原爆後の広島の写真に×印 原発の説明資料に疑問の声 via 朝日新聞

佐賀県唐津市が、九州電力玄海原発(同県玄海町)に関連して、原爆が投下された広島などの写真に「×」を付けるなどした資料を作っていたことがわかった。原発と原爆の違いを強調するためだったというが、広島の被爆者からは「意味がわからず、嫌な気持ちだ」との声も上がっている。

 資料のタイトルは「原子力災害について」。唐津市によると、玄海原発での重大事故発生を想定した昨年11月7日の避難訓練の際、原発から北に約10キロ離れた離島・小川島の市立小川小・中学校で、市職員が講話をするときに使った。小中学生や教員、保護者ら約40人が参加し、職員が12枚のスライドをスクリーンに映しながら説明したという。

 資料は冒頭、「原子力(げんしりょく)発電所(はつでんしょ)はこわい!?」と記し、大勢の人が横になっている写真など4枚を組み合わせた白黒写真の上に赤で大きく「×」を付けている。

 広島平和記念資料館広島市)の学芸員に確認してもらうと、4枚のうち3枚は、被爆直後の広島の写真だった。

 救護や救援に訪れたとみられる人たちが広島駅で休息する姿や、爆心地から約2キロの派出所前で警察官が被爆した学生らの応急処置にあたる様子、がれきの中に立つ原爆ドーム(旧広島県産業奨励館)が写っている。元中国新聞カメラマンの松重美人さんや写真家の林重男さんらが撮影した。残る1枚は米国のビキニ水爆実験の写真だった。

 唐津市危機管理防災課の担当者は「原発と原爆、核燃料と爆弾は違うので、同じことが起きるわけではない、という趣旨だった。『何が違うのか』と言う人もいるので、あえて強めの表現を使った」と説明している。

(略)

 避難訓練時の講話では例年、市職員がこの資料を引き継いで使っているという。冒頭の写真については「資料を作成した職員が特定できず、写真をいつ、どのように入手したかはわからない」としている。

 広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(76)は「写真の上にバツを付ける意味がわからず、広島の立場からすると嫌な気持ちだ」と語った。また「原発事故も核の被害という意味では共通している」と指摘。「核の被害の悲惨さを伝える写真が、『原発は原爆と違って安全だ』というような逆の文脈で使われるのは納得できない」と話している。(福井万穂)

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