東京電力福島第1原発事故後、福島県で内部被ばく調査などを続ける放射線衛生学者で独協医科大の木村真三准教授(愛媛県鬼北町出身)が1日、松山市三番町6丁目のコムズで講演し、福島県が実施している甲状腺検査の不十分さなどを訴えた。
木村准教授は、原発事故当時に18歳以下だった子ども(2012年4月1日までに生まれた子も含む)を対象に福島県が検査を実施しているが、検査体制が変わり、受診率も低下していると指摘。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の事例を挙げ、大きな被害を受けたベラルーシでは事故後、事故当時45歳以下の人を対象にした検査を続けていると紹介した。
福島県が原発事故と甲状腺がんの関連性を「考えがたい」と言及していることについて「科学的判断ができない状況にある。福島では事故後に生まれた子どもたちの検査を行っていないのに加え、検査時期の間隔を変更するなどしたため、事故影響の比較が難しくなる要因となっている」と批判した。