原発潜水士を知っていますか? イラストで語る「被ばく労働」への思い via 毎日新聞

アトミックダイバー(原子力発電所内潜水士)を知っていますか――。潜水士として33年の経歴がある岡崎久さん(58)=愛媛県西予市=はかつて原発に潜って被ばく労働に従事した。

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岡崎さんは高校卒業後、陸上自衛隊に入隊。4年で除隊し、潜水士免許を取得した。以来、主に個人事業主として潜水の仕事を請け負い、石油パイプラインの敷設や消波ブロックの設置、阪神大震災で壊れた岸壁の復旧など国内外でさまざまな作業に携わった。潜水記録はイラストを付けて残しており、その数は3670枚に上る。

「原発内の仕事がある。やってみないか」。06年に知り合いの潜水士にそう誘われ、原発で働くことに。原発内部で被ばくを伴う作業をするのは初めてだったが、「何でも経験してみようと思ったので、恐怖心はなかった」と振り返る。日当は4万7000円。通常の潜水作業なら2万5000円ほどなので、その倍近くだった。

20人の潜水士が集められ、神奈川県内の大手重工メーカーの施設で訓練した。重さ15キロほどの特殊なヘルメットに、水が入らないように改造されたドライスーツを着用。エアホースや撮影用、放射線測定用など6本のケーブルにつながれ、両腕と胸、両足に線量計を着ける重装備だった。1週間の訓練を終えた潜水士たちは複数の原発に振り分けられ、岡崎さんは福島第1原発3号機に向かった。

潜ったのは、原子炉格納容器の圧力が水蒸気で上昇した場合に冷却する役割を持つ「サプレッションチェンバー(圧力抑制室)」。格納容器下部にあるドーナツ形の設備で、水深は3メートルほどあり、水を張ったまま保守作業するには潜水士が必要だ。岡崎さんはペアを組んだダイバーと機器の交換に当たった。

現場は放射線量が高く、1日に潜れるのは2時間程度に限られる。線量が特に高い場所に近づくと音声ケーブルを通して近寄らないように指示された。作業中にスーツが裂けたため、地肌についた放射性物質を洗い流す潜水士もいたという。福島には約1カ月間滞在した。作業員の法定被ばく限度は年間50ミリシーベルトだが、潜水作業をした12日間の被ばく線量は計7・34ミリシーベルトだった。最後は、汚染された装備一式をドラム缶に入れて廃棄した。

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原発の廃炉でも撤去作業などで潜水士の活用が考えられている。第1原発では今も1日約4000人が働く。今後数十年かかるとされる廃炉作業ではロボットも活用されるとはいえ、人間による被ばく労働が欠かせない。岡崎さんは「最新鋭の技術を結集させた原発でも人の手が必要な部分がある。その一端を潜水士が担っている」と話す。【関谷俊介】

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SCIENTISTS: NUCLEAR ENERGY IS A WASTE OF TIME via Futurism

DAN ROBITZSKI

[…]

That’s according to research published Monday in the journal Nature Energy, which shows that countries that adopted nuclear energy didn’t actually reduce their carbon emissions a significant amount — but that countries with renewable energy investments did. It’s a compelling case that clean energy initiatives ought to focus on solar and wind, and perhaps skip nuclear as a stepping stone on the road to decarbonization.

[…]

Looking at global data from the years 1990-2014, the University of Sussex science policy researchers also found that nuclear and renewable energy programs don’t play well together, in part since large, centralized nuclear plants require different infrastructure from more distributed solar fields, for example. 

[…]

Least Resistance

With only so much time and money available, study coauthor Benjamin Sovacool argues that spending money on a new nuclear program might effectively block subsequent renewables programs from working and, as a result, continue to emit too much carbon into the air.

“Countries planning large-scale investments in new nuclear power are risking suppression of greater climate benefits from alternative renewable energy investments,” Sovacool said in the release.

