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Tag Archives: 法廷闘争
東電が謝罪 取り返しつかない被害viaしんぶん赤旗
東京電力福島第1原発事故をめぐって避難指示が出ていなかった福島県いわき市に居住していた住民が東電と国に損害賠償を求めた「いわき市民訴訟」の原告団に対し東電は17日、いわき市内で謝罪しました。同種の訴訟で東電の謝罪の場が設けられたのは3件目。 同訴訟の控訴審判決は3月10日、仙台高裁であり、国の責任を認めず、東電に対し計3億2660万円の支払いを命じました。東電が上告を断念したため、東電に支払いを命じた判決は確定。原告団・弁護団が東電に「真摯(しんし)な謝罪」を求めていました。 出席した東電の福島復興本社の高原一嘉代表は小早川智明社長の謝罪文を代読。小早川社長は「先の見通しのつかない不安や知覚できない放射線被ばくに対する恐怖や不安」などによって「取り返しのつかない被害および混乱を及ぼしてしまった」として「心から謝罪いたします」と述べています。 また謝罪文では、3月の仙台高裁判決について「判決文のご指摘について、真摯に受け止めており」として、「防ぐべき事故を防げなかったことについて深く反省する」と述べています。 謝罪文を受け取った原告団長の伊東達也さん(82)は、判決文の指摘を真摯に受け止める旨は「多とします」と述べるとともに、津波対策を先送りした東電の対応を「経営上の判断を優先」させたなどと指弾した判決の指摘の一部でも謝罪文にないのは「真摯な態度と言えない」と指摘。事故を二度と起こさない誓いを最優先で実践することなどを東電に求めました。 原告の阿部節子さん(67)は「原発事故は多くの夢を奪い、不安を与え、福島をバラバラにしました」と述べ、東電に「原発事故の責任をしっかり果たして」と訴えました。高原代表は、2人の言葉を小早川社長に伝えると述べました。 謝罪後の原告団・弁護団の会見で、伊東団長は「事故の教訓をどう加害者が自分のものにしているかが、いわき市や福島県の復旧・復興にとって大切なことだ」といい、原告の思いを伝えたことで「一歩ステップアップした」と述べました。 原文
避難先が確保されず、高線量の村内にいた原告が激怒! 東電側が反論の準備書面で「避難しなかったあんたたちが悪い」と暴論!~2.13「飯舘村原発被害者訴訟」損害賠償請求事件 第7回 口頭弁論後の報告集会 via IWJ
<IWJ取材報告 2> 2月13日、福島県飯館村の住民13世帯31名が、国と東京電力ホールディングス株式会社を被告として東京地方裁判所に提起した損害賠償請求訴訟の第7回口頭弁論期日が行われました。 同日、その報告集会が東京都千代田区の日比谷図書文化館で開催されました。 司会の仲千穂子氏によると、同日の口頭弁論はわずか「1分で終わった」とのこと。予定された原告の意見陳述が、体調の関係等で次回に延期となったからです。しかし、原告らが要望していた、裁判官らによる現地飯館村での進行協議(検証作業)の実施を求める「意見書」が、提出されました。 東京電力からは、世帯ごとの主張書面に対する反論として、「準備書面」が3世帯分出されました。東電は13世帯への反論を、3回に分けて出す予定とのことです。 今回、原告の伊藤延由氏に対する反論が出されましたが、仲氏によれば、伊藤氏はこの反論に「激怒」しているとのことです。伊藤氏は以下のように、避難時期に関する被告側の主張が「暴論」であると批判しました。 2011年4月11日に、計画的避難区域を発令するという国からの指令があり、4月22日に飯館村がそれを受託し、避難指示を出しました。伊藤氏によると、これを根拠に被告側の弁護士は、「4月22日以降、村にいるのはおかしいんじゃないか」と主張しているとのこと。 伊藤氏は、「現実的には、避難先が確保できないということで、実質的には亡くなられたハセガワさんのところが一番遅かったが、7月の初めくらいに仮設(住宅)ができて、ようやく避難している。それまでは、あの高線量の中にいた」と述べました。 