Tag Archives: 樋口英明

<社説>原発避難者訴訟 積み重なる「国の責任」via 東京新聞

福島の原発事故で愛媛に避難した人々が起こした裁判で、高松高裁が国と東京電力の責任を認めた。地震予測の「長期評価」の信頼性を認めた意味は重い。高裁で積み重なった国の責任もまた重い。 東電福島第一原発の事故から避難した人々をめぐる損害賠償訴訟では、すべて東電の責任は認められている。だが、国の責任も同時に認めたものは、地裁レベルでは十七件の判決のうち九件で、判断は真っ二つに割れていた。 高裁レベルでは一件を除き、仙台、東京、高松の三つの高裁が国の責任を明確に示したことになる。最高裁への太い流れができたと、高く評価したい。 判断の分かれ道は、国の地震調査研究推進本部が二〇〇二年に公表した地震活動に関する「長期評価」に対する信頼性だ。三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りで、マグニチュード(M)8クラスの津波地震が起こりうる予想だった。三十年以内の発生確率は20%としていた。 高松高裁は「科学的信頼性がある」として、「長期評価」を重視した。それゆえ経済産業相は予想を基に津波のシミュレーションを行い、福島第一原発に及ぼす影響を検討すべきであった。 当然、敷地高を大幅に上回る津波襲来を認識でき、防潮堤の建設やタービン建屋などへの対策も可能となる。 実際には調査や検討は行われず、国は規制権限を行使しなかった。だから高松高裁は「限度を逸脱して著しく合理性を欠く」と述べ、国の責任を認めた。長期間の避難生活をせざるをえなかった原告に一人当たり百万円の「故郷喪失慰謝料」なども認めた。 […] 今後の同種裁判のみならず、最高裁の判断にも影響を与えよう。強い権限を持つ国は、危うい予兆を示す重要情報があれば、その権限を振るうのは当然だからだ。 しかし、国の「長期評価」を「信頼性に疑いが残る」と指摘した裁判がある。業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の刑事裁判である。一審は三人とも「無罪」で、十一月にも控訴審が始まる。本当に「長期評価」は信頼できないのか、再度、焦点が当たることになろう。 全文

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原発を止めた裁判官が語る、運転停止を判断した恐ろしすぎる理由 via Mag2News