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原発事故高裁判決 国は責任認め救済を急げ via 熊本日日新聞

東京電力福島第1原発事故を巡り、福島県と、隣接する3県で被災した約3650人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は一審の福島地裁判決に続いて東電と国双方の責任を認めた。

 判決は「東電を規制する立場の国が役割を果たさなかった」と、安全軽視とも言える国の姿勢を痛烈に批判し、救済範囲を拡大。原告3550人に対し一審の倍額の計約10億1千万円を賠償するよう命じた。原発事故を自然災害ではなく人災とする原告側の主張も事実上認められ、国は完敗した。

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避難者らが国や東電に損害賠償を求めた集団訴訟は、全国で約30件を数え、原告は1万人を超える。国を被告に含む13件の一審判決のうち7件は国の責任を認め、6件は否定した。判断が分かれる中、原告数が最大規模の訴訟で、国の責任が明確に認められた意味は重い。

 最大の争点は、原発を襲う大津波を予見できたか、そして事故を防げたかだった。国の責任を否定したこれまでの一審判決は、いずれも国は津波を予見できたとしつつも、実際の津波は想定を大きく上回る規模で事故を回避できた可能性は低いなどとしてきた。

 高裁判決は、2002年に政府機関が公表した「福島沖で巨大地震が起きる可能性がある」という「長期評価」は合理的根拠のある科学的知見であり、これを基に試算すれば、遅くとも02年末ごろまでには10メートルを超える津波の可能性を認識できたと結論付けた。東電に対しては「新たな防災対策を極力回避し、先延ばしにしたいとの思惑が目立つ」と指摘。安全よりも経営を優先した姿勢が事故を生んだ、との見方を示した。

 さらに、判決は長期評価に関し、東電を規制する立場にある原子力安全・保安院が「不誠実な東電の報告を唯々諾々と受け入れ、規制当局に期待される役割を果たさなかった」と断罪。防潮堤を整備しても津波を防ぎきれなかったとする国の主張を退け、「国の規制権限の不行使は著しく合理性を欠き、違法」とした。

 国の賠償責任の範囲については、長期評価を基に試算が行われれば喫緊の対策を講じなければならなくなるため、国が東電の経済的負担などを恐れて試算自体を避けようとしたと判断。一審では東電の半分とされた国の賠償責任を見直し、同等に引き上げた。

 国が基準を定めた中間指針を超える賠償範囲と金額が認められた意義も大きい。指針は賠償の最低限の目安として11年8月に策定されたが、国や東電の過失を前提にしておらず、金額が低過ぎると問題視されてきた。

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福島県飯舘村で「移住者101人」 避難指示解除から3年余り、戻らない住民も多い一方でvia AERA.dot

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福島県飯舘村。9月下旬の祝日。小高い丘の上にある旧草野小学校の教室に、20人余りが集まった。村に移住してきた人たちやその暮らしに関心がある仲間たち、村の人たちが参加したワークショップで、村の「将来ビジョン」を語り合った。  小原健太さん(42)は、4カ月前に埼玉県から妻と2人で引っ越してきた。「来年から花栽培農家を始め、スターチスを育てます。年収500万円を目指したい」。サラリーマンをやめて、「不便で、知らなかった場所で」、初めての農業にチャレンジする。「稼げる農業モデルを実現できたら、満員電車に嫌気がさしている都会の勤め人は、どんどんやってくると思いますよ」。放射性物質は日常生活では気にならないし、花栽培にも影響はないと思っている。ただ、「山林に入る場合は、まだ線量が高い部分があるので気をつけている」と話す。 「100人目の移住者」となった造園業の塚越栄光さん(45)は、小原さんと新たな「契約」を結んだ。塚越さんは東京・渋谷の商店街にも拠点を持つ。小原さんが手始めに、知り合いの畑で咲かせたシクラメンがこの秋にも、パルコに向かう通りに並ぶことになりそうだ。  2011年3月の福島第一原発の事故の後、当時の住民約6200人の大半が村を出た。原発から半径20キロ圏内の「警戒区域」以外にも避難指示が出たからだ。飯舘村の中心部は原発から約40キロ離れているが、風向きや地形の関係で他地域より積算放射線量が高くなる恐れがあるとされ、全域が計画的避難区域となった。当時、暮らしが消えた村には、牛や飼い犬が牧草地や庭先に残され、たまにエサやりに戻る村人の姿が見られるだけだった。  17年3月、「避難指示」は一部を除いて解除されたが、全国に避難した3800人余りはなお、戻らない。9月1日現在の村内居住者は1472人(震災前の約2割)とされるが、福島市(避難者約2400人)など近隣地区に建てた家との二重生活をしている人も少なくない。

