3号機の異変は水素爆発ではなかった。福島原発の基本設計を担当した人間は実名でこう語る。「何かもっと重大な事故が起きている。報告されていないか、あるいは正確な事態を把握できていないのかどちらかだ」。実はすでに20人以上が大量被爆、あふれ出す高濃度放射性物質のプール、そして新たな危険が迫る。
データは信用できない「これは・・・驚いたね」
福島第一原発の基本設計を担当した米GE社の元設計士・菊地洋一氏は食い入るように写真を見つめた。
菊地氏は福島第一原発6号機(’79年運転開始)工事の現場監理も務めた、原発建屋建築のプロだ。
「同じ原子炉なのに、壊れ方がほかとまったく違う。3号機だけが熱でグニャグニャに曲がっているでしょう。アメ状に折れ曲がっている。これは、明らかに水素爆発ではありません。何らかの理由で鉄骨を溶かす800度以上の超高熱にさらされ、鉄骨の骨組みが溶けた。水素爆発では、ここまでの事態にはならない。何かもっと重大な事態が起き、それがいまだに報告されていないか、誰も正確に事実を把握していないのでしょう」
続きは『人類史上、初めての体験 溶け出した福島第一原発「第3の恐怖」 東日本大震災「終わりなき闘い」 放射能汚染列島の虚実』から。