東京電力福島第1原発にたまり続ける放射性トリチウムを含む汚染処理水について、政府は今夏にも処分方針を決める可能性がある。これに対して福島県内の市町村議会59のうち、少なくとも19議会が自然界への放出に反対したり、慎重な対応を求めたりする意見書を可決した。議員たちに話を聞くと、原発事故から9年を過ぎてもなお、その影響に苦しむ福島の現状が改めて浮かび上がった。【渡部直樹、高橋秀郎】
今年3月17日、海洋放出に反対する決議案を全会一致で可決した浪江町議会。原発事故から9年となった翌日の同12日、国の担当者が町議会を訪れ、有識者による政府の小委員会がまとめた報告書について説明した。海洋放出の優位性を強調する内容に「風評被害対策など、具体的な内容がなかった」。憤った高野武町議(69)は帰宅後、一気に決議案を書き上げた。
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