五輪の理念から、日本の開幕戦などを東日本大震災の被災地で開催することを提案。大会組織委員会は11月上旬、福島県で一部の試合を開催することを決めていた。
フラッカリ会長も当初、福島開催に前向きな姿勢だった。だが複数の関係者によると、11月19日に県営あづま球場(福島市)と開成山野球場(郡山市)を視察し、いわきグリーンスタジアム(いわき市)を含む候補の3球場すべて、内野が土であることや、設備が貧弱なことに難色を示したという。「土のグラウンドでトップレベルの試合をするのは日本ぐらいで、国際標準は内外野ともに芝。福島県内の球場が五輪にふさわしいのか、疑問符がついた」と関係者は明かす。
また、WBSCが横浜以外にもう一つ、首都圏の球場を会場とするよう組織委側に要望していることも分かった。千葉マリンスタジアム、西武ドームが候補という。関係者は「首都圏に2球場あれば、雨天などのリスクを考えても日程は順調に消化でき、芝の問題を解決すれば福島開催も十分にあり得る」とみている。
東京五輪の準備状況を確かめるIOC調整委員会は2日、組織委とこの問題を協議する。組織委幹部は「全体の中で調整している。まずは福島でできるかを精査している」と話している。
東日本大震災の被災地での五輪開催を巡っては、東京都の調査チームがボート・カヌーの長沼ボート場(宮城県登米市)での開催を提案したが、IOCや競技団体の反発もあり、小池百合子都知事が11月29日に断念した。(原田亜紀夫、平井隆介)
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