「確かに村は、妊婦や子どもさんは、温泉やスキーロッジに行かせたが、一般の人たちは、ほとんどそのまま居たし、子どもたちも、実は、『何で避難しなけりゃいけないの』っていうことで、避難しないで、村内に大勢いた」 このように語った伊藤氏は、「(東電側は)4月22日以降、避難しなかったあんたたちが悪いって言ってる。とんでもない」と、憤りをあらわにしました。 その他、「ふるさと喪失」の実態や、住民の被曝線量に関する東電側主張の問題点等について、参加した支援者による質問や、弁護団長の大橋正典弁護士など弁護団や原告による説明が行われました。 原告団長の菅野哲氏は、「裁判官に飯館村をぜひ見てほしい」「現実がわかってないんじゃないのか。目で見て確かめてほしい」と訴えました。 なお、次回口頭弁論は5月24日、次々回が9月13日に決定しました。 会見について詳しくは、ぜひ全編動画を御覧ください。 ※避難先が確保されず、高線量の村内にいた原告が激怒! 東電側が反論の準備書面で「避難しなかったあんたたちが悪い」と暴論!~2.13「飯舘村原発被害者訴訟」損害賠償請求事件 第7回 口頭弁論後の報告集会https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514050 IWJはこれまで「飯舘村原発被害者訴訟」について、以下の記事で報じています。ぜひ、こちらもあわせて御覧ください。 ※政府・東電、そしてメディアが流布する「安全神話」!! フォトジャーナリスト・豊田直巳氏が語る飯舘村真実の10年~12.22飯舘村原発被害者訴訟(謝れ!償え!かえせふるさと飯舘村)第2回口頭弁論期日報告集会 2021.12.22https://iwj.co.jp/wj/open/archives/500456 ※「13人の原告の被曝線量は看過できるレベルのものではない! 原告の住宅は除染後にもかかわらず、今なお高濃度の放射能に汚染されている!!」~3.23「飯舘村原発被害者訴訟」損害賠償請求事件 第3回 口頭弁論後の報告集会 2022.3.23https://iwj.co.jp/wj/open/archives/503799 原文
被爆2世が国に賠償求めた裁判 原告側の訴え退ける 長崎地裁 via NHK News Web
長崎で被爆した人を親に持つ「被爆2世」が、被爆者の援護を定めた法律の適用対象となっていないのは不当だと国を訴えた裁判で、長崎地方裁判所は「被爆2世の援護のあり方については、立法府の裁量的判断に委ねられているというべきで、憲法に違反するとはいえない」として原告側の訴えを退けました。 国は「被爆者援護法」に基づいて被爆者に対しては医療費の自己負担をなくすなどの支援をしていますが、被爆した人を親に持つ「被爆2世」はこの法律の適用対象にしていません。 これについて、長崎の「被爆2世」ら28人が5年前「健康への遺伝的な影響が否定できないのに被爆者と同じ援護が受けられないのは法の下の平等を定めた憲法に違反する」などと主張して、国に対し1人10万円の損害賠償を求める訴えを長崎地方裁判所に起こしていました。 これに対し、国側は「さまざまな科学研究において親の被爆による遺伝的な影響は確認されていない」などと反論して、訴えを退けるよう求めていました。 12日の判決で、長崎地方裁判所の天川博義裁判長は「被爆2世については、身体に直接、原爆の放射能を被爆したという事情は認められず、遺伝的影響についてはその可能性を否定できないというにとどまる」と指摘しました。 そのうえで「被爆2世を援護の対象に加えるか否かや援護のあり方については、立法府の裁量的判断に委ねられているというべきであり、援護の対象としないことが合理的理由のない差別的取り扱いに当たるとは認められず、憲法に違反するとはいえない」として、原告側の訴えを退けました。 今回の裁判は全国で数十万人いると推定される被爆2世について、親の被爆による健康への遺伝的な影響や援護のあり方が初めて争われたもので、広島でも同様の裁判が行われています。 今回の判決を受けて、原告や弁護団は長崎市内で会見を開きました。 […] また、在間秀和弁護団長は「私たちの求めた被爆2世に対する賠償を否定したことは到底納得し得るものではなく強く抗議する。