【社説】 国が原因究明を 帰還困難区域のモミの木形態変化via 福島民有

国は東京電力福島第1原発事故との因果関係を含めて原因を徹底究明し、結果を正確に公表しなければならない。
 放射線医学総合研究所(放医研)が、帰還困難区域の山林で、自生するモミの木の幹が途中から伸びない形態変化が確認されたと発表した調査結果のことだ。

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 発生割合は福島第1原発との距離が近い地点から98%、44%、27%で、比較対象として調査した茨城県北茨城市では6%だった。
形態変化が現れた時期については、事故翌年の2012年から13年にかけて急増し、14年には減少に転じている。
モミのような針葉樹が放射線の影響を受けやすいことは、これまでの実験やチェルノブイリ原発事故の事例などで分かっていた。

 放射線生物学が専門の丹羽太貫放射線影響研究所(放影研)理事長によると、放射線の影響に大きさが関係するゲノムサイズ(生殖細胞に含まれるDNAの総量)が針葉樹の場合、ヒトの7倍ほどあるからだ。

 ただ仮に放射線の影響から形態が変化したとしても、今回のケースでは発生頻度が減少していることなどから突然変異を示すものではないとの見方ができるという。

モミの主幹欠損は気象的な影響や動物による食害でも起きるとされる。放医研は実験施設内で人為的にモミの木に放射線を照射し、同様の形態変化が起きるかを調べる必要性を指摘している。

 因果関係の究明に重要なのは、原発事故直後にモミの木が受けた被ばく線量がどの程度だったのかを正確に把握することだ。

 事故直後と比べると線量は下がってきている。風評を広げたり生活空間への影響を過剰に心配することがないよう、国は原因究明を急ぎ、分かったことを逐一説明することが求められる。

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