原発のない国づくりを目指す細川護煕(76)、小泉純一郎(72)両元首相がこのほど、一般社団法人「自然エネルギー推進会議」を 設立し、再び「原発ゼロ」と再生可能エネルギー普及拡大に向け動き出した。当面は政治活動とは一線を画し国民運動を専念するといい、与野党とも今のところ 静観しているが、2月の都知事選では分散した脱原発勢力の結集を図ることができるか注目される。
推進会議は代表理事に細川氏が就任。発起人に小泉氏のほか作家の赤川次郎や瀬戸内寂聴、哲学者の梅原猛、日本文学者のドナルド・キーン、俳優の菅原 文太の各氏ら著名人、原発事故の当事者である福島県南相馬市長の桜井勝延氏ら計12人が名前を連ねた。賛同人も各界の有識者が数十人集まっている。
5月7日に東京都内で開かれた設立総会には約350人が集まった。首長では2012年衆院選で「卒原発」を掲げて日本未来の党を結成した嘉田由紀子 滋賀県知事が主席した。嘉田氏はこの日、次期知事選への不出馬を表明したばかりだった。一方、国会議員では細川氏の秘書を務めたことがある日本維新の会の 松野瀬久国会議員団幹事長、民主党の篠原孝元副農相、近藤昭一元副環境相らの姿があった程度だった。都知事選では脱原発が主要争点にならなかったことか ら、与野党とも細川、小泉両氏の行動に対して関心と警戒心が薄れつつあるようだ。
政府側も菅義偉官房長官が同日の記者会見で、「引退された方がいろんなことをやるのはいいのではないか」と突き放した。
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そのうえで菅氏は「原発ゼロをめざす細川さんの幅広い国民運動と原発ゼロをめざす各党内の国会議員が連携する『脱原発・政界再編』が起きれば、状況は一変するだろう」と、推進会議結成の政界への影響を期待する。
総会後のフォーラムで細川氏は、政府のエネルギー基本計画について「事故に対する反省も教訓も無しに、原発をこれから再稼働していくという方針を打 ち出した。とんでもないことだ」と批判。「原発から自然エネルギーに転換し、放射能の心配のない社会をつくっていく」と設立の目標を強調した。小泉氏は 「勝っても負けても原発ゼロの国づくりを目指す」と都知事選の敗北を意に介せず、「『もう過去の人』と言われようが、これから来る未来の世代のためにも原 発のない国づくりのために頑張っていく」と批判を逆手にとってボルテージを上げた。
しかしその後、細川氏は体調不良を理由に当面活動を休止することを明らかにした。推進会議の代表理事は続けるが、二枚看板の1人が欠けることで今後の活動への影響が心配される。
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