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A nuclear power plant in Byron, Illinois. Taken by photographer Joseph Pobereskin (http://pobereskin.com). カレンダー
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Tag Archives: 飯舘村
相馬農高飯舘校、村立化を断念 飯舘村唯一の高校 via 朝日新聞
福島県飯舘村の菅野典雄村長は7日、村唯一の高等教育機関である県立相馬農業高校飯舘校=今春募集停止=について、村立高校として存続させる案を断念すると表明した。財政負担や安定的な生徒数の確保などをめぐり、村議の多くから懸念が示されたことを受け、判断したとみられる。 同日開催された村議会全員協議会後、菅野村長は会見で「村立化への私の思いが強すぎて関係者にご迷惑をかけた。高校ではない形で、若い人が1人でも村に足を踏み入れる次の手を考えていきたい」と述べた。 飯舘校は原発事故後、福島明成高校(福島市)内のプレハブ校舎に移転。一昨年、昨年と入学者が定員40人を下回る状況が続き、今年度は2、3年生計23人。生徒確保の見通しが立たないとして県教育委員会は昨秋、募集停止を決めた。 全文
【子ども脱被ばく裁判】責任放棄した国・自治体への怒り語った母親。国の弁護士は「全て合理的だった」via 民の声新聞
福島県内の子どもたちが安全な地域で教育を受ける権利の確認を求め、原発の爆発事故後、国や福島県などの無策によって無用な被曝を強いられたことへの損害賠償を求める「子ども脱被ばく裁判」の第14回口頭弁論が25日午後、福島県福島市の福島地裁203号法廷(遠藤東路裁判長)で開かれた。 […] 県外避難を考え、複数の関西の自治体に電話で問い合わせたが、答えはいずれも「避難指示区域でない方には住宅を無償で貸す事は出来ません」だった。避難指示区域外からの避難者であっても公営住宅に入居出来るとの国の方針はしかし、現場の自治体職員には届いていなかった。安定ヨウ素剤は福島県立医科大学内では配られたが、一般県民に服用指示は出されなかった。学校からは空間線量の測定を断られた。「放射線防護の観点からすれば、全てが誤った対応だった」。 ようやく予約できた高速バスで、3月18日から数日間だけ東京都内に滞在した。重苦しい空気に包まれた車内。東京に着くと誰ともなく拍手が起きた。必死の想いでたどり着いた東京で抱いた違和感。「政治を動かしている人たちは、恐怖にかられ究極の選択を迫られている福島を見ているのだろうか」。湧き上がってくるのは怒りばかりだった。 「国民に判断材料となる情報を提供せず避難の判断を国民個人に丸投げしたことは、国民の生命・身体の安全を預かる責任を放棄したと言わざるを得ません」と強い口調で訴えた女性。「子どもの健康と命を第一に考えた適正な判断を望みます」と裁判所に訴えた。 […] 際立ったのは、国の主張を陳述した女性弁護士。原告側弁護団長の井戸謙一弁護士は閉廷後「想定通りの内容だった」と振り返ったが、傍聴者がこの訴訟で国側の主張を直接、耳にするのは初めての機会だっただけに、国の原発事故後の対応を「全て合理的」とする主張に傍聴席は何度もざわついた。 特に低線量被曝による健康影響に関して「国際的にコンセンサスを得られている科学的知見に基づいて判断されるべき事柄であり、そのような点からすると、放射線に被曝すれば線量の多寡にかかわらずすべからく健康に悪影響が生じるとの考え方は現在の国際的なコンセンサスにそぐわない考え方となります」というくだりでは、傍聴者から「えー」、「嘘だ」との大きな声があがった。 