東電ミスで排気筒解体を延期 福島第一、クレーン届かず via 朝日新聞

政府と東京電力は30日、福島第一原発で、倒壊リスクのある1、2号機の排気筒の解体について、今月開始予定だった工事を2カ月延期すると明らかにした。作業用のクレーンの構造の確認を怠ったといい、汚染水対策をはじめ、今後の様々な作業にも影響が出るおそれがある。

高さ120メートルの排気筒は8年前の原発事故で外部に放射性物質を含む水蒸気を放出する「ベント(排気)」に使われた。損傷が見つかったが、周辺の線量が高く、放置されてきた。

東電は倒壊や、部品の落下を防ぐため上半分の撤去工事を20日に始める予定だった。だが直前になって、クレーンが解体のための作業用装置を計画より1・6メートル低くしかつり上げられず、排気筒の上部に届かないことが判明した。

東電は、ミスの原因を当初「計器の誤差と考えられる」と説明していたが、その後「クレーンのワイヤの巻き上げ過ぎを防ぐ安全装置の場所を、実際より高い位置にあると思い込んで計画していた。ワイヤは計画した高さまで巻き上げられなかった」と変更した。実際のクレーンの詳しい設計図を確認せず、一般的なクレーンの構造をもとに計画書を作ったためという。

(略)

 福島第一原発では、3号機の使用済み燃料プールにある核燃料の取り出し作業でも昨年の試運転中からミスが頻発。今月も2号機で水素爆発を防ぐために圧力容器に入れた窒素ガスが正確に計測できていない時があったことが発覚した。ガスの注入量を測る機器の説明書が6年間間違ったままだった。

経済産業省の木野正登・廃炉汚染水対策官は会見で「(排気筒をめぐる)今回の原因はコミュニケーションと確認の不足だ。3号機の燃料取り出しの時と同様に管理体制に問題があった可能性がある」と話した。(杉本崇、石塚広志)

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