◇「放射線管理員、来ない」「上限上がり怖い」
東京電力福島第1原子力発電所で復旧作業にあたっている東電社員2人が、緊急時の上限250ミリシーベルトを超える被ばくをしていた疑いが強まった。しかも、放射性物質を体内に取り込む「内部被ばく」が大半とされる。取材に応じた作業員らの証言からは、現場の汚染がひどく、対策が追いついていない実態が浮かぶ。労災問題の専門家は「このままでは健康被害が深刻化する」と警告している。【町田徳丈、池田知広、日下部聡】
「放管」。作業現場に元請け会社などから派遣される「放射線管理員」はそう呼ばれるが、下請け会社のベテラン作業員(64)は「最近、放管が来ないケースが増えている」と話す。
放管は、作業員が過度の被ばくをしないよう現場で放射線量を計測し、平常時なら汚染レベルの高い区域での作業には必ず同行していた。だが、今は朝のミーティングで元請けから前日の調査結果を知らされるだけで、放管が同行しないこともしばしばという。「高線量のがれきが転がっていて(放管が同行しないと)不安なんだけどね」と男性は言う。
40代の男性作業員は「放管がいないと自分がどのくらい放射線を浴びているのか現場で確認できない」とこぼす。線量計は防護服の内側に付けるために見られず、積算線量が上がったことを示すアラームが鳴っても全面マスクのため聞こえないこともある。緊急時の作業における被ばく線量の上限は以前の100ミリシーベルトから震災後は250ミリシーベルトまで引き上げられた。男性は「どんどん上げられて、怖いですよ」と漏らした。
続きは 東日本大震災:東電社員2人被ばく、250ミリシーベルト超 甘い対策、現場悲鳴