一方で、『放射線被被害の遺伝的影響』については認めたと理解できる」としたうえで「一定の評価はできるけれど極めて不十分な判決だと受け止めている」と述べました。 また、中鋪美香弁護士は「遺伝的影響について、裁判所の見解を述べるというよりは双方の出された資料や主張を併記したうえで「否定はしていない」という表現にして裁判所が評価していないのが残念だなと思う。立法論、裁量論にもっていかれたことが残念で、判決に何らかのメッセージが込められることを期待したがなかったことが残念」と話しました。 また、判決を受けて控訴するかどうかについては、今後、原告らの報告集会などを踏まえてから判断したいとしています。 松野官房長官は、午後の記者会見で「国の主張が認められたものと認識している。被爆2世の方については、その健康状態の実態を把握するとともに、ご自身の健康管理に資することを目的として国として健康診断を実施しているところであり、引き続き適切に取り組んでいく考えだ」と述べました。 広島の裁判の原告で、全国の被爆2世でつくる「全国被爆二世団体連絡協議会」の事務局長を務める平野克博さんは、12日の長崎地裁の判決について「予想はしていたが、厳しい判決だったと思う。いずれの裁判でも被爆2世の苦悩や体験を文章にまとめて証拠として提出したが、長崎ではそうした不安への裁判所の受け止めが薄かったのではないか」と話しました。 一方で「『遺伝的影響についてはその可能性を否定できない』とした部分は、これまでの国の見解よりも半歩は踏み込んでいると感じているので、一定の評価ができると思う」と述べました。 そのうえで、来年2月に予定されている広島地裁での判決について「自分が被爆2世であることを明らかにできない人もいて、健康に不安を持っている人も多い。放射線の遺伝的影響についてもう一歩でも半歩でも踏み込んだ判決を期待している」と話していました。 全文
福島市の1歳児で少なくとも60ミリ〜甲状腺がん裁判意見書 via OurPlanet-TV
東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた男女7人が東京電力に損害賠償を求めている「311子ども甲状腺がん裁判」の第4回口頭弁論が1月25日、東京地裁で開かれた。原告側は、放射性ヨウ素131による内部被曝は、吸引のみに限っても、福島市の1歳児で平均約60ミリシーベルトにのぼるとする意見書を提出した。 今回、原告側が提出したのは、黒川眞一高エネルギー加速器研究機構(KEK)名誉教授の意見書。福島第一原発事故当時の放射性物質の詳細なデータはあまり残っていないものの、KEKの平山英夫教授(当時)ら、研究グループが、原発から60キロ地点にあった福島市紅葉山のモニタリングポストに1時間ごとの核種別の線量が残っていたことに着目し、大気中の放射性ヨウ素131の濃度を算出した論文が存在していることを指摘した上で、その時間ごとの濃度をもとに、1歳の子どもの吸引による被曝線量を推計した。その結果、最も放射線量が高かった3月15日から16日の数時間にかぎっても、約60ミリシーベルトの内部被曝をしたと主張した。 原告は、ICRP(国際放射線防護委員会)のLNTモデル(しきい値無し直線仮説)に基づき、放射線被曝による健康影響に閾値はなく、線量が非常に低くても、病気になる可能性はあるとの立場をとる。しかし、UNSCEAR(国連科学委員会)の報告書をもとに、原告らは10ミリシーベルト以下の被曝しかしていないとする被告の主張は、あまりに過小評価であり、信頼性が低いと指摘した。 このほか、この日の弁論では、原告2人が証言台に立ち、意見陳述をした。事故当時、中通りで生活していた20代の男女ひとりずつで、男性はこれまでに4回の手術を経験。7時間におよぶ2回目の手術では、「死んだ方がましだ」とさえ考えた苦しみを、涙声で訴えた。 また、もう一人の女性は、1年前の裁判提訴の新聞記事を見て、原告団に加わった経緯に触れ、自分と同じような境遇の患者による裁判の存在により、心が救われた思いを吐露した。女性は、「坂本三郎さん、野口晶寛さん、原健志さん。」と裁判官の名前を一人ひとり呼び、「私たちは今、匿名で戦っていますが、一人ひとり名前があります。私の名前はわかりますか。」と問いかけ、「かつての私のように、裁判官の皆さんにとっては、ひとごとかもしれません。私がそうだったから、痛いほどわかります。でも、私たちがなぜこのように立たざるを得なかったのか。それだけでも理解してほしいです。」と声を振り絞って訴えた。 次回の第5回口頭弁論期日は3月15日(水)14時から東京地裁103号法廷で開かれる。また、第6回期日は6月14日、7回期日は9月日に決まった。 原文と動画