by 新恭(あらたきょう) 以前掲載の「呆れた無罪判決。東電の旧経営陣に刑事責任を科すべき明白な証拠」等の記事で、一貫して日本における原発の危険性を訴え続けてきた、元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは今回、自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、福島第一原発事故後、初めて原発の運転差し止め判決を出した裁判官が語った「衝撃の事実」を記すとともに、原子力発電の復権を目論む安倍政権中枢は、原発の本当の怖さを分かっていないと断定しています。 樋口元裁判長はなぜ原発を止めたのか 福島第一原発の事故が起きてからこのかた、全国各地で提起された原発訴訟で、原発の運転を止める判決を出した裁判長はたった二人である。 そのうちの一人、元福井地裁裁判長、樋口英明氏は、12月1日に兵庫県内で行った講演で、なぜ裁判所が原発に「ノー」を突きつけたか、その理由を理路整然と語った。 (略) 「二つの奇跡」を樋口氏はあげた。それがなかったら、東日本は壊滅状態となり、4,000万人が避難を余儀なくされたかもしれないのだ。 樋口氏は2014年5月21日、関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止めを命じ、2015年4月14日には、関西電力高浜原発3・4号機について再稼働差し止めの仮処分を認める決定を出した。電力会社にとっては“天敵”のような存在だった。 樋口氏は原発について、しっかりと情報を集め、冷静に分析したうえで、確信を持って運転停止の判断をしていた。 まず、福島第一原発が、どれくらいの地震の強さを受けたのかを把握しておこう。800ガルだ。震度でいえば6強。 この揺れで、火力発電所と電線でつながっている鉄塔が折れ、外部電源が遮断された。地下の非常用電源は津波で破壊された。800ガルの地震が原発に及ぼす影響の大きさを記憶しておいていただきたい。 福島第一原発は電源のすべてを失った。稼働中だった1、2、3号機はモーターをまわせなくなって、断水状態となり、蒸気だけが発生し続けた。水の上に顔を出したウラン燃料は溶けて、メルトダウンした。 4号機でも空恐ろしいことが起きていた。定期点検中で、原子炉内にあった548体の燃料すべてが貯蔵プールに移されていたため、合計1,331体もの使用済核燃料が、水素爆発でむき出しになったプールの水に沈んでいた。 使用中の核燃料なら停電すると5時間でメルトダウンするが、使用済み核燃料はエネルギー量が少ないため4、5日かかる。しかし、使用済み核燃料のほうが放射性降下物、いわゆる「死の灰」はずっと多い。もし、4号機の使用済み核燃料が溶融したらどうなるか。 菅首相の要請を受けて、近藤駿介原子力委員長が、コンピューター解析をさせたところ、放射能汚染で強制移住が必要な地域は福島第一原発から170km、任意移住地域は250kmにもおよび、東京都の1,300万人を含め4,000万人を超える人々が避難民になるという、恐怖のシナリオが想定された。 不幸中の幸いというべきか、4号機の燃料貯蔵プールは偶然、大量の水によって守られた。ふだんは無い水がそこに流れ込んできたからだ。 原子炉圧力容器の真上に「原子炉ウェル」という縦穴がある。ちょうど燃料貯蔵プールの隣だ。ふだん、このスペースに水は入っていない。 だが、定期点検中だった事故当時、「シュラウド」と呼ばれる隔壁の交換を水中で行う作業が遅れていたため、原子炉ウェルと隣のピットは大量の水で満たされたままだった。そして、そこから、水が隣の燃料貯蔵プールに流れ込んだのだ。 (略) ふだんは無い水がそこにあり、入るべきではないのに侵入した。おかげで、4号機プールの燃料は冷やされ、最悪の事態は免れたというわけだ。このめったにない偶然。「4号機の奇跡」と樋口氏は言う。 もう一つの「奇跡」は2号機で起きた。2号機はメルトダウンし、格納容器の中が水蒸気でいっぱいになり、圧力が大爆発寸前まで高まった。圧力を抜くためにベントという装置があるが、電源喪失で動かせない。放射能が高すぎて、人も近寄れない。 当時の福島第一原発所長、吉田昌郎氏は、格納容器内の圧力が設計基準の2倍をこえた3月15日の時点で、大爆発を覚悟した。のちに「東日本壊滅が脳裏に浮かんだ」と証言している。 ところが不思議なことに、そういう事態にはならなかった。水蒸気がどこからか抜けていたのだ。 「多分、格納容器の下のほうに弱いところがあったんでしょう。格納容器は本当に丈夫でなければいけない。だけど弱いところがあった。要するに欠陥機だったために、奇跡が起きたんです」 (略) 「二つの奇跡」の話、知っている国民がどれだけいるだろうか。そして、原発の耐震設計基準は、大手住宅メーカーの耐震基準よりはるかに低いことを知っているだろうか。 福島第一原発事故では800ガルの揺れが外部電力の喪失を引き起こした。800ガルといえば先述したように震度6強クラスだ。その程度の地震は日本列島のどこで、いつなんどき起こるかしれない。 2000年以降、震度6強以上を記録した地震をあげてみよう。鳥取県西部:6強宮城県北部:6強能登半島沖:6強新潟県上中越沖:6強岩手県内陸南部:6強東北地方太平洋沖:7長野県・新潟県県境付近:6強静岡県東部:6強宮城県沖:6強熊本:7北海道胆振東部:7山形県沖:6強これだけある。 ガルで表せば、もっとわかりやすい。大阪府北部地震は806ガル、熊本地震は1,740ガル、北海道胆振東部地震は1,796ガルを観測している。 (略) それに対して、原発の耐震設計基準はどうか。大飯原発は当初、405ガルだった。なぜか原発訴訟の判決直前になって、何も変わっていないにもかかわらず、700ガルに上がった。コンピューターシミュレーションで、そういう数値が出たと関電は主張した。 (略) 樋口氏はため息まじりに言った。 「原発は被害がでかいうえ、発生確率がものすごく高い。ふつうの地震でも原発の近くで起これば設計基準をこえてしまう。電力会社は400とか700ガルの耐震設計基準で良しとして、大飯原発の敷地に限っては700ガル以上の地震は来ませんと、強振動予測の地震学者を連れてきて言わせる。信用できないでしょ。“死に至る病”を日本はかかえているんです」 (略) 人の生命や生活のほうが、経済活動の自由より大切であると、日本国憲法を根拠に断定した根底には、「原発は被害がでかいうえ、発生確率がものすごく高い」という樋口氏の認識があった。 「3.11の後、原発を止めたのは私と大津地裁の山本善彦裁判長だけ。二人だけが原発の本当の危険性をわかっていた。ほかの人はわからなかった。それだけのことです」 全文は原発を止めた裁判官が語る、運転停止を判断した恐ろしすぎる理由