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村づくり推進課によると、移住した101人のうち、60代が27人と最も多く、これに次いで働き盛りの40代が19人。50代以上が半分だが、小原さんのように40代、あるいはそれ以下の若い世代も目立つ。移住の理由は、「実家にUターン」が29人ともっとも多いが、「就職、就農」も合わせて25人だった。  村では3年前の避難指示解除で村内に居住が可能になって以来、移住者支援に力を入れてきた。「家の新築には最大500万円、中古には最大200万円のほかに修繕費として最大100万円を補助する」といった、手厚い政策を展開している。101人の「移住者」は厳密に言えば「移住定住支援事業補助金」を受け取った人だ。補助金を受け取らなかった人も含めた「転入者」は全体で182人いる。

ワークショップで小原さんと背中合わせの席にいた、松本奈々さん(28)が話した。「どんな人でもやってきて住むことができる『多様性』を大事にしたい」。松本さんは、昨年の春、「地域おこし協力隊」の一員としてこの村にやってきた。この日の会場になった旧草野小学校を改造して、村外からやってくる移住者やアーティストの活動の場にする作業を進めるため、仲間を募集中だ。近くの民家を、シェアハウスにする事業も、村から任されて進めている。福島市の出身だが、東京の大学にいる時から、飯舘村の支援事業に関わった縁で、村に飛び込んだ。  若い人たちの議論を、教室の後方で聞いていたのが、元物理研究者の田尾陽一さん(79)だ。田尾さんは避難指示解除後、住民票を移し、家を建てて東京から引っ越した。  同村に初めてやってきたのは、11年の震災後間もなくの6月。原発事故の放射性物質を浴びた現場を、医師や研究者、退職した元教師ら17人とともに視察。地元の農業者と「再び農業ができる村をつくる」目標で意気投合。後にNPO法人「ふくしま再生の会」を立ち上げた。

ワークショップの主催者は、田尾さんの娘で今年、東京藝術大学を卒業した矢野淳さん(25)だ。矢野さんは、東京の大学と村を拠点としながら、大学などの仲間と共に、飯舘村の歴史や事故後のあり方を調べてきた。「ふくしま再生の会」の9年余りの活動記録を踏まえ、地域おこし協力隊の松本さんと相談しながら、7月以来2回のリモートワークショップを重ね、村の将来のあり方を探ってきた。  3回目の今回は、初めての対面でのワークショップとなった。矢野さんは「飯舘村だけの特殊な将来像でなく、高齢化、少子化が進み、コロナ禍が広がるなかで、世界にアピールできる課題解決への道を、みんなで紡ぎ出したい」と言う。「世界にアピール」は既に現在進行形だ。田尾さんによると、「ふくしま再生の会」のメンバーが学会や英文誌に発表しているほか、香港の大学研究員が世界各地で報告している。この研究員は昨年の3カ月間、村内の再生の会事務所に泊まり込んで、「ふくしま再生の会」のNPOとしての活動実態を「文化人類学的手法」で調べた。来年にも再来日し、飯舘村の研究を続行する予定だ。

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(朝日新聞社・菅沼栄一郎)

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福島大生ら、災害伝承館を見学 via 共同通信

原発事故の記憶や復興学ぶ

福島大の学生ら約20人が4日、東京電力福島第1原発事故などの記憶や復興の歩みを後世に伝える「東日本大震災・原子力災害伝承館」(福島県双葉町)を見学した。福島大が特別セミナーとして、9月に開館したばかりの同館で主催。

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 館長に就任した長崎大原爆後障害医療研究所の高村昇教授が案内。避難所で住民が使った生活用品や除染廃棄物を入れるフレコンバッグなどの展示品を見て回った。

 県内の高等専門学校生も参加。福島大の研究者が放射性物質の海への影響や廃炉技術についての講演も行った。

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Nuclear MythBusting: Using social media to set the record straight via East Idaho News

Paul Menser, INL Communications

IDAHO FALLS — Given its high percentage of true believers, Idaho Falls is probably the last place on earth where the merits of nuclear energy need to be argued.