3月16日に言い渡された「東京訴訟」の地裁判決では、「放射線の被曝線量と健康影響との間には、しきい値が無い」とする「LNTモデル」を採用。[…] 国の不作為に関する原告の訴えに対しても「『無用な被曝をさせられた』と言うばかりで、いかなる時点における、いかなる公務員が、いかなる法令に基づく、いかなる職務義務に違反したと主張しているのか判然としない点が多く、請求の原因を欠いてると言わざるを得ない。主張自体が失当だ」と反論。SPEEDIの情報などが隠匿されたと主張している点も「風向きや風速などで毎時の予測結果は異なり、原告の言う『避難すべき方向』は特定されない。次々に異なる方向への避難情報がもたらされる事で、かえって住民の避難に混乱が生じたであろう」と一蹴。子どもたちに安定ヨウ素剤を服用させなかった事については「安定ヨウ素剤の服用よりも実効性が見込める避難を優先し、可能な限り適切な措置を講じようとした原子力災害対策本部長などの判断は不合理なものでは無かった」と述べた。 【「子どもは〝炭鉱のカナリア〟じゃない」】 原告側代理人の井戸弁護士は、更新弁論で「放射性微粒子による内部被曝の影響に関する研究は始まったばかり。今でも福島第一原発から放射性物質が放出され続けている。その中には、不溶性の放射性微粒子が含まれている可能性は十分にある。土壌に沈着している不溶性放射性微粒子が車などで巻き上げられ、大気中に再浮遊し、子どもたちが吸い込む危険がある。提出した河野益近氏、郷地秀夫氏の意見書をぜひ熟読して欲しい」と求めた。 […] 柳原敏夫弁護士は「山下俊一発言問題」と「甲状腺検査の経過観察問題」について陳述。長崎大学の山下俊一氏が福島に出向いた理由は「福島県内の妊婦や子どもを避難させた方が良いのではないかという声を封じ込めるため」と指摘。福島県立医科大学の理事長から「福島医科大学がパニックだ。すぐに来て欲しい」と要請され、自衛隊のヘリで長崎から福島入りし、〝安全講演会〟を繰り広げていく様子が生々しく語られた(詳細は準備書面5を参照) […] 開廷前に福島市市民会館で行われた学習会では、「初期被曝の衝撃」の著者である京都精華大学名誉教授の山田國廣さんが講演。 […] 山田さんは「甲状腺ガン患者がどれくらい被曝したのか、というような被曝データを基に健康影響とつなげている議論がほとんどない」と指摘。初期被曝はもちろん「現在も原発事故前よりも空間線量は高い」として「微量とはいえ、福島で暮らすという事は初期被曝に今後も足されていく。許容値の問題になっているが、少ないけれどもプラスされてDNAが損傷される。空間線量が低いから大丈夫、では無い。福島で暮らす以上、安全だと思いたい気持ちは分かる。でも、自分たちがどれだけ被曝したのかをきちん把握して、子どもたちの健康ケアをしていく必要があると思う。真実を知って、それでも安全だと言うのは仕方ない」と語った。「飯舘村みたいに村内で学校を再開して来るまで子どもたちを通わせるなんて馬鹿げている」。 全文
<指定廃焼却施設>「放射線対策なしで作業強いられた」仙台の男性作業員、元請けを審判申し立てへ via 河北新報
東京電力福島第1原発事故に絡み、福島県飯舘村蕨平(わらびだいら)地区の除染で出た指定廃棄物などを燃やす仮設焼却施設での勤務時、適切な放射線防護対策が講じられないまま作業を強いられたとして、仙台市の男性作業員(46)が近く、施設の管理運営元請け会社の日揮(横浜市)に慰謝料など求める労働審判を仙台地裁に申し立てることが12日、分かった。 男性は2016年1~5月と17年8~12月に施設で勤務。焼却灰の粉じん清掃や焼却炉内の機器点検などを担当した。作業には全面マスクと放射線防護服の着用が労働安全衛生法で義務付けられているが、通常の作業服と半面マスクで作業に当たった。 施設の放射線管理担当者は「防護服の着用はいいから。早く(焼却灰を集めた)フレコンバッグを作れ」などと指示。作業場の管理区域には常設のダストモニター(粉じんの放射線量測定装置)が無く、担当者が手持ちの線量計で測っていたという。 男性は「将来の健康不安が拭えない。人体への被ばく線量の制限を定める放射線障害防止法に抵触する可能性もある」と主張。 […] 全文
