Tag Archives: 原子力規制委員会

福島第一原発でミス相次ぐ 原子力規制委が現場態勢を確認へ via NHK News Web

福島第一原子力発電所で、工事や作業のミスが相次いでいることから、原子力規制委員会は東京電力の現場の態勢に問題がないか確認することになりました。 福島第一原発では、5号機と6号機の送電線の工事をことし6月に行った際、配線を誤り、煙がでるトラブルが起きました。 また、被ばくを防ぐ観点から、放射性物質を管理するエリアには、設置が禁止されている水分補給をする設備が、ことし夏までの、およそ4年間、置かれていたことも分かり、原子力規制委員会は30日、いずれも保安規定違反と認定しました。 このほか、3号機の燃料プールから核燃料を取り出す作業でも装置のトラブルが相次ぎ、スケジュールが遅れていることから、規制委員会では、福島県に常駐している原子力規制庁の検査官から、東京電力の作業態勢に問題がないか報告を受けることになりました。 続きは福島第一原発でミス相次ぐ 原子力規制委が現場態勢を確認へ

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放射能嫌いは「認知バイアス」〜原子力規制委員がメール via OurPlanet-TV

原子力規制委員会の伴信彦委員が今年1月、低線量被曝を心配する市民を見下すようなメールを、国際機関の担当者に送っていたことがわかった。メールで伴氏は、「放射線嫌い」は「認知バイアス」によるもので、論理的な説明は通じないと述べていた。伴氏は2015年9月から、放射線防護の専門家として原子力規制委員に就任している。 問題のメールは今年1月27日、伴氏が、経済協力開発機構(OECD)原子力機構の職員で放射線防護委員会(ICRP)委員でもあるエドワード・ラゾ氏に送ったもの。ラゾ氏は、しきい値がなく、線量に応じて死亡リスクが増加するという「LNTモデル」を採用することによって、放射線防護に多額なコストがかかることを問題視。経済合理性を重視した「reasonableness(合理性)」という新たな被曝防護概念を検討する国際会議を企画し、伴氏に招待メールを送付していた。 […] 全文

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2019年5月29日 方針変更を受けてvia モニタリングポストの継続配置を求める市民の会

モニタリングポストは、福島県に住む人たちが放射線量の変化を知るための大切な装置です。私たちは、原発の廃炉が完了するまで撤去はしないよう求める市民の会です。 今年の3月に出されると言われていた「リアルタイム線量測定システム(モニタリングポスト)の配置の見直しについて」原子力規制委員会は5月29日の定例会合で、当面は存続させると発表しました。 武山松次原子力規制庁監視情報課長からは住民説明会での意見や各自治体から出された意見書等を含めた経緯説明があり・廃炉作業も終わっていないのに、まだまだ時期尚早である・目で見て確認できるモニタリングポストは唯一の科学的な判断材料だ・住民の不安は取り除けていない・原発事故後の対応から市民には国や規制委員会への不信感があるなどの報告がされました。そういった状況を鑑みて、規制庁としては当面は存続でという意見が規制委員会に伝えられました。 昨年の3月20日に、撤去ありきの方針発表がされてから、私たち市民の会では3回に渡る申し入れを行い、住民説明会にも可能な限り参加するなど、規制庁のみなさんとは何度も意見交換を行ってきました。今回の発表を受け、「私たちが住民のみなさんから伺った声を規制委員会に届けます」という約束を守ってくださった武山さんはじめ規制庁のみなさんには、市民の会として、心からの感謝をお伝えしたいと思います。 そして、私たちと共に声をあげ、署名活動にもご協力をいただき、具体的な行動を起こしてくださったみなさんおひとりおひとりに私たちの活動を支えるためにカンパを寄せてくださったみなさんに丁寧な取材を重ねて、発信し続けてくださったメディアのみなさんに市民の安全を守るために自治体としての声を国に届けてくださった福島県、各市町村の担当者のみなさん、自治体首長、議長、議員のみなさんの取り組みに心からの感謝を申し上げます。 ただし、私たちはこの発表をもろ手を挙げて喜ぶわけにはいかず、発表の中で同時に伝えられた「狭い地域に集中的に配置されているモニタリングポストについては、除染土壌の搬出が終わったら、関係市町村の理解を得ながら撤去を進める」といった内容については、懸念を抱いています。 私たちは土壌搬出作業が終わってからではなく、あくまでも廃炉作業が終わるまでの配置を求めており、狭い地域に集中している箇所については撤去ありきではなく、住民説明会の際もあがっていた「配置を求める声」を取り入れてほしいということも、これまで何度も伝えて参りました。「線量の高い場所があり、いつも気になっているので、そこにモニタリングポストを設置してほしい」「いつも見ていたモニタリングポストが突然撤去されてしまった」などという住民の意見は、説明会の記録にも残っていると思いますし、自治体判断だけでは不十分なニーズのくみ取りを、より丁寧に、詳細に行っていくという課題は残っているはずです。 また、定例記者会見で更田豊志原子力規制委員長は、「撤去方針や見解はいまだ変わらず」であること、あくまでも、「実行に移すのは見合わせる」のだということ、「財源については維持できるよう求めていく」ということ話していました。そして、「これは技術的なことや科学的な状況という問題ではなく、心の問題なので、短い期間でどうにかなるものではない」ということも。 廃炉作業については、その準備段階の今ですら、信じられないような初歩的なミスが生じるなど、そのたびに私たちはハラハラしながら過ごしているのです。また、現場で作業するみなさんの労働環境はかなり過酷でありながら、それを訴えることすら困難だという深刻な状況も聞いています。こういった不安定な実態、長期的な問題を抱えながら、心の問題、受け止め方の問題だとする更田委員長の発言については、何を根拠にその自信が持てるのか・・といった不信感が更に強まったというのも正直な感想です。 今回の発表を受け、私たちの歩みはまだまだ続くな・・・とも思いますが、ひとまず喜び合うのも時には大事なこと。みなさんのはたらき、声を高めることによる成果の大きさを称えさせていただきたいと思います! みなさん、ありがとうございました♡引き続き、邁進いたしましょう~!! 原文