水戸喜世子共同代表「判決を受けて」via 子ども脱被曝裁判ホームページ
判決要旨を読んだうえでの感想です。枝葉末節の整合性を、事実に基づかない仮定の上に積み上げてみせただけで、肝心かなめ、弁護団が発見したとんでもない法律の空白については触れていないのはなぜでしょう。不思議です。 子どもが毎日通っている学校。親は安全な場所だと絶対的信頼を寄せて、子どもを送り出したものです。学校が安全なのは学校環境衛生基準という法律があって、絶えず、最新の情報に入れ替え、見直しがされ、厳しく管理されているからなんだということを、規則を読んでみて、私も初めて知りました。憲法、教育基本法をこどもの現場で、こんな形で具体化して、子どもの安全を保証していることに、感心しました。 教師をしていた友人に聞いてみたら、そういえば、毎年検査が入っていたね、と教えてくれました。検査項目は多岐にわたっていて、温度、黒板の明るさ、水質、その他様々な有害物質の濃度基準値が全て数値で示されています。ネットで「学校環境衛生基準」と検索すれば、出てきます。お子さんのためにも一度のぞいてみてください。 放射能がばら撒かれて12年が経つというのに、放射性物質についての基準値が書かれていないと気づいた弁護団が指摘したのが事のはじまりでした。調べてみたら、本当にないのです。こんな過酷事故を想定していなかったから当然かもしれません。五重の壁に守られているから絶対事故は起きないと電力会社と一緒になって国も豪語していたのですから。それにしても、事故からすでに12年、文科省も、国会も知らんぷりとは、信じがたい怠慢です。異常な人権無視です。3.11の事故が起きてからの、子どもを持つ親の最大の心配ごとは放射能被ばくの一点でした。多くの親子が、何の手も打たない学校を見限って県外に避難したのです。いっときの除染をしただけで、作業員の基準である年20ミリシーベルトに放置し、何の手も打たなかったから学校に愛想をつかした結果です。残った人は、学校の善意を信頼したのだと思います。 弁護団は規則に放射性物質についての基準値がないことを裁判所に教え、整備されるまで、空白のまま放置するのは、子どもの安全上、許されないとして既存の法律(環境基本法)を根拠に暫定値を試算してみせました。すると現行の年20ミリシーベルト暫定値は、環境基本法が定める基準値の7000倍の死亡率に相当することがわかったのです。そんなところで、子どもを教育することの是非を、裁判所に判断せよ、と迫ったのです。子ども人権裁判の根本的命題です。 ところが判決文には反論もなければ、批判もない。無視しました。法の番人が法の空白を見過ごして、何を根拠に子どもが保護されているのか、いないのか、どうやって判定できるのでしょうか。長々とした説明になりましたが、司法への失望はまたもや絶望的なほど深いです。 三権分立不在!と叫ぶ気力すら奪われるような昨今の裁判劣化ですが、それにもめげずに、裁判に関心を寄せてしまうのは、裁判は私にとって、その分野の専門家の意見が聞けて、その上で自分の見解を持つことが出来る、市民にとっては貴重な学びの場だからです。恐らく多くの市民にとってもそうではないかと思います。勝ち負けももちろん関心がありますが、たとえ負けても、一層真実の所在が際立って理解でき、奮い立つのです。 被ばく。晩発性故に厄介な、核推進派にとってのカクレミノにされてきた事例を、多くの人に知ってほしい。考えられる限りの公害物資を学校環境衛生基準にしっかり組み込んでいるのに、なぜ、放射性物質だけが特別扱いか。放射性物質に対して、大人の5倍から7倍弱い子どもには、せめて学校内だけでも、基準値を決めて、子どもの安全を守らせねばなりません。司法があてにならなければ、親たちがこのことに気づいて声をあげられるように、裁判で学んだ私たちが、世論喚起に本気になって取り組むことが求められていると思います。(了) 原文
