『報道ステーション』ディレクター自殺で飛びかう原発“謀殺”説の真偽 via LITERA

『報道ステーション』(テレビ朝日系)の報道ディレクターだった岩路真樹氏(49)の“死”が波紋を広げている。岩路氏は8月30日朝、自宅内で遺体となって発見されたのだが、部屋には目張りがされていた上、練炭が使用された跡があり、当初は覚悟の自殺とされた。しかし、次第に岩路氏の“自殺”に疑問符を付ける情報がネットを中心に流れ始める。

「自殺をするようには見えなかった」「理由が見当たらない」「自殺じゃなく謀殺されたんじゃないのか」

こうした情報が流れた理由は岩路氏の手がけてきた取材対象にあった。岩路氏はここ数年福島原発に関連する取材を精力的に行ってきたのだ。

「彼は『報道ステーション』で福島取材を熱心にやっていましたが、特に福島で急増している子どもの甲状腺ガンや、除染の不正問題について突っ込んだ取材をしていたのです。そのため、原発に絡んだ不審死、暗殺説が飛び交ったのです」(週刊誌記者)

ネットでは岩路氏が生前、「俺が死んだら殺されたと思ってくれ」と周囲に話していたとの情報も流れた。岩路氏が原発関連を含め、現在進行中の仕事をいくつも抱えていたことから「自殺ではなく、何らかの原発関連で殺されたのではないか」といった憶測さえ飛び交ったのだ。

(略)

たしかにいくら原発シンジケートが悪辣だとはいっても、今の状況下で大手メディア関係者を“暗殺”するようなことは不可能だろう。しかし、一方でこうした謀略説が飛び交うのも無理からぬ部分はある。少なくとも福島原発のあの事故が起きる前までは、電力会社が反原発運動関係者やジャーナリストに様々な妨害、嫌がらせを行ってきた事実があるからだ。

たとえば『反原発へのいやがらせ全記録』(海渡雄一/明石書店)では、反原発派や運動に取り組む人たちに対し、誹謗中傷や汚物を送りつける、尾行、無言電話などのいやがらせの数々が多くの物証とともに紹介されている。特に戦後の反原発運動をリードしてきた高木仁三郎に対しては、金銭援助の申し込みなど様々な工作を弄し、高木が亡くなった際にも故人を冒涜するような文章が出回ったこともあった。

さらに、今回の噂が現実になったかのような“殺人未遂事件”も起きている。10年ほど前、関西電力が原発反対派の町長の「暗殺」を下請け業者に命じていたという証言があるのだ。この証言が書かれているのは『関西電力「反原発町長」暗殺指令』(斉藤真/宝島社)なる本。証言しているのは、1999年から2007年頃までの間、福井県の高浜原発の警備を請け負い、その暗殺指令を受けたという警備会社の社長と従業員だ。

当時、関西電力内の高浜原発ではプルサーマル導入を進めていたが、これに高浜町の今井理一町長(当時)が強硬に反対。プルサーマル計画は頓挫し、そのまま数年にわたって導入が見送られ続けた。すると、ある時期、関西電力若狭支社(現・原子力事業本部に統合)の副支社長を務めていたKが、この警備会社の従業員のほうに町長の殺害を依頼してきたのだと言う。しかも、具体的な殺害方法まで提案した上で、「はよ、殺さんかい」とくどいくらいに催促してきたという。

だが、結局、彼らは殺人を実行に移す事ができず、彼らの会社は関西電力から警備の仕事をうちきられてしまう。そこで、2年後、2人は「週刊現代」(2008年3月29日号/4月5日号)にこの経緯を告白するのだが、しかし、摘発されたのはK副支社長でなく、告発した彼らのほうだった。立替金の返還をK副支社長に要求した事が恐喝にあたるとして、大阪府警に逮捕されてしまったのである。

にわかには信じがたい話かもしれないが、告発した警備会社社長らはこの事実を認めた関西電力幹部との会話をおさめた録音テープなど、複数の客観的証拠を提示しており、ターゲットになっていた今井町長も自分の暗殺計画があったことを認めている。また、当のK副支社長自身もこの警備会社社長らの裁判で、「高浜町長を襲うという話を冗談で一回話したことがある」と証言しているのだ。

電力会社による“邪魔者”の排除、電力会社の意向に沿わない人間の殺害が、ほんとうに実行されていたかもしれないと思うと背筋が寒くなる。しかも、原発事故前はこうした事実がほとんど報道されることなく闇に葬り去られてきたのだ。

そう考えると、原発問題に熱心に取り組んだテレビプロデューサーの“死”と原子力・電力会社の“闇”とを結びつけたくなるのは無理からぬことかもしれない。しかし、根拠のない謀略論を無自覚に流布させることは、一般の人から荒唐無稽と受け取られ、逆に原発推進を利する結果につながりかねない。

全文は『報道ステーション』ディレクター自殺で飛びかう原発“謀殺”説の真偽

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One Response to 『報道ステーション』ディレクター自殺で飛びかう原発“謀殺”説の真偽 via LITERA

  1. yukimiyamotodepaul says:

    岩路氏の死は、朝日新聞も週刊朝日も報道しませんでした。(他社のジャーナリストであっても自殺した場合、報道したことがあります。)そして「大手メディア関係者を“暗殺”するようなことは不可能」と書いておきながら、町長の暗殺計画に触れているので、この記事には説得力がありません。(今西憲之氏のコメントも自殺を確証するものでも何でもありません。)が、これは矛盾ではなく、他メディアが全く取り上げない中、取り上げるには(報道ステーションのテロップ同様)少しおかしい?と思わせることで注意をひく、精一杯の努力と読むのは穿ち過ぎでしょうか?

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