[…]

The segments are hosted by Don Miley, a longtime INL tour guide used to speaking to people in a relaxed yet informative way. (Speaking to a camera is a new experience, he admits.)

“We hear all these myths or old wives’ tales about the lab,” he said. “We decided social media offers us a chance to say, ‘Here’s the real story.’” The first three videos were posted in February and March on INL’s YouTube channel.

A submarine in the desert?

In his years as a tour guide, Miley said he’s heard plenty of strange ideas about what goes on at INL. “Everyone who’s done nuclear communications has their favorites, like ‘there’s a nuclear sub buried out there in the desert.’”

[…]

The S1W reactor – S stood for “submarine,” 1 stood for “first generation,” and W stood for Westinghouse – was built inside a section of a submarine hull at the Naval Reactors Facility on the Arco Desert west of Idaho Falls and was the prototype for the first nuclear-powered submarine, USS Nautilus, which was launched in 1954. By building the reactor and power plant inside a prototype hull section, engineers obtained valuable information supporting the Nautilus project. The Nuclear Navy was born. S1W was used for training sailors until it was shut down permanently in 1989.

[…]

The process for coming up with story ideas is basic brainstorming. Take something you’ve heard from someone – serious or ludicrous – and investigate it. “Bottom line is, we’re trying to help people be more knowledgeable about the lab and its history, as well as the critical research it performs.”

“Our philosophy is, ‘Let’s answer these things as succinctly as we can,’” Miley said.

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1カ月で150人が街を去った 原発の廃炉が進むフランス via 東京新聞

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原発を運営するフランス電力(EDF)は6月29日、老朽化を理由にフェッセンハイム原発の運転を停止。強気な市長の姿勢とは裏腹に、1カ月間で原発関連産業の職員ら150人以上が街を去った。裏通りでごみを回収していた男性(57)は「もう地元の少年サッカーチームが2つもなくなった」と嘆く。

◆「原発がなくなれば、地域が死んでしまう」

仏北東部フェッセンハイムの農業地帯で8月、廃止を受けて解体を待つ原発 フェッセンハイムはライン川を挟んでドイツに接する。60年代まで、人口1000人以下の貧しい農村だった。しかし70年代に始まった原発建設で人口は倍増、生み出した雇用は約2100人分に上った。 

EDFからの補助金も街を潤した。市年間予算430万ユーロ(約5億6000万円)の約3分の2に及ぶ。「原発なしに繁栄は考えられなかった。原発がなくなれば、地域が死んでしまう」と市長は憤る。 

しかし廃炉後の跡地利用の議論は進まない。仏政府とEDF、ドイツ側を含む周辺自治体は2019年2月、地域の活性化へ向けた協議会設立に合意したが、代表は1年半たっても空席のまま。そもそも、原発解体の手引すらできていない。 仏政府は先月、新型コロナからの経済再建策として、原子力産業への支援を表明した。各地の原発解体で出る金属部品を除染、再利用する工場の計画にも前向きで、フェッセンハイムに建設する議論がある。 

ブレンダー市長も計画に前向きだが、EDFが実際に建設するか決めるのは23年の予定だ。安全性を巡り長年にわたり原発閉鎖を求めてきたドイツ側からも、既に汚染への懸念から反対の声が上がる。飲食業アンジェリークさん(41)は「将来をイメージできないまま、さらに人が減りそうで怖い」と打ち明けた。

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「閉鎖も跡地利用も、市に決定権はない」と無力感を示すブレンダー市長は、こう訴える。「街が生き残るには、人が住み続ける方法を考えるしかない。主要産業をなくした先、地域をどうするのか。国も電力会社も、向き合ってほしい」 

全電力の7割超を原子力発電が占める世界最大の原発依存国フランスで、原発を取り巻く環境が揺れている。福島第一原発事故以降、政府は「減原発」の方針を掲げ、今年6月には国内最古の原発を停止した。しかし、「廃炉後」の展望は見えず、近年の猛暑や新型コロナウイルスの影響で、温暖化対策や経済対策としての再評価も起きている。原発大国のいまを追った。(フェッセンハイムで、竹田佳彦、写真も)

