放射線管理区域の東京でオリンピックなど正気の沙汰ではない/「原発は未来犯罪」(小出裕章さん)via Web Ronza

 9月1日に日比谷公会堂で開かれた「さようなら原発講演会」での発言の一部要旨を紹介します。「東京の一部も放射線管理区域にしなければならない ほど汚染されている」という小出裕章さんの指摘を聴いて、放射線管理区域の東京でオリンピックを開催するなど正気の沙汰ではないことをあらためて痛感しま した。(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)

▼東京オリンピックに使う費用は福島に使うべき
落合恵子さん

いま、まるで原発事故など無かったかのようにしようとしている政治の中に私たちは生きています。その恐ろしさを心に何度でも刻みましょう。ときどき疲れるでしょうが、刻み続けていかなければならないと思います。

あの汚染水のダダ漏れは、事故の直後から心ある専門家の方々は指摘してきました。それにもかかわらず、参議院選挙が終わった翌日に明らかになる。それがこの国です。これがこの国のジャーナリズムの現実です。

「経済が基本」と言うのなら「原発そのものが経済を脅かすものだ」ということに私たちは気づかなければいけない。今度の国家予算にも原発予算が大きく組まれていますが、福島のいまに対する対策よりも、推進政策が優先されています。

先日、福島の中学生、高校生とお話をしました。「私たちは、僕たちは、原発を一度も選んでいないんだ」と言っていました。子どもたちは、若者も含 め原発を選んでいないのです。「大人たちが勝手に原発を選び、作っておいて、それを私たちにどうにかしろというのですか?」という問いかけに私たちはどう 答えられるのでしょうか?

(略)

▼原発は「未来犯罪」
小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教)

福島第一原発事故で、1号機2号機3号機は炉心が溶け落ちて、その炉心がどこにあるのかもわからない、どうしたらいいのかもわからないという中で、何次もの重層構造で下請けさせられる原発労働者たちが、今この瞬間も作業にあたっているという状態です。

4号機は事故当日運転はしていませんでした。それでも爆発して建物が吹き飛んでしまいましたし、未だに使用済み燃料プールという中に大量の放射性物質を抱えたまま、いつプールが落ちてしまうかもわからない困難な状況の中にあります。

2011年の暮れに当時首相だった野田さんが、事故の収束宣言などというものを出しましたけれど、残念ながら事故はまったく収束していないのです。今現在も危機は続いています。

運転中だった1号機2号機3号機は溶けた炉心がどこにあるかもわからず、ただ、ひたすら水を入れ続けて冷やすしかないということを2年半にわたって今日までやってきました。

しかし、水を入れてしまえば汚染水があふれるのは当たり前なのであって、マスコミは最近になって「汚染水が大変だ」って言い始めたわけですが、私 としては「なにをいまさら」と思いました。2011年3月11日から、ずっと汚染水は流れ出ていたのです。これからも何十年もこうした作業を続けなければ いけない困難なものなのです。

(略)

▼福島に対する棄民政策
日本のふるさとを殺した原発
澤地久枝さん

福島のことは取り上げないことで、なかったことにしようと思っている、政治家・財界人・学者がいて、補償金などが予算から出ていたと思っていた ら、福島のためには使われないで、いろいろなところの道路工事などに使われている。こんなバカにした話はありません。私自身、戦中戦後に、まさに棄民とい うものを味わいましたが、日本の政治というのは常に棄民を繰り返し、福島に対しても棄民政策をとっています。

(略)

▼本当の悲劇は、ゆっくりとやってくる死スローデス
内橋克人さん

ナントカミクス。私はフルネームで言いません。ナントカミクスで株を少々上げてもらってアメをばらまきました。甘いアメの後に来るのはムチです。人々をひっぱたくムチ。人々を縛っていくムチです。

私たちは、この瞬間瞬間において現政権が採用している政治手法、駆使している政治手法を、見破らなければなりません。

「新しい原発安全神話」が作られようとしています。原発は止めるわけにいかないし、そのうちに科学技術が進歩して、原発は安全になる。世界でこれ から原発がますます勢いを増してくる中で、私たちの国だけ原子力エネルギーを持たなくていいのか――こういう新しい原発安全神話が、猛々しく、しかし密か にメディアを通じて流されようとしています。新たな2度目の原発安全神話に、私たちはしてやられてはなりません。

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