デモが起こらない、表面上は静かな都市には何か深い、暗い理由があることが多いと思います。まあどこかには理想郷のような国があって、みんなが笑って暮らしているのかも知れないけれど…。
デモが起こる都市より、デモが起こらない都市の方が怖いです。
東京も割とデモが起こらない都市で、デモの起こるニューヨークやメキシコシティーから帰ると、正直言って不思議というか、中東の王国を訪れた時のような、ちょっとした緊張感がありました。
抗議するべき問題がないからデモがないのか。それともどこかの王国のように、心理的に、システマティックに抑えこまれているのか。何か他の理由があるのか。ひいき目も人情もあって、客観的に見ようとするのは、結構有勇気のいることです。
でも最近は毎週金曜にデモがある、とか聞くと、そうか、東京も「世界標準」に戻ってきているのかな、と感じます。
抗議に慣れていない街なので(昔は凄かったのに。いや1950年代とかではなくて、東京が凄まじかったのは戦前です。相次ぐ革命運動!次々と首相暗殺!…というモノローグは「東京の街が奏でる」でやりました)、不安もあると思いますが、理由はどうあれ、しつこいですが抗議行動が起こるのは世界の大都市では普通です。交通事故という問題を解決した人がいないように、くり返される抗議運動を解決する人もいないでしょう。
体に熱が出るように、社会に抗議は起こります。[...]
今の世界は、どこの国でもアングロ(イギリス)・アメリカ型の人間管理手法をコピペする世界です。日本だけが例外ということはなくて、「説明責任」とか「トリックルダウン」とか、そんな日本語あるの?みたいな言葉が、人間管理手法の輸入とともに、日本語の中に入ってくることに気付いている人も多いと思います。
イギリスは人間管理とか心理誘導の技術にとても長けていて、サッチャー首相の頃、80年代にはTINAと呼ばれる説得論法がありました。
“There Is No Alternative”の略。訳すと「他に方法はない」ということ。「他に方法はあるか?対案を出してみろ!出せないだろう?ならば俺の方法に従え!」という論法の説得術。
しかし、これは変な話です。
医者に通っていてなかなか治らないとします。患者は文句を言います。「まだ痛いんですよ!それどころか、痛みがひどくなってます!他の治療法はないんでしょうか?」と。
それに対して医者が「他の治療法?どんな治療法があるか、案を出してみろ!出せないだろう?なら黙って俺の治療法に従え!」と言ったら、どう思いますか?
[...]
専門家同士が「お前の案は何だよ?」とやり合うのはわかります。お互いに怒り合うのが彼らの職業なのですから。
でもみんなが専門家になるべきでもありません。「何だか知んないけど痛いんだよ!どうにかしてよ!」と訴える人によって医学が進歩したように、ただ生きているのが痛いから抗議をする人は、「世の進歩」の一部を担っていると思うんですが、どうでしょうか。全文は 金曜の東京 via ひふみよ 小沢健二オフィシャルフェブサイト
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