(抜粋)
「作業が過酷だからです。現場じゃ防護マスクで視界は悪い、水は飲めない、トイレに行く暇もない。おまけに、素人がろくな教育も受けないまま現場に 出ていくこともザラ。だからとにかく小さな事故がしょっちゅう起きる。7月2日にも6号機タービン建屋の地下から白煙が上がり、消防車を呼ぶハメになりま した。いつ大事故が起きても不思議じゃない状況です」(桐島氏)
そんななか、4号機プールに眠る1535本に燃料棒の取り出し作業が始まろうとしている。まずは爆発で吹っ飛んだ建屋上部に残った柱や壁などを今年 8月末までに解体。次にプール全体を覆うカバーとその内側に大型クレーンを取り付け、最後にクレーンでプールにキャスクと呼ばれる金属製の輸送容器を沈 め、そこに燃料棒を収納して外へ運び出すのだ。
京都大学原子炉実験所で助教を務める小出裕章氏は、懸念をあらわにする。
「取り出す核燃料の集合体は1体200キロ、それを収納する輸送容器は100トン以上もある。こんな重たいものをクレーンで上げたり下ろしたりする わけです。しかもそのクレーンは高い線量の中での突貫工事で設置しなければならない。その上、使用済み燃料棒から出ている線量は、周囲の人を殺してしまい かねないというくらい強い。大変な作業になるでしょう」
建屋が崩壊寸前となっている4号機では、ひとつのミスが大惨事につながりかねない。東電は、いつまでこんな危ない綱渡りを続けるつもりなのだろうか。
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