事故後の自殺を巡り、東電を訴えた初めてのケース。2012年5月の提訴から約2年、夫の渡辺幹夫さん(63)は「東電の責任をはっきりさせたいという思いで続けてきた」と話し、東電側は自殺と原発事故の因果関係の有無や程度を争う姿勢を崩さなかった。判決は8月26日。
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避難後の体重減少や無気力、情緒不安定。振り返れば「おかしい」と思う言動はいくつもあった。でも当時、「病気」だとは考えもせず、裁判になって初めて医師の意見書で「うつ病になっても無理もない状況にあった」と知った。裁判では「避難中に急速に心身の不調をきたし、自殺に追い込まれた」とする原告側に対し、東電側は「因果関係は個人の性格や生活状況を総合的に判断すべきだ」などと主張し、自殺と事故の関係性の有無や程度を争ってきた。途中、裁判所は和解を提案したが、渡辺さんは「責任をあいまいにされては困る」と判決にこだわっていた。
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