1ミリ以下での学校教育を求めた裁判〜仙台高裁が棄却 via OurPlanet-TV
福島県在住の子どもが、放射線量の低い安全な環境で教育を受ける権利を求めて、国や福島県、市町村を訴えていた裁判(子ども脱被曝裁判)の控訴審判決で、仙台高裁(石栗正子裁判長)は1日、中学生2人の控訴を棄却した。既に卒業している2人の請求は却下した。 裁判所は「人の健康の維持に悪影響を及ぼす程度の放射線に被ばくする具体的な危険が存在するとは認められない」などとして、「安全配慮義務に直ちに反するものとはいえない」と判断した。 判決後の記者会見で、井戸謙一弁護団長は、放射性物質は環境基本法の規制物質になった現在も、基準が出さめられず、ベンゼンなどの化学物質と比べ、7000倍の違いがあると主張してきたが、裁判所に逃げられてしまったと述べた。 また同じく弁護団長の光前幸一弁護士は、「20ミリシーベルトを上回らなければ、裁判上、具体的な危険は認められないということ。他の公害物質と大幅に違うことには踏み込まなかった」と悔しさをにじませた。 2014年の提訴から8年半。当時小学校1年生だった子どもは中学校を卒業するため、最高裁への上告はできない。2011年6月に郡山の子どもが、安全な学校での教育を求めて仮処分の申し立てを行った「集団疎開裁判」からは12年が経過する中、原発事故による被ばくを免れるために、学校単位での集団避難を求めて提起された裁判が終わりを迎えた。 福島県内に住んでいた親子160人が、事故後の被ばく対策が不十分だったことにより、精神的苦痛を受けたとして国と県に損害賠償を求めた裁判、昨年9月に分離された。3月27日に次回期日が開かれる。 原文と動画
【福島原発かながわ訴訟】「もっと注意喚起してくれたら…」「子どもたちを被曝させてしまったかもしれない」女性原告が意見陳述~横浜地裁で第2陣の第3回口頭弁論 via 民の声新聞
2011年3月の福島第一原発事故で福島県から神奈川県に避難した人々が、事故の原因と責任の所在を明らかにし完全賠償を求めて起こした「福島原発かながわ訴訟」。2021年9月3日に提訴した第2陣(5世帯16人)の第3回口頭弁論が12日午前、横浜地裁101号法廷(高取真理子裁判長)で行われた。幼い息子とともに福島県福島市から避難した50代女性が意見陳述。国や自治体からの注意喚起がほとんどなく「子どもたちに被曝をさせてしまったかもしれない。申し訳なさを持ち続けています」などと述べた。次回期日は4月20日14時。原告の意見陳述が予定されている。 【初期被曝への後悔】 「家族それぞれ、充実した毎日を送っていましたが、その生活は原発事故で一変してしまいました」 女性は生まれ育った福島市で、夫と高校生の娘、幼稚園に通う息子と4人暮らし。娘は高校のダンス部に所属し、息子は幼稚園に隣接する山で伸び伸びと遊んでいた。女性はいずれ店を引き継ぐことを視野に入れながら、実家の美容室で働いていた。2011年3月の震災・原発事故が起きるまでは…。そこに降り注いだのが、大量の放射性物質だった。 「放射線に関する知識はなかったので何をしたら危険なのかが分からず、事故後の行動について後悔することとなりました」 被曝リスクに関する情報は乏しく、福島県も福島市も注意喚起をするどころか〝安全〟を強調するばかり。女性は当時の行動で子どもたちに無用な被曝をさせてしまったのではないかと悔やんでいるという。 「事故後も幼稚園に通常通り通園していました。しかし、4月に入ってから、幼稚園も、幼稚園の隣の山も線量が高いことが分かり、山の中は立入禁止となりました。山は竹林なので除染もできないということでした。また、娘の通っていた高校も周囲の施設も、線量が高いことが分かりました」 生活用水を汲んでいた場所はホットスポットだった。放射性物質を室内に入れないため換気扇を回さない、洗濯物を汚染させないよう外干ししない、など被曝リスクを避けるための情報が届いたときには、既に初期被曝をしてしまっていた。