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9月30日 原発事故の責任はどこにあるのか。国と東電を訴えた「生業訴訟」判決の行方 #福島を忘れない via Choose Life Project

MC:吉田千亜(フリーライター) 出演: 中島孝(「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟 原告団長) 馬奈木厳太郎(「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟 弁護団事務局長) 森松明希子(原発賠償関西訴訟 原告団代表) 樋口英明(元福井地裁裁判長)

原文

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「みんな狂うんだよ、金に」 福島のヤクザが「墓でがっつり」を狙ったワケ via 文春オンライン

『ヤクザと原発 福島第一潜入記』#2 前編はこちら

鈴木 智彦

任俠系右翼は国家の味方

 東京電力福島第一原発(1F)の1号機、3号機が立て続けに水素爆発を起こした直後、私は暴力団を通じて協力会社にコンタクトを取った。どこから切り込んでも、簡単にヤクザルートで話が訊けたので、数年前の祭りの光景を思い出した。親分は肝臓癌で亡くなったが、組織の利権はいまも変わらず存在しているはずだ。表面上、消滅したように見えても、地縁・血縁で結ばれた街の成り立ちが根本から変わるとは考えにくい。

親分の説明通り、東電管内でも原発と暴力団の接点は見つかった。簡単に取材が進みすぎて少々戸惑う。警察、企業、暴力団……よく言えばのどかだが、そのどれも脇が甘い。実際、原発事故さえなければ、1Fの暴力団対策がマスコミの注目を集めることはなかった。私自身、原発のことなど少しも調べなかったろう。

 暴力団に対する警察の強硬姿勢は西高東低である。新聞やテレビで大きく報道されるのは、西日本の組織、とりわけ日本最大の暴力団・山口組対策だ。もちろん、警察取り締まりの西高東低は、東日本に存在する暴力団の劣勢を意味しない。違いは社会との関係性にあって、東日本の暴力団は西と比較し、反権力ではなく、親権力という意味である。

これだけの事故が起き、たくさんの住民が苦しんでいるのに、任俠系右翼……暴力団の実質的傘下にある右翼団体がほとんど動かないことをみてもそれは明らかである。

 暴力団に連れられ、東京電力関連会社社員はもちろん、プラントメーカーやゼネコンなど……日本を代表する上場企業の社員が、私の取材を受けるため居酒屋の個室に姿を見せた。あくまで個人的な付き合いと分かっていても、堂々と会社の名刺を出すのだから面食らう。こちらから受け取りを拒否した。万が一名刺入れを落としたら一大事だ。みんな屈託がなかった。やはり暴力団に対する意識が甘いとしかいえない。

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いわきは元々常磐(じょうばん)炭鉱があるかんね。ヤクザがいっぱいいたし、青線も繁盛してた」

 かつてヤクザの分類に博徒系、的屋系などと並んで、「炭鉱暴力団」という項目が存在していた。昭和30年代の警察資料をみると、はっきりそう書いてあり、全国各地でかなりの勢力だったことが分かる。閉山とともに炭鉱ヤクザは衰退したが、福岡県田川市に本拠を置く指定暴力団・太州(たいしゅう)会はいまも大きな組織力を保持しており、その代表格といっていい。資本家たちは炭鉱労働者をまとめ上げるため地元のヤクザを利用し、親分を代表者として各地に下請け会社を作らせた。暴力というもっとも原始的、かつ、実効性の高い手段は、国策としてのエネルギー政策と常にセットとして存在している。

墓の移転でがっつり

 元ヤクザが続ける。

「原発が来るとなぜヤクザが儲かるか。うるせぇヤツを一発で黙らせるからに決まってるだろ。いまは無理だよ。すぐパクられる。ヤクザ使って恐喝できたら、当人たちもラクなんだろうけど、それできないから自分たちの若い衆を働きにだすわけ。