〝40億円の新校舎〟で開校式。復興の象徴は「無料」尽くし。村内授業再開にこだわった菅野村長。6000万円でタクシー通学も via 民の声新聞
40億円の新校舎〟が始動した。飯舘村立認定こども園(までいの里のこども園)と3小学校(草野、飯樋、臼石)、飯舘中学校の開園・開校式が1日午前、新装された旧飯舘中学校の体育館で行われ、国会議員などから復興のシンボルとして期待する声が相次いだ。しかし、保護者が重視したのは復興よりも子どもたちの友人関係。被曝リスクへの不安も残る。PTAの反対を押し切り、村内授業再開にこだわった菅野典雄村長。制服代も給食費も教科書代も無料、自宅から校舎までのタクシー代も無料という至れり尽くせりの新校舎。財政負担の懸念も抱えたまま、6日から授業が始まる。 【「村の復興拠点、復興の光」】 主役は子どもたちなのか、復興を進めたい大人たちなのか。不思議な式典だった。 村のキャラクター「イイタネちゃん」の公式ソングが流れ、新しい校舎に通うことになる子どもたちが体育館に入場。国歌、村民歌を斉唱した後、菅野典雄村長が「待ちに待った村内での認定こども園と小中学校の開園・開校式。村長として感激もひとしおだ。このような大事業に(避難指示解除から)わずか1年もかけずにこぎつける事が出来たのも、まさに国の特段の御配慮・御支援があってのこと。そして、県の陰に陽にの応援のおかげでもある。改めて心より御礼を申し上げる。多くの先生方の熱い情熱、保護者の素晴らしい理解、子どもたちの故郷への想いが重なっての今日だ」と挨拶。「本当に本当にありがとうございました」と締めくくる力の入れようだった。 中井田榮教育長は「皆さんが帰って来るのを村をあげて待っていた。これからは学校のチャイムの音とともに、皆さんの元気な姿が飯舘の空に響きわたる。これほどうれしい事は無い」と子どもたちに語りかけた。「保護者の皆さんは今日に至るまでいろいろと悩んだと思うが、村の学校に通わせる事を御決断いただき、心から感謝申し上げる。認定こども園と小中学校が、必ずや村の復興拠点、復興の光となるよう力を尽くしていく」。 来賓として出席した文部科学大臣政務官(兼内閣府大臣政務官・復興大臣政務官)を務める新妻秀規参院議員(公明党)は「このように100人を超えるお子さんが出席する中で開演・開校を祝える事を大変うれしく思う。『までいの心』に基づいた、飯舘村だからこそ出来る素晴らしい教育が行われることと思う。国としても最大限の支援をしていく」と祝辞を述べた。式典には、平木大作経産大臣政務官、武部新環境大臣政務官、金子恵美衆院議員、亀岡偉民衆院議員、赤羽一嘉衆院議員らも出席した。体育館の後方に掲示された金子、亀岡両議員の祝電には「復興の象徴」、「真の復興」の文字が並んでいた。 園児、児童、生徒の代表が「歓びの言葉」を述べた。飯舘中学校の川井萌映さん(3年)は「3月の内覧会では、新しい校舎に感動を覚えた。〝被災者〟のレッテルを自らの力で剥がし、今度は自分たちが困っている人たちに手を差し伸べられるように新しい日々を過ごして行きたい」と決意を語った。まさに〝復興の象徴〟としての船出だった。 【無視された保護者アンケート】 しかし、式典に出席した保護者の想いは、意外なほど「復興」とは違っていた。 「復興?復興なんて子どもたちには関係ないもんね。復興って何の事?って思ってるんじゃないかな。