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「わたしが大飯原発を止めたわけ」元福井地裁裁判長樋口英明さん講演会

福島原発事故から8年、今だから聞きたいこの話 2019年8月25日(日)

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原発の危険性は誰にでも分かること!だから私は止めた!via 明日に向けて

しかし多くの司法家がまだまだ専門性に縛られている(樋口英明元福井地裁裁判長) 2月23日に行われた樋口英明さんの講演と囲む会でのお話の報告の最後に他の裁判官はなぜ原発を止めようとしないのか、止められないのか、また原告側もしばしば陥っている裁判上のあやまりについて報告したいと思います。これは目から鱗の落ちる内容でした!ぜひ原発をめぐる裁判に関わっている司法家の方にもお読みいただきたいです。 ● たくさんの難しい論点を出すのはダメ! 前2回の連載を通して、原発は耐震性があまりに弱いこと。ハウスメーカーの作る家にはるかに及ばないこと。だから巨大地震ではなく通常の地震でも直下で起こったら簡単に壊れてしまうこと。ゆえにすぐに止めなければならないことをみてきました。にもかかわらず裁判では原発の安全性に関する議論は専門性が高いと誤解されており、裁判官が呪縛されてしまっているのだそうです。いやそればかりか原発を止めようとする原告側弁護団もときにこの呪縛にはまっていると樋口さんは話されました。このため裁判では本来、このシンプルな事実が争点になるべきなのに、原告側もたくさんのことを言いすぎだと樋口さんは指摘されました。 例えば大飯原発差止訴訟では原告側から津波やテロの問題、また原発の構造上の欠陥などが出されたそうです。地震についても上述のような重要な点にはあまり触れずに強振動予測における幾つかの学説が出されたといいます。しかし樋口さんは原発という極めて大きな被害をもたらすものの設計基準に「これ以上の地震は来ません」などと書かれていることが致命的間違いなのだと指摘されました。そもそも強振動予測などの地震学は「三重苦」と言われるのだそうです。「観察できない、実験できない、資料がない」から三重苦なのだとか。そもそも正確に測りだせたのは1995年以降。資料の蓄積すらまだないのです。[…] ● 裁判官に学説論争を提示しても能力を超えてしまう 樋口さんは、そもそも学術論争でいくとたくさんの学者を抱えている国側に勝てるわけがないのだとも語られました。例えば地震学者は地震のことばかり研究している。そして裁判には国や電力会社の味方をしている学者が出てくる。それを一から地震のことを勉強する裁判官がひっくり返すことはあまりにも容易ではない。そもそも裁判官は裁判長と左右の陪審と3人だけですべて判断し判決も書くそうです。他にシンクタンクがいるわけでもない。その点では弁護団とも違う。だから専門性が高ければ能力を超えてしまうのです。 樋口さんは他にも原子炉の中の運転を止める制御棒が地震があったときに2.2秒で入るか入らないかという議論があったことを紹介してこう言われました。「私はそういう議論はやめて欲しいのです。もっとシンプルに危ないかどうかを判断すれば良いのです。なぜ難しい議論をやめて欲しいのかというと、専門性が高いと裁判官の能力を超えてしまうからです。確実に超えますね。」 しかし原発の耐震性があまりに低くて、すでにそれを上回る桁違いの地震が何度も観測されいてるのだからそんな専門性はいらないのです。それで樋口さんはこう述べられました。「こういう話は誰でもわかるでしょう?難しいところなんかない。誰にでも理解でき、誰にでも議論ができ、誰でも確信がもてる。私はこういう考えで訴訟を進めてきて判決を書いたのです」 全文

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【実名公開】高浜原発「止めようとした裁判官」「動かそうとした裁判官」 選んだのは「国民の生命」か「自分の出世」か via 現代ビジネス