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福島の放射線監視、存続は年単位 規制委員長が認識示す via 沖縄タイムス

原子力規制委員会が東京電力福島第1原発事故の後に福島県内に設置された放射線監視装置(モニタリングポスト)を当面は存続させる方針を決めたことについて、規制委の更田豊志委員長は29日の記者会見で「(住民の)心の問題が大きく関わっており、短期間で状況が変わるとは考えにくい。存続は年単位になる」との認識を示した。 規制委は、放射線量が低く安定しているとして、県内の約3千台のうち、約2400台を2020年度末までに撤去する方針だったが、住民説明会で反対意見が相次ぎ、29日に方針転換した 続きは福島の放射線監視、存続は年単位 規制委員長が認識示す

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伊方原発廃棄物や避難に不安の声 愛媛県などの周辺自治体 via 福井新聞

原子力規制委員会は13日、四国電力伊方原発のある愛媛県で、原発周辺自治体の首長らとの意見交換会を開いた。首長からは、廃炉で発生する低レベル放射性廃棄物の処分場がないことや、事故時の避難対応などで疑問や不安の声が出た。 (略) 愛媛県の中村時広知事は、放射性廃棄物について「最終処分が見えず、不安が払拭できない」と指摘。処分場の確保に向けた国の対応を求めた。 更田豊志委員長は「電力会社による、処分場所を見つける努力が何より(重要なこと)だ」などと応じた。 全文は伊方原発廃棄物や避難に不安の声 愛媛県などの周辺自治体

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「リスクですまされない」東電社長が福島で語った危機感 via 朝日新聞