ちっとも復興してないしね」。中学生の母親は呆れたように話した。 「新しい校舎に通わせる一番の決め手ですか?私自身が飯舘中学校の卒業生ですから、自分と同じ学校に通わせたかったというのもあります。あとは、友人関係など3月まで使っていた川俣町の仮設校舎と同じ環境で通わせたかった。中学校3年間だけなので、わざわざ違う学校に進学させなかったんです。ゼロから友達をつくっていかなければならないですから。このタイミングであえて新しい環境に変えるという選択肢もあったのかもしれない。そういう家庭もあるようですから。でも、私はそうはしなかった」。現在は福島市内で暮らしているが、将来的には村に戻りたいという。生まれ育った村への想いは強い。その母親ですら、こんな言葉を口にした事の意味は重い。 「村内で学校が再開しなかったら、また違っていたでしょうね。ホットスポットやフレコンバッグがあるような場所には通わせたくは無いですよね。村外で授業を続けて欲しかったというのは前提としてあるんです。多くの保護者はそうだと思いますよ。村内で学校が再開しない方が良かったんです。でも子どもの(友人関係を変えたくないという)気持ちに負けてしまったというか…。やっぱり避難先から近い校舎に通わせられるのならそれに越したことはないし、被曝リスクへの不安が全く無いかと言えばそれは嘘になります。無い人はいないですよ。みんな胸の奥には不安はいっぱいあるんですよ。その上での決断だと思います」 新6年生の母親も「決め手?お友達ですね。同級生と離れたくないって子どもが言うもんですから。あと1年ですしね。ただ、もし中学校もここに通いたいって子どもに言われたら、無理矢理(避難先の)福島市内の学校に転校させる事も出来ないですから、今後の事は本人次第ですね」。自宅から校舎まではスクールバスで1時間かけて通う。「放射線量はね…気にはなりますよ。気にはなるけど、どうしようもないですもんね」と語る。 それでも村は早期村内授業再開にこだわった。2016年1月には、PTA役員らでつくる「飯舘村の子どもの将来を考える会」が村役場と村議会に要望書や署名を提出。2020年4月1日以降の再開を求めたが、菅野村長は無視。1年だけ先延ばししてお茶を濁した。同会の実施したアンケートでは、学校再開時期について、38・9%が「帰村宣言(避難指示解除)から5年以上経過後」、33・8%が「同3-4年経過後」と答えていたが、保護者の想いより「村残し」が優先された形だ。 […] 全文
福島・飯舘の小中学校再開 避難指示解除で7年ぶり via 日本経済新聞
東京電力福島第1原子力発電所事故による避難指示が昨年3月末に大部分で解除された福島県飯舘村で1日、村立の認定こども園と小中学校の開園・開校式があり、事故以来7年ぶりに村で再開した。 飯舘中の校舎を改修して小学校の授業もできるようにし、3つの小学校と飯舘中を集約。同じ敷地内に、こども園を新築した。児童・生徒ら約100人のほとんどが村外の避難先からスクールバスで通園・通学する。 開園・開校式で菅野典雄村長は「先生の情熱、保護者の理解、子供たちの古里への思いが重なっての今日の開園・開校です。感激もひとしおです」とあいさつした。 […] 全文
男性自殺、東電に賠償命令「原発事故負担影響」via 毎日新聞