動き出した原発が、ある裁判官によって再び停止した。だが、懲りずに再々稼働を目指す者たちがいる。あの大事故の記憶を彼らは失っているのか。もう二度と地震も事故も起きないとなぜ言えるのか。 「原因究明ができていない」 福島第一原発事故から5年の節目を目前に控えた3月9日、大津地裁の山本善彦裁判長(61歳)は高浜原発の3、4号機について運転を差し止める仮処分を決定した。 高浜原発は、3号機が今年の1月から再稼働、2月から営業運転中だったが、4号機は2月26日に再稼働してからわずか3日後の29日、変圧器にトラブルが発生して運転は自動停止していた。 山本氏は、’14年の4月に大津地裁へと着任。その年の11月には、今回と同様に高浜原発3、4号機に関する同様の仮処分申請を受けたが、「原子力 規制委員会が早急に、再稼働を容認するとは考えがたく、今の状況で裁判所が差し止めする必要性はない」と、住民たちの訴えを却下しており、理性的な判断を する裁判官として知られる。 「山口地裁で部総括判事を務めていた’12年の12月には、中国電力の上関原発建設予定地を巡って、反対派住民が強引な手法をとった際には、反対派住民の訴えを棄却していました。原発に対しても極めてフラットに判断する裁判官だと言えます」(全国紙記者) 3月9日に下した決定の中では、関電の主張に一定の合理性を認めた上でなお、重大事故への備えと、福島第一原発事故の原因究明が不十分だと判断した。 (略) ’14年に大飯原発、’15年に高浜原発の再稼働差し止めを決めた福井地裁(当時)の樋口英明裁判長(63歳)だ。福井在住のジャーナリストが、樋口氏を評して言う。 「樋口さんは法律に対して極めて厳格な、昔気質の裁判官というタイプ。仕事に誇りを持っていて、相手が誰であっても信念を曲げない人だという印象です」 国民の生命を最優先に考える裁判官がいることは、安心できる。だが、事態はまだ流動的だ。翌10日、関西電力は原発を停止させる一方、11日以降に仮処分に異議を申し立てる方針を示した。 そもそも高浜原発には、樋口氏の仮処分命令に対して関電から取り消しを求める申し立てがあり、昨年末に同じ福井地裁で仮処分取り消しが決定していた。一度止めると決まった原発を「もう一度動かす」判断を下した裁判官がいたのである。 その判断を下したのが、樋口氏と入れ替わりに福井地裁へ着任した林潤裁判長(46歳)、山口敦士裁判官(39歳)、中村修輔裁判官(37歳)という、法曹界でも超エリートと言われる3名の裁判官だ。 実は、福井地裁にこうしてエリートが揃うのは、異例のこと。元裁判官の現役弁護士が、こう語る。 (略) 前出の、「原発を止めようとした」山本・樋口両裁判官と違い、「動かそうとした」裁判官3人の経歴には共通点がある。それは、全国の裁判所と裁判官の管理、運営、人事までを仕切る最高裁判所事務総局での勤務経験があることだ。 「最高裁事務総局といえば、ゆくゆくは最高裁判事や、全国の裁判官と裁判所職員を含めた人々のトップとなる最高裁長官を狙えるようなエリートが集まるところ。彼ら3名は、全国の裁判官の中でも選り抜きの、いわば『将来を約束された』人々だと言えるでしょう」(明治大学政治経済学部教授の西川伸一氏) (略) 前出の元裁判官も、件の3人は「安倍政権の意向を汲んだ最高裁から送り込まれたのだろう」と推測する。 「いくら独立が保障されているとはいえ、裁判所も上層部に行けば行く ほど政権との接触は増えるため、考え方が政権の意向に沿ったものになる。彼ら3名を含め、事務総局に勤務経験のある裁判官は、そうした阿吽の呼吸を最もよ く心得た人々です。将来の地位を約束されたエリート裁判官だからこそ、『下』を見ず『上』ばかり見た判決を下すことになる」 今回の大津地裁の決定は画期的ではあったが、これを受けても、河合氏は気を緩めてはいない。 「原発を止める決定を出して名古屋家裁に飛ばされた樋口さん同様、山 本さんが飛ばされて、また中央から再稼働推進派の判事を送り込まれ、決定を再度ひっくり返される恐れは十分にあります。高浜原発はいったん止まりますが、 全国的に原発再稼働の流れが強まっている以上、訴訟や係争はまだまだ続くでしょう」 全文は【実名公開】高浜原発「止めようとした裁判官」「動かそうとした裁判官」 選んだのは「国民の生命」か「自分の出世」か