 東日本大震災から8年を迎えた11日、東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は福島第一原発にいた。いまも事故の後始末に追われる約700人の社員たちを前に、社長は何を語ったのか。謝罪の次に強調したのは…… 午後2時46分。小早川社長は1分間の黙禱(もくとう)を捧げた後、社員に向けて語り始めた。 (略) 陳謝と反省の弁に続き、小早川社長の口から飛び出したのは、厳しい言葉だった。 「単なるリスクではすまされない事象が多発している」 事故から8年たってもなお、社長が厳しい口調で「安全」を説き続けなければならない事情が、東電にはある。安全脅かす問題、いまも続々 福島第一原発の廃炉作業で、目下の課題の一つがプールからの核燃料の取り出しだ。しかし、3号機では取り出すための装置の電圧の設定ミスや欠陥が見つかり、昨秋に始める予定だった作業は延期が続いている。原子力規制委員会の更田豊志委員長からは「手抜きにすら見える」と酷評された。 昨年11月には、東電柏崎刈羽原発(新潟県)の地下トンネルでケーブル火災が起きた。最初に現場に駆けつけた中央制御室運転員と当直長らの間での連絡が不十分で、火元の情報が地元の消防などにうまく伝わらず、批判を浴びた。 昨年11~12月にあった福島第二原発での保安検査では、廃棄物処理建屋で火災や空調故障など4件の問題が起きていたにもかかわらず、報告を受けた本社の担当部署がシステムに登録せず、放置されていた。本来なら原因を突き止め、ほかの原発を含めた予防策を検討する必要があった事案だ。同じような登録漏れは、過去3年間に柏崎刈羽で17件、福島第一で5件、本社内のトラブル報告でも7件あったこともわかった。 (略)  「改めて東京電力の原点は福島ということをグループ全員で共有したい。安全には終わりがないことを、昨日よりも今日、今日よりも明日と、日々の安全を高めていくことを社員全員で誓いたい」 小早川氏はこう締めくくったが、訓示に込めた「意識改革」が東電に浸透し、それが目に見えるかたちで実行されていかなければ、東電の再建はますます遠のいていく。(桜井林太郎) 全文は「リスクですまされない」東電社長が福島で語った危機感

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原発の火災報告、東電放置「期限が明文化されていない」 via 朝日新聞

東京電力の柏崎刈羽(新潟県)、福島第一、福島第二(いずれも福島県)の3原発で起きた火災などのトラブルについて、東電本社が原発側からの報告を放置し、予防策を検討していなかったことが原子力規制委員会の検査でわかった。規制委は13日、保安規定違反があったとして、詳しく調べる方針を決めた。 […] 規制委によると、昨年11~12月に実施した福島第二の保安検査で、1、2号機の廃棄物処理建屋であった火災や2号機の空調故障など4件について、報告を受けた本社の担当部署がシステムに登録せず、放置していたことが判明。同じような登録漏れは、過去3年間に柏崎刈羽で17件、福島第一で5件、本社内のトラブル報告でも7件あった。来月の検査で放置した詳しい原因を調べ、保安規定違反の重さを判断するという。 東電は「処理する期限が明文化されておらず、先延ばしにした」と説明している。(小川裕介)   全文

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原発の火山対策、手探りの規制委 関電3原発で via 日本経済新聞

原子力規制委員会が原子力発電所の火山対策で手探りを続けている。再稼働した原発について影響評価をやり直すよう初めて求めたほか、独自の調査研究にも乗り出した。火山噴火は不確かな部分が多く、効果的な審査のあり方を模索する。 「前提条件に有意な変更が生じる可能性がある」。2018年12月、規制委は福井県にある関西電力の大飯、高浜、美浜の3原発について、約200キロ離れた大山火山(鳥取県)の噴火で降り積もる火山灰の影響評価をやり直すよう命令した。3原発は審査に合格し4基が再稼働済みだが、噴火に関する新たな研究成果が報告されたため。合格した原発で影響評価をやり直す「バックフィット」は初めてだ。 火山対策は東京電力福島第1原発事故後に施行した新規制基準で初めて導入された。審査は規制委の「火山影響評価ガイド」に基づき活火山の火砕流や溶岩流が到達する可能性が十分に小さくなければ稼働を認めない。評価のやり直しは想定されていたが、再稼働した原発で繰り返されれば審査の信頼性にかかわる。 (略) 今後焦点となるのが、破局的噴火の扱いだ。火山灰など噴出物の量が極めて大規模で広範囲に壊滅的な被害を受ける。だが発生頻度が1万年に1回程度と極端に低く、未解明の面が多い。 このため規制委は独自の調査に乗り出す。19年度から破局的噴火を起こした北海道の洞爺カルデラや鹿児島湾の姶良(あいら)カルデラなど5つの火山で地質や岩石を調査する。姶良カルデラでは21年度にも海底に地震計などを設置し研究目的の観測も始める方針だ。 カルデラの多くは海や湖の底に沈んでおり、世界的に観測の事例がほとんどない。規制委はイタリアの国立研究所がナポリ近郊の海底で常時観測する手法を参考に鹿児島湾での観測に適した装置などを検討する。規制委の担当者は「まだ有用なデータが得られるかも分からない」と話す。 破局的噴火は原発の再稼働を巡る裁判で争点にもなった。広島高裁は17年、四国電力伊方原発(愛媛県)に阿蘇カルデラ(熊本県)の火砕流が到達する恐れがあるとし運転差し止めを命じた。同高裁は18年の異議審で決定を取り消したが、規制委の火山ガイドについて「噴火の時期や規模を相当程度の正確さで予測できることを前提としており不合理」と批判した。 (略) 規制委は原発周辺の火山で巨大噴火の兆候があった場合、原発の停止などの命令も想定して専門部会で議論も重ねる。 日本は世界でも有数の火山大国だ。新規制基準ができてから5年半が過ぎ、火山対策の議論は新たな局面を迎えつつある。(越川智瑛) 全文は原発の火山対策、手探りの規制委 関電3原発で

