廃炉作業「環境改善を」 白血病で労災認定の男性「捨て駒じゃない」via 毎日新聞

東京電力福島第1原発事故から間もなく9年。廃炉作業は今後も長期間続く。作業で被ばくし、白血病を発症した男性(45)は「作業に命懸けで取り組んだが、被ばく防止対策が整った労働環境ではなかった。作業員は捨て駒じゃない」と、環境改善を訴える。

男性は溶接工として造船所などで働いていた。2011年、原発事故の様子をテレビなどで知り「自分の溶接技術が役に立つなら少しでも力になりたい」と思った。家族の反対を押し切って福島へ行き、10月から福島第2原発の津波対策工事に加わった。原発での仕事は初めてだった。

12年10月に第1原発の現場に移った。4号機の原子炉建屋上部にある使用済み核燃料プールから燃料を取り出すため、クレーンの土台を設置する作業では、約半年間で10.7ミリシーベルト被ばくした。

13年夏、炉心溶融と水素爆発が起きた3号機の原子炉建屋の外壁に、作業用エレベーターを設置した。2枚重ねの防護服は蒸し暑く全面マスクの内側に汗がたまり、意識がもうろうとした。「津波の犠牲者のことを考えると弱音は吐けない」。自身を奮い立たせた。

だが、12月ごろから微熱やせきが続いた。14年1月に定期健診で白血病と判明した。第1原発の廃炉作業の従事者では初めて、労災と認定された。

厚生労働省によると、福島以外を含め男性が原発での作業で浴びた放射線量は計19.8ミリシーベルト。しかし、男性は「放射線を遮る鉛ベストが人数分用意されず、着用せずに作業するなど、線量管理がずさんだった」として、被ばく線量はもっと多いと主張している。

厚労省によると、第1原発での被ばくによる労災申請は、1月末時点で21件。そのうち、この男性を含め白血病や甲状腺がんなど6件が認定された。認定に関わる放射線医学の専門家は「今後も認定件数は増えていくだろう」と話す。

男性は3月11日、東京都内で開かれるシンポジウム「3・11から9年 どう伝える?原発事故のこと」で実体験を話す。

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