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 1Fの時……ある集落は近隣の海側が移動場所だったね。ただ東電が集落に3年以上住民票がないと駄目とか言い出して、俺たちがなんとかしてやった家がけっこうある。みんな大喜びしてたよ。まぁ、がっつり抜いてるんだけど、たったひとつ墓があるだけで、大金が入ってくるんだから。

 当時、いまみたいに暴力団なんて言葉はなかったし、俠客なんていったらおおげさだけど、貧乏人のリーダーみたいなもんだったから、悪いなんて感覚はヤクザにもねぇし、街や村の人間にもない。盆暮正月は無礼講で、堂々と博奕をやってた。年寄りも来るし、役場の人間も来たし、警察だって遊びにきた。学校の先生が手が付けられない不良を連れてきて『礼儀作法を教えてやってくれ』なんて、いまじゃあ考えられねぇこともあったよ。

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暗黙の了解

 その後も原発は暴力団……正確にいうならヤクザと一心同体だった地域共同体に金を落とし続けた。電源三法交付金や発電所が支払う固定資産税をはじめ、原発運営、維持管理……地元に落ちる巨額の金を抜け目ない連中が懐に入れる。バブル期は作業員一人につき、月額100万円が支給されたという。それぞれに40万の月給を払っても、60万が仲介した暴力団の懐に落ちる。

「駆け出しのヤクザでも10人集めれば月に600万円だ。ベンツだろうがロールス・ロイスだろうが乗り放題だ。バブルがはじけて、単価が下がってくっと、適当にやってた人夫出しの会社がばたばた倒産したけどね。真面目なヤクザなんてそういねぇから。

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なにか不祥事があり、それが新聞沙汰になっても、東電が怖いのは世論の批判だけ。どの協力企業も、一度や二度、そういった不始末を起こし、名前を変えて再出発しているし、元請けだってそれは分かっている。実質、ヤクザの会社であっても、兄弟や親戚を社長にすればいいだけだ。狭い田舎なんだから、隠そうたって無理な話で、それは暗黙の了解だ。もともとみんな仲間内なんだから。親戚や友達、先輩後輩……地域が全部グルと思っていい」

 暗黙の了解……その後も原発取材で嫌というほど聞かされた言葉である。暴力団でも企業であっても、さも当たり前のようにこのフレーズを繰り返す。暴力団にとって、原発のようにダブルスタンダードと隠蔽体質の上に成り立つ産業は、最高のユートピアかもしれない。事実、原発を運営する電力会社は、警察に尻を叩かれ、ようやく暴力団排除に重い腰を上げたばかりだ。

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「原発は儲かる。堅いシノギだな」 街の顔役だったヤクザが見せた正体とは via 文春オンライン

『ヤクザと原発 福島第一潜入記』#1

鈴木 智彦

 30年近くヤクザを取材してきたジャーナリストの鈴木智彦氏は、あるとき原発と暴力団には接点があることを知る。そして起こった東日本大震災――。鈴木氏が福島第一原発(1F)に潜入したレポート、『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)より、一部を転載する。(全2回の1回目/後編に続く)

原発は儲かる

「海から固めた。まずは漁協の組合に話を通して、抜け駆けがないようまとめたんだ」

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原発について質問したのは、ただの好奇心からだった。今回の来訪は20年以上前の抗争事件の取材が目的だ。

 殺し殺され、という話の核心は、祭りの翌日、事務所で訊かせてもらうことになっていた。前日入りしたのは、親分から「ヤクザは警察がいうようなごろつきじゃない。暴力団と呼ばれるのは心外だ。いっぺんうちの祭りに来い。あんたの目で確かめてくれ」と要望されたからだ。

 たまたま近くに原発があったから訊いた。座持ちのための世間話に過ぎない。

「原発は儲かる。堅いシノギだな。動き出したらずっと金になる。これ一本で食える。シャブなんて売らんでもいい。俺、薬は大嫌いだからな。薬局(覚せい剤を密売する組織をこう呼ぶ。暴力団内部でも侮蔑的なニュアンスがある)やるくらいなら地下足袋履くほうがましだ。それに原発はあんたたちふうに言えば、タブーの宝庫。それが裏社会の俺たちには、打ち出の小槌となるんだよ。はっはっは」

