【汚染土壌の再利用】所沢や新宿での実証事業計画巡り市民らが環境省と意見交換 「福島県外での最終処分・再生利用の第一歩」繰り返す官僚に怒り噴出 via 民の声新聞

  • 2022/12/29

福島第一原発事故後の除染で生じた8000Bq/kg以下の汚染土壌を福島県の中間貯蔵施設から埼玉県所沢市(環境調査研修所)と東京都新宿区(新宿御苑)に運び込み、覆土して安全性をアピールする実証事業計画を巡り、市民と環境省官僚との意見交換が27日午後、東京・永田町の参議院議員会館で行われた。環境再生事業担当参事官室から2人の官僚が参加。90分超に及んだが、「福島県外最終処分に向けた第一歩」、「安全性は確認できている。ご理解を」などと繰り返すばかりで、会場からは怒りの声が噴出した。国際環境NGO「FoE Japan」の主催。

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「福島県内の除去土壌を中間貯蔵施設に搬入してから30年以内に県外で最終処分をすると法律で義務付けられている。そこに向け、再生利用・最終処分を進める一歩として福島県外において実証事業をするということが重要。除去土壌の安全性や、30年以内に福島県外で最終処分をすることに関してご理解いただく」
 「工事が終わった後などに見学していただき、理解醸成につなげたいとも考えている。県外最終処分が義務付けられているので、そこに向けてご理解いただく」
 切川参事官補佐はまた、「地元のみなさんのご理解のためにも情報公開をしっかりとやっていきたい」とも述べた。しかし、環境省内で作成中という「住民説明会議事録」の公開については、「持ち帰って検討したい」と述べるにとどまった。住民説明会のオンライン開催についても「オンラインで誰でも視聴可能な状況にすると話しにくいと感じる方もいらっしゃるのではないかと考えた」と消極的。挙げ句の果てには、地域住民の同意は不要なのだという。
 「住民説明会の質疑応答のなかで、(新井田浩)参事官が『同意ではなく理解を得たいんだ』という説明をしたのは事実。まずは理解を得たいということで取り組んでいるが、同意がいらない理由は答えられないので持ち帰りたい」

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国際環境NGO「FoE Japan」理事で事務局長の満田夏花さんは、意見交換に先立って開かれた集会で「放射性物質は集中管理が原則。当たり前のことだ」と環境省の姿勢を批判した

【「所沢や新宿だけの問題じゃない」】
 意見交換に先立って開かれた集会には、埼玉県所沢市から宇野知佐子さんも参加。環境調査研修所で計画されている実証事業を知ったのは6日の報道だという。
 「私自身はそのニュースを観ていなかったのですが、福島の武藤類子さんから『大変!福島の汚染土が所沢に!』という短いメールが届き、驚きました」
 13日夜に急きょ、市民が集まって話し合い、チラシを作るなど対応に追われた。16日夜に行われた住民説明会では約50人が会場前に集まり、プラカードを掲げるなどして抗議の声をあげた。「テレビカメラのライトがないと真っ暗ななかで声をあげました」。 
 住民説明会に参加した町内会長は、参加できない住民から事前に意見を聴き取ったという。それを元に当日は質問をぶつけたが「環境省からはまともな返事はなかった」。今後、反対署名を集める一方、市長リコールも辞さないと話しているという。
 「実証事業が計画されている地域だけの問題ではない。全国の皆さんと手をつないでがんばっていきたい」
 福島からは、二本松市から「みんなでつくる二本松・市政の会」事務局の鈴木久之さんがリモート参加した。
 「環境省は『汚染された土壌を分別して、資源として管理できる場所で使う』と説明した。しかし、汚染された土壌であることには変わりない。すり替えだ」
 二本松市内では、道路の路床材に汚染土壌を再利用する計画が浮上。住民から「道路に埋め込んで安全なのか」、「放射性物質が流れ出す危険性はないのか」など反対の声があがり、計画が白紙撤回された経緯がある。反対署名は8000筆を超えた。
 鈴木さんは「二本松は避難指示区域外。避難指示が出なかった地域でやったから全国でやっても大丈夫、という〝悪いたたき台〟にされては困るという想いが私たちにはあった。市議会にも知らされず、まさに寝耳に水だった。環境省は『地域住民の了承を得られた』と言っていたが、対象となる21世帯のうちわずか9世帯が出席した説明会で異論が出なかったから了承されたというのが実態。怒りにしかならない決め方だった」と改めて怒りを口にした。「環境省が環境破壊省ではいけないんだ」。
 鈴木さんはある意味、汚染土壌を県外に送り出す側。しかし、県外再利用は容認できないという。
 「やむを得ないという立場には決してならない。まずは計画を撤回し、国民的英知を結集して最終処分に向けた合意形成をするべきだ所沢や新宿だけの問題ではない。一緒に力を合わせたい」

(了)

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