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再燃するトリチウム水問題 主体性なき東電に批判も via 産経ニュース

    「仮に、海に放出しないという決定がなされた場合、東電はどうするつもりなのか」。東京電力福島第1原発でたまり続けるトリチウム水について、5月18日に開かれた廃炉検討会で、「海洋放出が唯一の手段」とする原子力規制委員会から東電に厳しい問いが投げかけられた。処理方法について結論を出せない国の小委員会と、主体性を見せない東電。タンクの増設限界が迫る中、事態は膠着(こうちゃく)したままだ。 (社会部編集委員 鵜野光博) 「国の判断に従う」東電 汚染水処理装置でトリチウム以外を除去した処理水は、第1原発に現時点で約87万トンたまっており、タンクの容量(91万トン)に迫っている。処理方法を検討する資源エネルギー庁は、地層注入▽海洋放出▽水蒸気放出▽水素放出▽地下埋設-の5つに絞り込み、平成28年11月からは、社会学者を入れた小委員会で風評被害対策を含めて検討が重ねられているが、結論が出る時期は見通せない。 規制委の更田(ふけた)豊志委員長は「希釈しての海洋放出が現実的に取り得る唯一の手段」としており、放出を決めてから実行までの準備に数年を要するため、年内の決断を求めている。 18日の検討会で、規制委の山形浩史・緊急事態対策監は、こう切り込んだ。「仮に小委で『放出しない』という決定がなされた場合、東電はどうするつもりなのか」。 「小委で検討をいただき、それを踏まえて国の方で判断されることになっている。われわれとしてはそれに従う」と、東電の廃炉・汚染水対策責任者を務める小野明氏。 山形氏は「小委でずっと結論が出ない状況になった場合、どうされるのか。小委は有識者の集まっている場で、意思決定の場ではない。東電は小委で結論が得られると思っているのか。『従う』という言葉を使ったが、当事者の東電が『こうさせてください』というのが筋なのではないか」と迫った。 「半年間、何をしたのか」 これに対し、小野氏は「処分の方針は、国が責任をもって決定すると公式に表明されている。当社としても決定を受けて、国と一体となって対策を進めていく」と同じ答えを繰り返した。 山形氏は更に、現状のタンクの安全性にも言及し、「1000基弱のタンクを長期間置いておくと何があるか分からない。仮に環境中に漏洩(ろうえい)したらどうなるのか」と追及。「科学的、技術的に大きな問題ではないことは分かっているが、風評被害は出るし、経済的被害が出るかもしれない。誰が責任を取るのか。東電か、エネ庁か、NDF(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)なのか分からないが、責任を取る覚悟はあるんですよね」[…]       全文

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古賀茂明「『放射性物質を海に流す』安倍政権の方針は7年前から決まっていた」via Aera.dot