東京電力福島第1原発事故による強制避難を前に自殺した福島県飯舘村の大久保文雄さん(当時102歳)の遺族が東電に計6050万円の損害賠償を求めた訴訟で、福島地裁(金沢秀樹裁判長)は20日、「原発事故による耐え難い精神的負担が自殺の決断に大きく影響を及ぼした」と原発事故と自殺の因果関係を認め、東電に計1520万円を支払うよう命じた。原告弁護団によると、原発事故の避難住民の自殺を巡る訴訟で東電の賠償責任を認めたのは3例目。 判決によると、大久保さんは飯舘村で生まれ育ち、事故前は日課の散歩や、縁側で友人との茶飲み話を楽しんでいた。だが、事故から1カ月後の2011年4月11日、原発の北西約30~50キロにある飯舘村が避難指示区域に指定されたことをテレビで知り、翌12日朝に自室で首をつって亡くなった。 裁判で原告側は「全ての知人と財産、生きがいが村にあり、原発事故で避難を強いられた以外に自殺の原因は考えられない」と主張。東電側は「自殺との因果関係は不明」と反論していた。 […] 「村はじいちゃんの全て。飯舘を離れろと言うのは死ねと言うのと同じ」。東電に責任を認めてほしくて15年7月、美江子さんらは提訴に踏み切った。「じいさんで金をふんだくるのか」。心ない言葉もかけられた。でも全国から100通近い激励の手紙も届いた。 年内に避難先の福島県南相馬市のアパートを離れ、飯舘村の自宅に戻るつもりだ。そして「東電には(仏前で)線香の一本でもあげてもらいたい」。東電が責任を認め、文雄さんに謝罪することを願う。【岸慶太】 全文 ◇東日本大震災から7年近くが過ぎる現在も、震災や原発事故に関連する自殺は絶えない。福島県の関連自殺者は昨年までに99人に上る。一昨年は7人に減ったが、昨年は12人と増加に転じた。年月とともに被災者が置き去りにされ、自殺者の増加につながることを心配する声が出ている。(102歳自殺 原発事故が強いた絶望)
「汚染続いたまま」「被曝避けられぬ」。交錯する現実と心情。「村は安らげる」「東電許していない」~福島市でシンポジウム via 民の声新聞
村民や研究者らでつくる 「飯舘村放射能エコロジー研究会」 の第9回シンポジウム「原発事故から7年、不条理と闘い生きる思いを語る」が17日、福島県福島市の県青少年会館で開かれた。京大原子炉実験所研究員の今中哲二さんらが今なお村内で続く汚染や被曝リスクについて語った一方、既に村の自宅に戻って生活している村民からは「放射能の事は頭から離れることは無いが、土と接しているととても穏やかな気持ちになる。避難先では安らげない」との声も。「村に戻っても村外で暮らすにも課題がある」という指摘もあった。国も東電も原発事故の責任を認めない中、東電はADRの和解案を拒否した。飯舘村民が直面する「不条理」はとても重い。 【「避難指示解除は帰村指示では無い」】 原発事故から7年が経過したとはいえ、飯舘村で生活すれば被曝するリスクは確実に存在する。帰還困難区域の長泥地区を除く避難指示が解除されて間もなく1年。国が「年20mSv以下では健康に影響を及ぼさない」として被曝リスクを認めない中、京大原子炉実験所研究員の今中哲二さんは「余計な被曝をしない方が良い」とした上で「避難指示の解除そのものには反対したことは無いが、避難指示解除は帰村指示では無い。最大の問題は、村に帰りたくない人まで無理矢理帰らせようとする施策をとっている点だ」と語った。 加害当事者である国が「年20mSv」を掲げている点について、今中さんは「根拠を探したが『20mSv以下なら安全・安心です』と述べている行政文書や専門家の見解を見つけることは出来なかった。[…] 日大生物資源科学部特任教授の糸長浩司さん(建築・地域共生デザイン研究室)は、これまでの測定の結果から「除染や自然減衰で村内の空間線量率が下がっているのは間違いない。ただ、それは住宅内や周辺の話であって、山の土壌には相当量の放射性セシウムは残っていて、ガンマ線を発している。こういう状況で避難指示が解除されて自主的避難になってしまっている。理不尽と言わざるを得ない」と指摘。除染済みの農地でも、依然として250~3000Bq/kgの放射性セシウムが残存しているという。「原発事故前は100Bq/kgが基準値だったが8000Bq/kgに引き上げられ、事故前は駄目だった土地で野菜を作っても良い事になっている。