核爆発を伴う核実験禁止を目指す包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効を促進するための「賢人会議」に参加している各国の閣僚経験者らが25日、広島市中区の原爆資料館を見学した。被爆者の小倉桂子さん(78)の証言も聞いた。
ペリー元米国防長官や英国のブラウン元国防相らメンバー10人が被爆時の状況の説明を聞きながら、黒こげの弁当箱など被爆遺品に見入った。
8歳のときに爆心地から約2・4キロで被爆した小倉さんは「皆さんは政策を決定する力があり、核兵器廃絶へ世界の道筋を変えられると期待している」と英語で語りかけた。
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広島市で開幕した国連軍縮会議は26日午後、参加した各国政府高官や軍縮の専門家らが同市中区の平和記念公園内の原爆慰霊碑に献花した。その後、参加者らは原爆資料館を見学し、被爆者の梶本淑子さん(84)=広島市西区=の証言を聞いた。
梶本さんは14歳の時、爆心地から約2.3キロ離れた学徒動員先の軍需工場で被爆した。別の場所で被爆した父は梶本さんを捜して市内を歩き回り、 1年半後に血を吐いて亡くなったという。自らも胃がんを患った梶本さんは「原爆は死んだ人間も生き残った人間も地獄。二度と原爆を使わないで」と語り、 「原爆を70年前の歴史とだけ捉えるのではなく、現在の問題として見てほしい」と訴えた。
証言後、参加者が「これからも活動を続けてください」と握手を求めると、梶本さんは「力のある人たちが証言を聴いてくれた。核廃絶に向かって少しでも世界を動かしてほしい」と話した。