- 2020/10/01
- 19:28
復興庁の「NO」に菅政権の「自助」がにじみ出ていた。「原発事故被害者団体連絡会」(ひだんれん)、「『避難の権利』を求める全国避難者の会」、「避難の協同センター」の3団体が実施した緊急アンケート調査の結果を受け9月18日、復興庁に緊急提言を提出した。避難者の生活実態調査を行うよう求めたが復興庁は拒否。実態把握も支援も民間任せ、避難者の生活実態が把握されないまま原発事故から丸10年を迎えようとしている。3団体はアンケートに回答した人々を継続してフォローし、支援して行く方針。〝復興五輪〟強行の陰で切り捨ては着実に進んでいる。
【「福島県の意思尊重」】
「アンケート調査の結果は重く受け止めさせていただきます。一般論として申し上げますと、避難者の方々の実態調査につきましてはこれまで、福島県が復興支援員等を活用して相談対応を行う中で実態を把握して来たという経緯があったかと思います。今回新型コロナウイルスの感染拡大があってなかなか自分たちで訪問出来ないという実態がある事も今回、伺いました。災害公営住宅の見守りサービスですとか、孤立という問題に対しては訪問出来ないという面もあったと聞いております。福島県は電話やスカイプなどを活用した相談対応などをしていると聞いております。われわれもそういったものを活用しながら、見守り支援や相談対応を行って参りたい」
復興庁被災者支援班の男性官僚は言葉遣いこそていねいだったものの、国による原発避難者生活実態調査には前向きな答えをしなかった。同席した福島瑞穂社民党党首(参院議員)が業を煮やして「実態調査をやって欲しい、というのはどうでしょうか。福島県内の避難者も大変だけれども、福島県外の避難者も大変なんですよね。実態調査はいかがでしょうか」と求めたが、言葉遣いがていねいなだけで、復興庁の基本姿勢は変わらなかった。
「この場でなかなかお答えしにくい部分もあるんですけれども、実態調査といいますか、避難者の方々が抱える生活上の課題は様々あろうか思います。それをきちんと把握していくというのは、先生おっしゃるように本当に重要な事だと思います。これまで福島県が相談対応する中で逐一そういったものを把握して、それを施策に活かしていただいていると思う一方で、国が責任をもってやるべきではないかというご意見だったかと思います。これまで福島県とは住民に身近なところで支援をやっていただいて、国はそれを財政的にバックアップするというような…。引き続き、福島県の意思を尊重しながら生活支援に向けてわれわれも取り組んで参りたいと考えているところです」
国としては実態調査をやらないが、福島県がやるなら支援する。しかし福島県もやらない。この繰り返し。当事者の生活実態を調べない空疎な〝避難者支援策〟が行われるという異常事態がこれからも続く。
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