中国電力が上関町に建設を計画している上関原発を巡り、同町祝島の住民らが県を相手取り、建設予定地の公有水面埋め立て免許の取り消しを求めた訴訟で、山口地裁の桑原直子裁判長らが28日、祝島や建設予定地周辺を視察した。裁判官による現地視察は初めて。進行協議の一環で、原告や弁護士ら計約30人が参加した。
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原告側は「高齢化が進む祝島の集落は、急な斜面に家々が密集し路地も狭い。定期船や漁船だけでは原発の過酷事故の際に避難が難しい」として、「原発の立地は不適切」と主張している。祝島の視察では、島婦人会の前会長で、原告の中村隆子さん(86)が裁判長らに「島には若い人が少なく、避難場所もない。事故になったら放射能を浴びます。私たちを見殺しにしないでください」と訴えた、という。同行した原告の山戸孝さん(39)は視察後に「原発に反対してきた島民の思いが伝わらないはずがない」と語った。弁護団の小島寛司弁護士は「祝島から建設予定地までの距離間などリアリティーが伝わったと思う」と話した。次回口頭弁論は9月1日にあり、今後、原告の本人尋問を実施するのか協議する。【土田暁彦】
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