環境省が8月に発表した市町村除染に関する新方針について、郡山市は11日、従来の除染目標である空間放射線量「毎時0・23マイクロシーベルト」を堅持すると表明した。福島市なども堅持を表明している。環境省の新方針は、各住民が実際に浴びる個人線量の重視を打ち出したが、実現が困難な実態が明らかになった。
環境省の新方針は、郡山や福島、相馬、伊達の4市との勉強会の中間報告としてまとめられた。県内の多くの市町村が、国の長期目標である「個人の追加被曝(ひばく)線量年1ミリシーベルト」を一定の条件で空間線量に換算した0・23マイクロシーベルトを除染目標に掲げている。これに対し環境省は新方針で、個人の被曝線量は行動パターンの違いで差が大きいとし、個人ごとの線量の把握が重要と強調した。
しかし、郡山市議会で11日、市の除染目標をただした橋本憲幸議員(共産)に対し、吉田正美生活環境部長は「今まで同様、市の除染実施計画に基づき、毎時0・23マイクロシーベルトを超える場所を適切に除染する」と回答。「市内全域の追加被曝線量を長期的に1ミリシーベルト(高さ1メートルでの空間線量毎時0・23マイクロシーベルト)未満とすることを目指す」との計画に変更はないとした。
環境省の新方針が実施されない一因は、「個人線量重視」としながら、どこまで除染するかの判断が自治体任せなうえ、除染の現場で測定できる空間線量に置き換えた具体的な数値目標を新方針が示していない点にあるとみられる。ある自治体の担当者は「すでに3年近く除染してきた。途中で目標を変更するのは、住民の自治体に対する信頼や公平感を損なう恐れがある。国が明確な(空間線量の)数値目標を示さない限り変更は難しい」と話す。(増田洋一、大岩ゆり)
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