原発を取り巻く「想定外」脱却に向けたリアルな視点
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現在は規制緩和の議論はあるものの、国立・国定公園では地熱発電の開発は制限されている。火山国の日本にとって「地下の自然ボイラー」である地熱こそ、大きな潜在力を持つ。同じ火山国のニュージーランドでは、地熱発電が発電設備容量全体の約5%を占めている。
休耕田に太陽光発電パネルを敷き詰めれば、発電と農村の経済振興策が一度にできる。
自己目的化する原発再開
一方、廃棄コストなどを勘案すると、原発は実は割高なエネルギー源だ。廃炉にすれば、原発の立地する自治体への補助金等が減って(完全に撤去する まで数十年。その間補助金はあまり減らないのだが)、地方の経済・政治構造が揺らぐ。しかし、原発が海岸に立地していることを利用して、石炭・天然ガス発 電所、あるいは海上輸送を活用した工場に衣替えしていけば、この面での悪影響は限定できる。
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原発は、原爆と切っても切れない関係にある。原発を持っているだけで、核武装能力ありと思われ、核保有国も注意を持って接する。日本の周囲ではロシアだけでなく、中国、北朝鮮が核兵器を保有し、韓国も保有への野心をのぞかせる。
この環境で日本が原発を全廃するには、サウジアラビアがパキスタンと合意しているといわれるような有事の原爆「融通」の約束か、原爆に代わる抑止 力を整備しないといけない。ミサイルを撃破できるだけでなく、日本に核テロを仕掛けようとする国に対しては、同等の被害を与える報復能力も備えなければい けない。他方、核の研究・利用は人類にとって絶対必要なので、量子コンピューター開発、常温核融合技術の開発などで専門家を維持していけばいい。
全文は脱原発に必要な抑止力とは