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裁判所は原発ムラの代理人だ! 高浜原発再稼働のために最高裁が“選り抜き裁判官”を福井地裁に送り込んでいた via LITERA

福島第一原発事故から5年。事故当時の東京電力の幹部、勝俣恒久会長、武藤栄副社長、武黒一郎副社長の3人の刑事責任がようやく問われることになった。 といっても、検察が起訴したわけではない。検察はこの3人について2度に渡り不起訴処分という信じがたい決定を下したが、それに対し検察審査会が2度とも「起訴すべき」との議決をした結果、強制起訴になったのだ。 今後は裁判で審理されるが、彼らが刑事罰を受けることになるかというと、残念ながらその確率は低いだろう。本サイトでも何度も指摘したように、政府と原子力ムラと裁判所の間には明らかな“癒着”があるからだ。 それは、この間の高浜原発に関する裁判所の対応を見れば明らかだ。高浜原発については、3月1日、大津地裁(山本善彦裁判長)が3、4号機の運転 差し止めの仮処分を命じる決定を下した。3号機は今年1月29日から、そして4号機は2月26日から再稼働していたが、運転中の原発が裁判所命令で停止し たのは史上初めてのことだ。 だが、高浜原発に関しては、これまで裁判所によって再稼働差し止めと容認が繰り返されてきた。まず、昨年4月14日に福井地裁が高浜原発再稼働差し止めの仮処分を決定した。この際、樋口英明裁判長(当時)は想定を超える地震が各地で起こっていることを挙げて、原子力規制委員会の新基準が「合理性を欠く」と政府の原発政策の根本に異を唱えている。 ところが、その画期的な判決を下した樋口裁判長は、その後名古屋家裁に“左遷”されてしまう。これは懲罰人事であり、今後原発訴訟に関わらせないための追放人事でもあることは明白だった。 そして、樋口裁判長の後任として福井地裁に赴任してきたのが林潤裁判長だった。林裁判長は昨年12月24日に高浜原発3、4号機の再稼働差し止め を覆し、事実上、再稼働を決定。さらに、林裁判長は大飯原発についても周辺住民らが求めていた再稼働差し止めの仮処分の申し立てを却下する決定をした。 (略) 「任官して初の赴任地が東京地裁という点で、人事権を握っている事務総局から、目をかけてもらっていることが窺えます。その上、初任明けと呼ばれる 2ヶ所目の赴任地が事務総局。これは、林裁判官の同期108人の中でも6名しかいません。実際、任官から18年で部総括判事の役職に就くのもかなり早い出 世です」 この最高裁事務総局というのは、裁判所の管理、運営、人事を仕切る部署で、将来は最高裁判官を狙えるようなエリートが集まるところだという。林裁判長は人事権を握る事務総局から目をかけられ、将来を約束された最高裁長官さえ狙えるようなエリートだったのだ。 いや、林裁判長だけではない。昨年12月、林裁判長と一緒に高浜原発再稼働を認めた左右陪席の2人の裁判官、中村修輔裁判官と山口敦士裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。 中村裁判官は一度も遠隔地赴任がなく、東京、横浜、大阪で過ごし、事務総務局総務局付で国会対策などを担当したエリート。 また山口裁判官も大阪高裁や出向で外務省の花形ポジションである国連日本代表部2等書記官の肩書きを持っていたという。 そんなエリート裁判官たちが高浜原発のある福井に赴任し、原発政策に関わる決定に関与した。これは異例のことだ。 (略) ようするに、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。 (略) いや、政府だけではない。本サイトでも以前、指摘したように、裁判所は電力会社や原子力産業とも直接癒着している。これまで数多くの電力会社と住民との訴訟において、電力会社に有利な決定を下した裁判官や司法関係者が原発企業に天下りするなど、原発利権にどっぷりと浸かっているのだ。 全文は裁判所は原発ムラの代理人だ! 高浜原発再稼働のために最高裁が“選り抜き裁判官”を福井地裁に送り込んでいた

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高浜原発差し止め 裁判長を激怒させた関西電力の“禁じ手” via 日刊ゲンダイ

