東京電力福島第1原発事故を受け、政府が新たに設けた国家戦略室がまとめた「革新的エネルギー・環境戦略」素案が4日、判明した。
六つの「重要戦略」の一つとして原子力を挙げ、「世界最高水準の原子力安全を目指す」など、原発推進路線を堅持する姿勢を鮮明にしたのが特徴。国家戦略相が議長となる「エネルギー・環境会議」を新たに設置し、7月中に戦略の「中間整理」をまとめ、来年中の決定を目指す。
ほかのエネルギー分野と独立して原子力開発の進め方を決める「原子力政策大綱」はこれまで通り策定するが、原案は国家戦略室でつくる方針。原子力政策の大幅修正には踏み込まないため、抜本的なエネルギー、環境政策の見直しにつながらないことを危惧する声が政府内からも出ている。
素案によると、中間整理に盛り込む重要戦略は省エネ、再生可能エネルギー、原子力など六つ。中間整理を基に、年末までに「革新的エネルギー・環境戦略」の基本方針をまとめ、これを踏まえて、国の原子力委員会の「原子力政策大綱」と、総合資源エネルギー調査会が策定する「エネルギー基本計画」の原案を同会議が作成する。
(共同)