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代紋なしでは捌ききれん

「なにも特別なことじゃない。どでかい公共工事が小さい街にやってくる。言ってみりゃ、ただそれだけのこと。ダムや高速道路と同じ。それが原子力発電所という、わけのわからんもんいうだけじゃねぇか。街を代表して電力会社と交渉し、ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。それだけじゃとても人手が足りんから、あとはよその場所にいる兄弟分なんかに話を振ったり、普段から仲のいい組長連中の会社を使う。どでかいシノギになるから、代紋なしではとても捌(さば)ききれんし、工事だって進まない。俺が何度もいうように、悪は悪でもヤクザは必要悪。百聞は一見にしかず。この祭りをみれば、あんたも分かっただろう。

 そういう情報は……真っ先に俺らのとこに入ってくるようになってる。選挙で票をまとめたのは俺たちだ。恩返しなんていうと語弊があっけど、持ちつ持たれつで生きているってこと。それに俺はこの街が好きで、街を守るためならいつ命を捨ててもかまわないと思ってる。この辺の町議会だったら、俺たちが後援すれば誰でも当選する。お前、金がないんだろ。どうだ、ここに引っ越して、うちの土建屋で何年か働いて、立候補したらどうだ?」

(略)

「原発って……安全なんですか?」

 話をそらすため質問した。ICレコーダーは回してあった。喧噪の中で上手く録音できるか不安でも、メモを取るわけにはいかない。こういう際には頻繁にトイレに駆け込む。使えると思った話があれば、便座に座り、ポケットの手帳に殴り書きする。

「原発がいいか悪いか、普通の人間にはわからんよ。電力会社が東大あたりの偉い先生を連れて説明に来る。やれ日本には石油がない、指先ほどのウランがあれば、たくさんのドラム缶に入った石油と同じだけ電気が作れる、なんて言われたら、へぇ、となる。俺らの世代は石油ショックを経験しとるから説得力があったね。

 じーさん、ばーさん連中なんて、一通り説明されれば、原発は夢工場だと思っただろう。実際、そうなんだ、この街にとっては。なにしろ国のお墨付き。偉い先生と一緒に『放射能は厳重に管理されている』と説明を受けるからみんな信用する。田舎の人間は権威に弱い。大学の先生、これが効く。

 それにちょっと考えれば、誰だって損得勘定が出来る。原発の関係会社が街にいっぱい出来て、飲み屋、飯屋にだって活気が出ると計算する。ここら一帯は元々なにもない寒村だ。国道から一本入れば砂利道ばかりで、人もいない、活気もない。金もない。若いヤツは学校を出るとすぐ都会に出て行ってしまう。それは仕事がないからだ。

(略)

俺たちは街のため、みんなのため、地元が少しでも多くの金を取れるよう努力する。それをちゃんと地元に還元する。街の人間に嫌われたらヤクザなんてやっていけない。地元密着の人気商売だから、みんなで儲けてハッピーにならないと生きてはいけない。きっちりそれを有言実行してるから、警察だって見て見ぬふりをしてくれる。それに警察だって、ほとんど俺らの幼なじみだよ。あいつらも仕事だ。上からヤクザを取り締まれと言われたら逆らえない。だからメンツは立ててやる。共存共栄。だからこうして、祭りの時にはみんなが挨拶してくれるわけだ。カタギさんを大事にしないとヤクザは生き残れない。暴対法みたいなもんができたらなおさらだろう。カタギの生き血を啜(すす)るような暴力団は消える。俺たちにとっても大歓迎だ」

 表面上、親分は頼もしい街の顔役にみえた。地域密着に関しては仰せの通りだ。が、何年も暴力団取材をしていれば、言葉のすべてを額面通り受け取るウブさは消えている。慕われているのか、怖がられているのか、その両方か、割合の判別はある程度できる。

全文は

続きは「原発は儲かる。堅いシノギだな」 街の顔役だったヤクザが見せた正体とは

「みんな狂うんだよ、金に」 福島のヤクザが「墓でがっつり」を狙ったワケ『ヤクザと原発 福島第一潜入記』#2

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