法律を超えた〝例外状態〟だ。農作業中の被曝の問題もある」と語った。「帰村か移住かの二者択一ではなく、将来の帰村も含めた飯舘村での居住権の確保と避難先での居住権の確保という『二重居住権』の保障も必要だ」 内科医として村民と接してきた振津かつみさん(医薬基盤健康栄養研究所)は、福島県だけでなく周辺自治体も含めた「被曝者健康手帳」の必要性を改めて強調。「放射線被曝の遺伝的影響は、マウスなどの動物実験では証明されている。差別につながるとの指摘もあり非常にデリケートな問題だが、ヒトでも次の世代への影響が起こり得ると考えて対策を講じていくという姿勢が被害の拡大を防ぐことであり、本当の意味で被害者の人権を守ることにつながる。科学というのはそういうものだと思う」と語った。 【「お金で買えないものが奪われたまま」】 突然降り注いだ放射性物質で日常生活を奪われた飯舘村民は、それぞれに複雑な想いを抱きながら新たな道を歩み始めている。 村で生まれ育った細杉今朝子さんは「孫と遊ぶのが楽しかった」と原発事故前の生活を振り返る。福島市内に避難していたが、避難指示解除を受けて村内の自宅に戻った。戻る決め手となったのは「家を守っていく」という想いのほかに、「安らぎ」だったと語る。 「何よりも土と接したかった。野菜や花を育てていると、とても穏やかな気持ちになります。もちろん、放射能の事が頭から離れたことはありません。でも、避難先では安らげないんです」 つくった野菜を測定しても基準値を超える放射性セシウムは検出されない。「安全ではあるけど安心出来るのかなあ」と細杉さん。それに、こんな想いもある。「村に戻ったからといって東電を許したわけではありません。お金では買えないものが奪われたままですから」。孫たちは進学もあって村外に移住した。楽しかった日常生活は原発事故で一変した。 […] 【東電「9mSv以上の被曝でも影響無い」】 シンポジウムでは、裁判外紛争解決手続(ADR)や裁判を通して加害企業である東電と闘う状況が村民から報告された。 長谷川健一さん率いる「飯舘村民救済申立団」は、3000人を超える村民が加わり、事故や避難に対する慰謝料を求めている。東電は一部、和解に応じたが、初期被曝に対する慰謝料に関する和解案を昨年11月、拒否した。 「今中さんが750人の村民と面談したところ、4か月間の初期外部被曝線量の平均は7・0mSvだった。このうち、9mSv以上の被曝があったと思われる約200人に対して1人あたり15万円の慰謝料増額を求めたが、東電は見事にけっぽってきた」。 原子力損害賠償紛争解決センターに提出した主張書面で、東電は「9mSv以上の被曝をしたことをもって慰謝料の発生を基礎づける程度の身体への影響が生じるとはそもそも考えられません」、「今中試算に基づく被曝線量の推計については実体と大きく乖離している可能性が高い」、「避難指示が出された後も村内に滞在したのは自身の選択に基づくもの」などとして拒否した。「長谷川さんは「年末に『馬鹿にするな』、『冗談じゃない』と声を荒げながら抗議書を提出した。訴訟に向けて進んで行かなければならないのかと考えている」と怒りを込めて話した。 […] 全文
【飯舘村で「対話キャンプ」】無用な被曝は絶対に避けるべきか、実際に村を訪れて原発事故被害を理解するべきか via 民の声新聞