福島第一原発で爆発事故が起きた直後になぜ、注意喚起をしてくれなかったのか。「特に子どもたちには、事故直後に危険なことをさせてしまったと、今でも申し訳なさと不安な気持ちでいっぱいです」。 夏でも長袖にマスクをして生活するような場所に住み続けていいのだろうか、という想いが日増しに強くなった。そして原発事故発生から半年後の2011年9月、女性は決断した。 【「誰にも相談できなかった」】 女性は幼い息子を連れて福島市を離れた。娘は受験を控えていることもあり、2人だけで関東に向かった。「しかし、母と息子2人だけでの避難生活は本当に辛いものでした」。 内気な息子は、知らない土地での新しい生活になじめず、精神的に不安定な日々が続いた。進学した小学校で〝避難者いじめ〟に遭わなかったのはせめてもの救いだった。 女性も、徐々に不安定になった。 「頼れる人が1人もいない、息子を守れるのは私1人。張り詰めた気持ちでいるうちに、涙が止まらないなど不安定な日々が続きました。福島県外に避難したことで、実家の美容室を継ぐことも叶わなくなってしまいましたし、父が亡くなった際には最後のお別れもできませんでした」 娘は進学先の大学で「放射能が移る」、「近寄るな」などの心ない言葉を浴びたことがあったという。なぜ、こんな想いをさせられなければならないのか。 […] 【「区域外避難者への賠償低すぎ」】 法廷では、山﨑健一弁護士も「原発事故により原告らが被った精神的損害」について意見陳述した。 「原子力損害賠償審査会(原賠審)の中間指針等においては、政府による避難指示等対象区域内からの避難者に対しては、原則として1人当たり月額10万円、区域外からの避難者に対しては、子ども及び妊婦について1人当たり40万円、その他の者は1人8万円を目安として賠償基準を提示している。しかし、そもそも、政府による避難指示等は科学的な根拠に基づくものではなく、避難による社会的混乱等を考慮した政策的な判断に過ぎなかったのであり、その対象区域によって賠償に水準に大きな格差を認めることに合理性は認められない。とりわけ、対象区域外からの避難者に対する賠償額は、その被害実態に照らして余りに低額に過ぎ、著しく不合理というほかない」 昨年12月に公表された原賠審の「第五次追補」については「約9年振りの指針の見直しであり、本件原発事故の被害救済の必要性からすれば、遅きに失したものと言わざるを得ないが、同種集団訴訟で認められた『避難を余儀なくされた慰謝料』、『ふるさと喪失・変容慰謝料』等を新たに中間指針等に取り込むものであり、被害の救済範囲を拡げた点において大きな前進」と評価。一方で問題点も指摘した。 「目安として定められた賠償額は、本件原発による被害の深刻さに照らせばいまだ不十分。また、政府による避難指示等対象区域間において不当に大きな賠償格差が残されたままであることも問題。特に、自主的避難等対象区域に関する賠償額については、現時点で十分な判決例の集積がないこともあってか今回の見直しではほとんど踏み込んだ検討がされておらず、今後の大きな課題だ」 そのうえで、裁判所には次のように求めた。 「中間指針等には多くの課題が残されており、その適正な見直しがなされるためにも、本件原発事故の深刻な被害について個別具体的に検討した上での適正な司法判断が必要」 「本件訴訟においても、個別具体的な事情を踏まえて原告らの被害実態に見合った適正な賠償額を評価する必要がある。他方で『第五次追補』で示された対象区域には該当しない各原告に対しても、居住区域だけを理由に各賠償の対象とならないとすることは許されず、やはり個別具体的な事情を十分に考慮して被害実態に見合った適正な賠償を認めるべき」 全文
【原発避難者から住まいを奪うな】裁判官忌避申立も国際人権法もぜーんぶ無視して「国家公務員宿舎から出て行け」 怒号飛ぶ法廷で福島地裁が2世帯に判決言い渡し via 民の声新聞
