原発から出る高レベル放射性廃棄物の処分方法見直しについて、経済産業省資源エネルギー庁専門部会(委員長・増田寛也元総務相)は30日、廃棄物を地中深く埋設した後でも、将来世代が再回収し、処理方法を意思決定できることを目指す中間報告書案を大筋合意した。従来の政府方針は廃棄物の再回収を前提としておらず、国の「核のごみ」の処分計画は大きく転換することになる。
現行では、原発の使用済み核燃料を再処理する工程で出る高レベル放射性廃棄物をガラスで固め、一定期間冷却した後、金属容器に入れて地下300メートル以上の深い地層に埋める「地層処分方式」が採用されている。地上と保管場所をつなぐ坑道が閉鎖されれば再回収は不可能になる。
報告書案はこの方式について「現時点で最も有望」と継続する一方、「将来世代が最良の処分方法を再選択することが不可欠だ」と指摘。処分地変更など計画を柔軟にする「可逆性」と、放射性物質の短寿命化など将来の科学技術によって処理することを念頭に「回収可能性」の二つの文言を盛り込んだ。報告書は、立地地域の変更など処分計画に幅を持たせ、今後立地候補となる市町村の負担感を軽減する狙いがある。