高校生や大学生など全国の若者たちが3日から5日にかけて実施された「対話キャンプ in 福島~復興視察・講演会~」で福島県相馬郡飯舘村を訪問。村内に2泊し、原発事故から80カ月が経とうとしている村の実情について学んだ。参加者の中には制服姿の女子高生もおり、村民から「あんなに放射線量の高い土地に宿泊させて良いものか」と被曝リスクを懸念する声があがる一方、「実際に現場 を目で見る事の意義は大きい」との見方もある。実際に参加した若者たちも「実際に訪れて良かった」と目を輝かせた。原発事故汚染地を理解するとはどういう事か。被曝リスクとどう向き合うか。今後の課題について考えたい。 […] 【「両親から猛反対されたが…」】 もちろん、インターネットや書籍を通して見聞きするよりも、実際に現場を訪れる方がはるかに得るものは大きい。しかし、この問題の難しさは、現状を知ろうと現場を訪れるには必ず、被曝リスクが伴う点だ。やはり講師として招かれた元村役場職員の菅野哲さん(福島市内に避難中)は「現場を見てくれるのは良い事だが、村内に2泊もするのは賛成できない」と話した。若者たちを2日間、受け入れた伊藤さんも「いろいろと語り合ってみて、彼らが単に物見遊山で飯舘村に来たわけでは無い事は良く分かった。思いの外、意識は高かった。しかし、被曝リスクが無い、絶対に大丈夫なんて誰にも言えない。被曝は絶対に避けるべきだという考えは変わらないが、現場に来て学ぶ意義は大きいとも思う。非常に悩ましい」と語る。 伊藤さんによると、ふぁーむの食堂は約0.3μSv/h、女子の宿泊棟は0.4~0.5μSv/hあるという。参加者の1人に線量計を携行してもらったところ、35時間の滞在での積算線量は8.5μSv。伊藤さんの換算では0.36μSv/hに相当するという。原発事故前の空間線量が0.04μSv/h程度だったので、10倍ほど多く被曝した計算になる。屋外での活動はほとんど無かったとはいえ、放射性微粒子を吸い込む危険性も否定出来ない。 参加した女子高生の1人は「自分が普段の生活環境の10倍の放射線量の場所にいる、と村で聞いた時に怖いなと思ったし、自分の身体にどういう影響があるのか分からないけど、それでも参加して良かったと思う」と話した。「将来があるから参加しない方が良いと言う大人もいたが、参加した事で自分の身体に悪影響が出たとしても何とも思わない。参加したメリットの方が大きかった」と話す女の子もした。別の女子高生は「両親に猛反対されたが押し切って参加した。来て良かった」と振り返った。 主催した田中さんは、インターネット上で厳しい批判にさらされた。筆者も放射線防護の観点から中止を求めたし、中には罵詈雑言に近い言葉を浴びせる人もいた。それでも実施したのは「忌まわしい原発事故を二度と繰り返さないため。飯舘村の現状を視察する事が、それこそ今後の被曝を生まない事につながると考えた」から。「決して原発推進に加担しているわけでは無い」とも。ただ、それであればなおさら、宿泊地をより被曝リスクの低い村外に用意して村での滞在時間を極力少なくするなど、細心の注意が必要では無かったか。問題意識の高い若者ほど現場を訪れたいという気持ちを抱くのも理解出来るが、意識が高い事が決して被曝リスクを減らす担保にはならない事もまた、事実だ。 悩んだ末に若者たちを受け入れ、飯舘村の現状について講演した伊藤延由さん。現場を訪れる「メリット」と「被曝リスク」のどちらに重きを置くかについては、いまだに答えは出ていないという。 【「脱原発」勧める講演会も】 若者たちに帯同した五十嵐名誉教授も「現地を見る意義は大きい」と肯定的な見方を示した。最終日の5日に福島市内で講演し「国策民営で、コストを無視して原発を建設し続けた」、「電力会社はマスコミを黙らせるために広告を出した」、「地震大国の日本は、原発をつくってはいけない国」、「一方で安全神話を語りながら、事故を隠ぺいしてきた」、「旧民主党政権の脱原発政策が後退したのは、米政府の圧力と言われている」などと日本の原発推進の歴史を90分以上にわたって語った。 福島第一原発の事故に関しては「大津波を予測した文書など、いくつもの危険信号を無視した。事前に徹底的に対策を講じていれば、事故は防げた可能性がある」と指摘。