2023/01/14 11:50 福島県が2020年3月、区域外避難者4世帯を相手取り国家公務員宿舎「東雲住宅」(東京都江東区)の明け渡しと未納家賃の支払いを求めて提訴した問題で、福島地裁の小川理佳裁判長は13日午前、審理が併合された2世帯に対し、福島県の主張を全面的に認める判決を言い渡した。小川裁判長を巡っては、避難者側が「訴訟指揮が不公平」などとして忌避申立。最高裁の結論が出ていないにもかかわらず判決言い渡しを強行した。判決内容も「避難者側が主張した国際人権法や知事の裁量権逸脱などをまったく検討していない」(柳原敏夫弁護士)。避難者側は仙台高裁に控訴する意向を示した。 福島県の主張を全面採用】 小川裁判長は小さな声で判決文を言い渡した。早口でメモもままならない。途中、傍聴席から「声が小さくて聞こえない」と声が飛んだが、小川裁判長は気にも留めずに主文を読み続けた。 退去済みの避難者には未払い家賃(131万8647円)の支払いを、退去できていない避難者には明け渡しと未払い家賃(147万5268円)と明け渡しまでの家賃(月額6万4863円)の支払いを命じる判決。傍聴席が騒然とするなか、小川裁判長は逃げるように法廷を後にした。その間、わずか40秒だった。 […] 「一時使用許可の期間が満了した場合において、社会権規約によって、期間経過後も本件各建物での居住を継続する具体的権利が保障されるものではない」などとして、避難者たちの居住権を否定した。 だとすれば、国内避難民の人権に関する国連特別報告者セシリア・ヒメネス・ダマリーさんはなぜ、訪日調査後の「予備的所見」(6月に最終報告書が提出される予定)で、次のように指摘しているのだろうか。 「援助や支援を受けるという点での『強制避難者』と『自主避難者』という分類は、実際にはやめるべき。人道的な保護と支援は権利とニーズに基づくべきであり、国際人権法に根拠のない地位に基づく分類に基づいて行われるべきではない」 「ある種の公営住宅に今も居住しているIDPs(国内避難民)は、現在、彼ら/彼女らを相手取って提訴された立ち退き訴訟に直面している。IDPsがどこにいようとも、政府は、特に脆弱な状態にあるIDPsに対して住宅支援の提供を再開すべきであると勧告する」 避難者の代理人を務める柳原敏夫弁護士は閉廷後「一番大事な『国際人権法』と『裁量権の逸脱・濫用』に触れた部分は1ページほど。ここに裁判所の姿勢が端的に現われている。私たちはこの点こそ、きちんと審理して十分に説明して欲しかった。5秒もあれば書ける判決だ」と批判した。 […] 全文
【子ども脱被ばく裁判】「判断権者の尋問欠かせないのに…」仙台高裁が福島県知事ら5人への証人尋問申請を全却下 「必要性ない」と裁判長~控訴審第5回口頭弁論via民の声新聞
2022/11/15 19:30 原発事故後の福島県内の被曝リスクや行政の怠慢を正面から問う「子ども脱被ばく裁判」の控訴審。第5回口頭弁論が14日午後、仙台高裁101号法廷(石栗正子裁判長)で行われ、石栗裁判長は控訴人(一審原告)から出されていた5人への証人尋問申請をすべて却下した。高裁は福島県の内堀雅雄知事など判断権者の話を聴かないまま、SPEEDI情報隠蔽や学校再開についての「年20mSv基準」など、国や福島県の原発事故対応について判断する。次回期日は3月27日15時。2月1日には、審理が分離され結審した行政訴訟(子ども人権裁判)についての判決が言い渡される。 【「立証趣旨は理解しているが…」】 石栗裁判長が全員却下を伝えると、「ええええええ」と傍聴席がどよめいた。 5人全員とはいかないまでも、何人かの尋問は実現するだろう。誰もがそう考えていた。開廷前の事前集会でも、井戸謙一弁護士(弁護団長)は「何人かの採用はあるはず」と話していた。しかし、石栗裁判長は言葉遣いこそていねいだったが、控訴人側からの申請を一切認めなかった。 「結論を申し上げます。立証趣旨としてお書きになっているところについては裁判所としては理解しておりますけれども、この5人の方の証拠調べ(証人尋問)が必要であるというふうには考えておりませんので、いずれも採用しないことと致します」 すぐに井戸弁護士が立ちあがった。 「裁判所が必要ないという考えなのであれば、前回わざわざ審理を分離しなくても良かったのではないか。分離してわざわざ今日の期日を設けていただいたということは、何人になるかは分からないけれども、採用していただけるというお考えなのだろうと期待していた。