(抜粋) 「福井地裁は(再稼働の可否を決める)原子力規制委の新基準を『ズサンで無効』と判断した。覆すには、判決内容のひとつひとつに具体的に反論する必要があるが、恐らくできないと思う」 差し止め訴訟の弁護団共同代表の河合弘之弁護士は、自信タップリにこう言った。そもそも、この画期的な判決が出るのは時間の問題だった。勝因のひとつは、弁護団の用意周到な戦略だ。 河合弁護士や海渡雄一弁護士はまず、「日本と原発」というドキュメンタリー映画を作成。裁判官とはいえ、原発についてはシロウト。そこで、原発の問題点 を裁判官に分かりやすく説明するために有識者にインタビューし、まとめたのだ。いま、全国で原発の差し止め訴訟が起きているが、この映画が裁判所に提出さ れていて、「伊方原発」運転差し止め訴訟の松山地裁では“異例”の法廷上映会も開かれた。 次に弁護団が着目したのは、昨年5月に大飯原発3、4号機の差し止め訴訟で、運転停止を命じた樋口英明裁判長 (62)だ。樋口裁判長なら原発の問題点を熟知していると判断し、樋口裁判長のいる福井地裁に提訴したのである。焦った関電は激しく抵抗。“禁じ手”を 放ったが、その行為が樋口裁判長の怒りを買ったという。 「樋口裁判長が4月に名古屋家裁に異動することを知った関電は『裁判官忌避』という手段で判決の引き延ばしを図った。裁判長が異動すれば判決も変わると読 んだわけです。しかし、これはめったに使われない禁じ手です。なぜなら、裁判長に『失格』の烙印を押す行為だからです。それを関電側は平気で仕掛けてき た。怒った樋口裁判長は『異動するが、この訴訟だけは俺がやる』と職務代行の手続きを取り、仮処分の決定を出したのです」(司法ジャーナリスト) 全文は高浜原発差し止め 裁判長を激怒させた関西電力の“禁じ手” 

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高浜原発再稼働を差し止め 福井地裁が仮処分決定 via 朝日新聞

 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町、定期検査中)について、福井地裁の樋口英明裁判長は14日、再稼働を差し止める仮処分決定を出した。原発の運転をただちに禁じる司法判断は初めて。2基の原発は当面動かせず、関電がめざす11月の再稼働も難しくなる可能性がある。 […] 住民側は、高浜原発の使用済み核燃料プールは原子炉のように堅固な施設に囲われていないなどとして、その安全性は「確たる根拠がない脆弱(ぜいじゃく)なものだ」と主張。「重大事故が起きれば、生存権を基礎とする住民らの人格権が侵害される」と訴えていた。  一方、関電側は、津波の被害を受けても原子炉の冷却ができるよう発電装置を準備していることなどを挙げ、安全性を強調。「具体的な危険はない」と申し立ての却下を求めていた。  樋口裁判長は昨年5月、関電大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転をめぐる訴訟で差し止めを命じる判決を出した。だが、関電が控訴して判決は確定せず、原子力規制委員会が新規制基準にすべて適合すると判断すれば再稼働できる状態にある。  このため住民らは昨年12月、より法的な即効力がある仮処分の手続きをとり、大飯、高浜両原発の再稼働差し止めを求めて訴えた。樋口裁判長は、再稼働に向けた規制委の審査に今年2月に合格した高浜原発についての判断を先行させる考えを表明。慎重な検討を求める関電側の主張を退け、3月に審理を打ち切っていた。(室矢英樹、太田航) 全文を読む。

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原発時代は終わったのではないか via 日経ビジネスonline

