東京電力福島第1原発事故で、警戒区域や計画的避難区域内の森林を管轄する森林組合が存続の危機に立たされている。山林は土壌改良が難しく、放射性物質の汚染による作業休止が長期化する恐れがあるからだ。休業が長期化した場合、山が荒れて土砂崩れが多発するなど、防災上の問題を引き起こす危険性もある。5月末で休業する福島県の飯舘村森林組合の幹部は「作業員が離職すれば、休業明けに林業に戻るかも分からず、事業再開も難しい」と苦境を訴えている。
福島県や県森林組合連合会によると、両区域に指定された11市町村には約13万8000ヘクタールの森林が広がり、多くは五つの森林組合が管理する。放射線の影響を考慮し、区域内の山林での屋外作業は行っていない。
このうち飯舘村で山林約7200ヘクタールを管理する飯舘村森林組合は、4月22日に村全体が計画的避難区域となり、国から屋外作業を控えるよう指示されたことから、事業継続は困難と判断。近く、職員11人と森林作業員約15人の大半を休職させて休業に入る。相良弘組合長は「間伐などの作業ができない状況が1年以上続けば下草が伸び、植林したばかりの若木が日光不足で弱るなどして山が荒れ、木々が順調に育たない」と指摘する。
続きは 福島第1原発:林業、存続の危機 土壌改良困難、山荒廃も