前回期日から今日までに考えが変わられたのか?」 石栗裁判長は「そういうことではありません」と否定した。 「前回期日も、行政事件については十分ご主張が整っているとは思わなかったが、時間的にあの時点で審理を終結しなければ年度内に判決を言い渡すことが難しい状況だったので分離した…あの時点で証拠調べについて何らかの考えを持っていて、それが変わったということはございません」 古川健三弁護士も納得がいかないという様子で立ち上がった。 「すいません、もう一度不採用の理由を説明していただけないでしょうか」 しかし、石栗裁判長は同じ言葉を繰り返すばかりだった。 「控訴人らの立証趣旨について、お書きになっているところは理解しておりますが、立証趣旨との関係で、この方々の人証調べが必要であるというふうには考えていないということです」 古川弁護士は「私どもとしては少なくとも福島県の内堀氏か荒竹氏かは採用していただけると考えていたので非常に残念」と述べたが、裁判所の判断が覆るはずもなかった。 […] ※弁論の併合と分離について 「子ども脱被ばく裁判」はこれまで、「行政訴訟」(通称・子ども人権裁判)と「国家賠償請求訴訟」(通称・親子裁判)の2つの訴訟を併合し、同時進行で進められてきた。 「行政訴訟」は、福島県内の公立の小・中学生である子どもたち(原告)が、福島県内の市や町(被告)に対し、被曝という点において安全な環境の施設で教育を実施するよう求めた。 「国家賠償請求訴訟」は、3・11当時、福島県内に居住していた親子が原告。国と福島県(被告)の『5つの不合理な施策』(①SPEEDIやモニタリング結果など必要な情報を隠蔽した②安定ヨウ素剤を子どもたちに服用させなかった③それまでの一般公衆の被曝限度の20倍である年20mSv基準で学校を再開した④事故当初は子どもたちを集団避難させるべきだったのに、させなかった⑤山下俊一氏などを使って嘘の安全宣伝をした)によって子どもたちに無用な被曝をさせ、精神的苦痛を与えられたとして、損害賠償(1人10万円)を求めている。 しかし、行政訴訟は子どもたちが中学校を卒業してしまうと原告資格を失うため徐々に原告が減り、来年3月にはついに原告がゼロになる事態を迎える。そこで、控訴人(一審原告)側は仙台高裁に弁論の分離を申請。石栗裁判長は前回9月の期日で分離を認めたうえで行政訴訟を結審。判決を2月1日に言い渡すとことを決めた。一方の「国家賠償請求訴訟」は審理が継続しており、今回の人証申請は「国家賠償請求訴訟」に関するものだった。 2つの訴訟の違いや争点などについては2021年2月20日号で詳報している。 原文
甲状腺がん裁判で20代女性が追加提訴へ via OurPlanet-TV
福島原発事故後に甲状腺がんになった男女6人が東京電力を訴えている裁判で、原告側の弁護団は2日、女性一人が新たに追加提訴すると明らかにした。女性は中通り出身で、現在は首都圏に住む20代。同裁判の第2回口頭弁論が行われる9月7日に提訴する。 原発事故当時小学校6年生だったという女性は、1年前の2021年夏に甲状腺がんの半分を摘出する手術を受けた。会見に臨んだ女性は、手術後、「殻に閉じこもる生活」をしていたところ、父親から裁判のことを聞かされ、「自分以外にも苦しい思いをしている人たちがいるんだ」と、提訴を決意したという。 女性のがんが見つかったのは、福島県が実施している甲状腺検査の4回目検査。過去3回の検査では、毎回「あなたは健康です。何も心配ありません」と言われたため、「安心しきっていた分、ショックだった」という。2年ごとに検査を受けているにもかかわらず、腫瘍はすでに1センチを超えており、医師には「手術を後回しにすれば再発や転移のなどの確率はあがる」と説明を受けた。 「病気になってしまたのは仕方がないとあきらめたくはありません。どんな結果になろうとも、原告として、最後まで覚悟を持って、この裁判に挑みます」と力を込めた。 「311子ども甲状腺がん裁判」の原告はこれで男性2人、女性5人のあわせて7人となる。同裁判の第2回口頭弁論期日は9月7日の14時から、東京地裁の806号法廷で開かれる。 ビデオを見る