エネルギー政策を揺さぶる5.21大飯判決 5.21衝撃の判決 歴史的な出来事が起こった。2014年5月21日、福井地裁は、関西電力大飯原発3、4号機について、運転してはならない、という命令を下したのであ る。日本のエネルギー政策を根本から揺さぶるほどの大きな判決である。関西電力はこの判決を不服として翌22日に控訴した。しかし、仮に、上級審で判決が 覆ることがあったとしても、かなり時間がかかるだろう。 (略) 危険な原発銀座 大飯原発のある若狭湾は、日本の原発銀座。商用炉だけでも、東から、日本原電の敦賀1、2、関電美浜1、2、3、関電大飯1、2、3、4、関電高浜1、 2、3、4の合計13基。これに、「もんじゅ」(日本原子力研究開発機構の高速増殖炉)を加えると全部で14基に上る。さらには、現在廃炉作業中の「ふげ ん」もある。日本で最大の原発密集地帯である。 この密集地帯は、また、危険地帯でもある。若狭湾は、天正地震の津波で大きな被害が出たことが明らかになっている。しかも、大飯1、2号機と3、4号機 の間をほぼ南北方向に走る破砕帯が活断層である可能性が指摘されたことがある(その後、規制委員会の調査チームにより活断層でないとの判断がなされた)。 (略) 安全性の欠陥は「人権侵害の可能性」 「具体的危険性が万が一でもあれば、差し止めが認められるのは当然」。今回の福井地裁の判決文は、原発慎重派の筆者から見ても、かなり思い切った表現になっていると感じる。だから、推進派の人たちにとっては、衝撃的なものだったはずだ。 福島第一原発事故を踏まえ、樋口英明裁判長は「生存を基礎とする人格権は憲法上の権利であり、法分野において最高の価値を持つ」と述べ、差し止めの判断 基準として「新規制基準への適否ではなく、福島事故のような事態を招く具体的な危険性があるか」を挙げた。新基準とは独立して、司法の判断がなされたこ と、しかも、その根拠を「人権侵害の可能性」としたことが画期的である。 そのため、仮に、規制委員会が「新基準に適合している」と判断した場合でも、それが、そのまま再稼働のお墨付きとはならなくなった。 また、使用済み核燃料を貯蔵するプールについても、樋口裁判長は福島第一原発事故で建屋の壁が吹き飛ぶなどして、周辺住民の避難が計画されたことを指 摘。「使用済み核燃料も原子炉格納容器と同様に堅固な施設によって囲われてこそ初めて万全の措置と言える」と、関電の対応の不十分さを批判した。 この批判は、全国のほとんどの原発に当てはまるので、この判決の影響は、大飯だけではなく、他の多くの原発にも及ぶはずだ。 実際、原発差し止め裁判を支援する弁護士らで作る「脱原発弁護団全国連絡会」は5月22日、「判決は、大飯原発3、4号機に限らず、原発が抱える本質的な危険性を認めた」などとする見解を示した。 (略) 川内も「その次」と目される伊方も「延期やむなし」とのムードが広がっている印象だ。大飯判決の影響は非常に深く幅広い。 さらには、福島事故が収束からほど遠い現実も影を落とす。際限なく増える汚染水は制御されておらず、汚染廃棄物の処分場決定も難航している。国民が福島 の状況に対してある程度の安堵感を持つまでは再稼働への機運は盛り上がらないのではないか。しかも、そういう時期が数年内に訪れるとは考えにくい。 日本の原発の歴史が終わるのか。あるいは、すでに終わっているのかも知れない。 全文は原発時代は終わったのではないか

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【速報】大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文を掲載します via NPJ

  大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨 主文 1  被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。 2  別紙原告目録2記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏外に居住する23名)の請求をいずれも棄却する。 3  訴訟費用は、第2項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。 理由 1 はじめに  ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被 害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公 法、私法を間わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。  個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるというこ とができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を 他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人 格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する 性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。 2 福島原発事故について  福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名が その命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに、原子力委員会委員 長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって、チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同 様の規模に及んでいる。  年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり、どの見解に立つか によってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが、既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、 今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え、住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が 国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず、両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は、放射性物質のもたらす健康被害について楽 観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時 に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断す’ることはできないというべきである。 […] 8 原告らのその余の主張について  原告らは、地震が起きた場合において止めるという機能においても本件原発には欠陥があると主張する等さまざまな要因に よる危険性を主張している。しかし、これらの危険性の主張は選択的な主張と解されるので、その判断の必要はないし、環境権に基づく請求も選択的なものであ るから同請求の可否についても判断する必要はない。  原告らは、上記各諸点に加え、高レベル核廃棄物の処分先が決まっておらず、同廃棄物の危険性が極めて高い上、その危険 性が消えるまでに数万年もの年月を要することからすると、この処分の問題が将来の世代に重いつけを負わせることを差止めの理由としている。幾世代にもわた る後の人々に対する我々世代の責任という道義的にはこれ以上ない重い問題について、現在の国民の法的権利に基づく差止訴訟を担当する裁判所に、この問題を 判断する資格が与えられているかについては疑問があるが、7に説示したところによるとこの判断の必要もないこととなる。 9 被告のその余の主張について  他方、被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の 生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないこ とであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、こ … Continue reading

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