「原発問題は最終的には政治の問題。目先の利益にばかりとらわれていると、自然や国土が取り返しのつかないものになってしまう」と「脱原発」を呼びかけた。 参加者が一様に「参加して良かった」と話し〝成功〟に終わった対話キャンプ。一方で放射線防護の課題も残った。医師で長野県松本市長を務める菅谷昭氏は著書「これから100年放射能と付き合うために」(亜紀書房)の中で「地震や津波などの自然災害であれば、時間はかかっても必ず復興することができる。しかし、放射能に汚染されてしまった土地はそういうわけにはいきません。再び住めなくなる土地が出てくるのです」と述べている。また「年20mSvに達しない土地ではもはや避難の必要は無い」と断言する山下俊一氏(長崎大学、福島県立医大副学長)でさえも、著書「正しく怖がる放射能の話 100の疑問『Q&A』 長崎から答えます」(長崎文献社)の中で次のように書いている事を忘れてはならない。 「放射線を防護する鉄則は、つぎのとおりです。①放射線源から離れる②放射線に接する時間を短くする③放射線を遮る環境にとどまる④放射性物質に触れたらすみやかに取り除く」 全文
仮設提供19年3月で終了、福島 避難解除の5市町村via 北海道新聞
福島県は28日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を受けた仮設住宅について、原発事故による避難指示が解除された5市町村の避難者への無償提供を2019年3月末で終了すると発表した。仮設住宅に代わる復興公営住宅などの整備が進んだことを理由としている。 期限までに住宅再建が完了しない避難者には個別に延長を検討する。 対象となるのは南相馬市、川俣町、川内村、葛尾村、飯舘村の旧避難指示区域からの避難者で、災害救助法に基づき県内外で入居している3688戸。民間から借り上げているアパートなどの「みなし仮設住宅」も含む。 全文
原発被害 共感の輪 福島の牧場描く藤沢の山内さん、ロシアで個展via 東京新聞
◆8日から「命の重さ、弱者の痛みを」 立てなくなった牛や馬、叫ぶ牧場主-。東京電力福島第一原発事故で汚染された福島県内の牧場を描いてきた藤沢市の画家、山内若菜さん(40)が8日から、ロシア・ハバロフスクの極東美術館で個展を開く。「同じ原発事故を経験したロシアの人に見てもらい、弱者への共感を広げたい」と話している。 (加藤豊大) 六月下旬、山内さんは自宅近くのアトリエで、縦二・三メートル、横三・五メートルの「牧場・相棒との別れ」の仕上げにかかっていた。モチーフは福島県飯舘村にある牧場。原発事故後、原因不明の体調不良でかわいがっていた馬が死に、最後の別れを告げる牧場主を描いた。 山内さんが、福島県内の牧場を描き始めたのは二〇一三年の冬。友人とボランティアで訪れた浪江町で、「希望の牧場・ふくしま」代表の吉沢正巳さんと出会った。希望の牧場は福島第一原発から十四キロ。飼っていた肉牛三百頭余りは被ばくし売ることができなくなった。それでも吉沢さんは「殺すわけにはいかない」と全頭の飼育を続けた。 その後、同じく放射能に汚染された飯舘村の牧場で牛馬を守り続ける細川徳栄さんと知り合った。話を聞き、酒を交わすうちに二人と仲良くなり、年に二、三回ほど牧場へ行き、弱っていく牛や馬の世話を手伝うようになった。 広大な二つの牧場には死んだ牛や馬の白い骨が散乱。家族同然に愛情を込めていた馬が痩せ細り死んでいくのを前に、細川さんは声を殺して泣いた。吉沢さんは時に、失われていく命に対する責任をとらない国や電力会社への怒りを爆発させた。 […] 「失われた一頭一頭の命は重い。牧場主の痛みへの共感を国を超えて広げたい」という山内さん。自身のブログ(インターネットで「若菜絵ブログ」と検索)で展示風景や来場者の感想などを紹介する予定だ。 全文