8月30日と31日、「トリチウム」という放射性物質を含む水の処分をめぐり、国の有識者会議は初めての公聴会を福島県富岡町、郡山市と東京都で開催した。トリチウムは、水の一部として存在しているため、他の放射性物質とは異なり、現在の放射性物質除去システムでは取り除くことが難しく、処理された水の中に残されてしまう。そのため、最終的にこのトリチウムを含む水をどう処分するかということが、何年も前から課題とされていた。 […] 実は、この方針は、事故直後から経済産業省の中では既定方針だったと見られる。専門家の間では、2011年4月頃から、汚染水の大量漏出の危険性が指摘されていた。10万トン級のタンカーを原発近くに停泊させてそこに高濃度の汚染水を貯留するというアイデアまで提案されていたくらいだ。それくらい緊急性があると考えられていたことになる。 私が最も信頼する原子力発電専門家である佐藤暁氏は、亡くなった吉田昌郎元福島第一原発所長に事故直後からいろいろと相談を受けていたそうだが、その中でも、吉田氏は汚染された冷却水の処理方法がないことを心配し、水冷式以外の方法を一緒に考えて欲しいと依頼していたそうだ。 つまり、原発専門家にとっては、汚染水処理問題は最優先だとすぐにわかる課題だったのだ。 一方、事故直後に経産省が最優先にしたのは、「東電を破たんさせない」ということだった。このため、全ての対策は、東電が破たんしない範囲でのコスト負担を上限とするという被災者無視の不文律が支配することとなった。 それが最も端的に表れたのが、汚染水対策だ。原子炉に注入される冷却水は高濃度汚染水となる。さらに、これに地下水が流入し、大量の汚染水が毎日数百トン単位で発生する。そこで、汚染水から放射性物質を除去するシステムが導入されるとともに、流れ込む地下水を遮断して、少しでも海に流れ出る汚染水の量を減らす対策が急務となった。 […] 初めて実施する大規模な凍土壁の建設だから、リスクが大きすぎて民間企業(東電)にやらせるのは無理だという理由で、国が資金を出すことになった。もちろん、国民の税金である。これがコンクリート壁だと、普通の工事だから、東電が出せとなるということになり、東電の財務に負担がかかるという事情があったのだ。しかし、当初からこの凍土壁では大きな効果が見込めないというのが大方の予想であった。 それでもこの方法にこだわったのは、東電の財務事情の他にもう一つ理由があった。それは、放射性物質は、どうせ海に流すしかないという経産省の確信犯的意思があったということである。なるべく金を出さずに、静かに海に流せばいい。海は大きい。薄まればどうということはない。そう考えたのである。その後、経産省の考え方に沿って、大量の汚染水が垂れ流されることになった。 この考え方は、2012年にできた原子力規制委員会にも引き継がれる。規制委の本来の業務は、まず、福島第一原発の事故後の処理であるはずだった。原発の安全を確保し、国民の生命健康を守るという使命から言えば、汚染水垂れ流しという深刻な安全・環境問題の処理を最優先にすべきであるのにもかかわらず、規制委は、この問題に目をつぶり、原発再稼働のための基準作りだけに猛進するのである。これは、当時の民主党野田内閣の方針でもあった。 そして、汚染水の問題が再び脚光を浴びたのは、13年夏になってからだった。大量の汚染された地下水が垂れ流しになっていたという事実が(専門家のほとんどはそうであることはわかっていたが)7月22日に東電によって正式に発表されたのだ。それまでも汚染水タンクからの漏出や取水口付近の放射能汚染などの「事象」はたびたび報じられていたが、地下水が漏れ出ているのを正式に認めたのは初めてだった。 後に判明したのだが、実は、この事実は、東電上層部はもっと早い段階で知っていたが、発表を当日まで延期した。その理由は、前日の7月21日が参議院選挙の投票日だったからだ。もちろん、安倍政権への「忖度」あるいは、政権からの指示があったことは明白である。 […] ブエノスアイレスで開催されたIOC総会で東京オリンピック・パラリンピック開催が決まったのは、この汚染水騒動が少し収まった13年9月7日だ。当然のことながら、IOCでは、東京の放射能汚染を懸念する声が上がった。 […] 福島では、事故後長期にわたり操業が停止されていたが、その後は徐々に操業が認められ、試験操業とはいえ、厳格な検査を経て、現在では一部の魚種では築地にまで出荷されるに至っている。その努力が一瞬にして水泡に帰し、また一からやり直しだと考えれば、理解を得るのはほとんど無理だと考えるべきだろう。 もちろん、そんなことは経産省も規制委もよくわかっている。ここから先は、いつもの作戦を展開することはもう決めているはずだ。 すなわち、当分は、ただ、ひたすら話を聞くふりをする。一方で、「風評被害対策」という名目で金をバラまく姿勢を見せ、もらえるならまあ仕方ないという漁業者を一人二人と増やして行く。そのうえで、どこかで有無を言わさず、「海洋放出」を「決定」し、あとは、何を言われようが絶対にそれを動かすことはない。 […] 福島県の内堀雅雄知事は8月20日の定例記者会見で「国や東電に対しては環境や風評への影響などについて、しっかりと議論を進めて丁寧に説明し、慎重に対応していくことを求めたい」と語ったそうだ。官僚経験者の私に通訳しろと言われれば、「海洋放出反対とは言ってませんよ。『風評への影響』対策で、地元を黙らせるくらい十分なお金をはずんでくださいね」という意味になる。 […]         全文

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