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「原発は儲かる。堅いシノギだな」 街の顔役だったヤクザが見せた正体とは via 文春オンライン

『ヤクザと原発 福島第一潜入記』#1 鈴木 智彦  30年近くヤクザを取材してきたジャーナリストの鈴木智彦氏は、あるとき原発と暴力団には接点があることを知る。そして起こった東日本大震災――。鈴木氏が福島第一原発(1F)に潜入したレポート、『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)より、一部を転載する。(全2回の1回目/後編に続く) 原発は儲かる 「海から固めた。まずは漁協の組合に話を通して、抜け駆けがないようまとめたんだ」 (略) 原発について質問したのは、ただの好奇心からだった。今回の来訪は20年以上前の抗争事件の取材が目的だ。  殺し殺され、という話の核心は、祭りの翌日、事務所で訊かせてもらうことになっていた。前日入りしたのは、親分から「ヤクザは警察がいうようなごろつきじゃない。暴力団と呼ばれるのは心外だ。いっぺんうちの祭りに来い。あんたの目で確かめてくれ」と要望されたからだ。  たまたま近くに原発があったから訊いた。座持ちのための世間話に過ぎない。 「原発は儲かる。堅いシノギだな。動き出したらずっと金になる。これ一本で食える。シャブなんて売らんでもいい。俺、薬は大嫌いだからな。薬局(覚せい剤を密売する組織をこう呼ぶ。暴力団内部でも侮蔑的なニュアンスがある)やるくらいなら地下足袋履くほうがましだ。それに原発はあんたたちふうに言えば、タブーの宝庫。それが裏社会の俺たちには、打ち出の小槌となるんだよ。はっはっは」 (略) 代紋なしでは捌ききれん 「なにも特別なことじゃない。どでかい公共工事が小さい街にやってくる。言ってみりゃ、ただそれだけのこと。ダムや高速道路と同じ。それが原子力発電所という、わけのわからんもんいうだけじゃねぇか。街を代表して電力会社と交渉し、ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。それだけじゃとても人手が足りんから、あとはよその場所にいる兄弟分なんかに話を振ったり、普段から仲のいい組長連中の会社を使う。どでかいシノギになるから、代紋なしではとても捌(さば)ききれんし、工事だって進まない。俺が何度もいうように、悪は悪でもヤクザは必要悪。百聞は一見にしかず。この祭りをみれば、あんたも分かっただろう。  そういう情報は……真っ先に俺らのとこに入ってくるようになってる。選挙で票をまとめたのは俺たちだ。恩返しなんていうと語弊があっけど、持ちつ持たれつで生きているってこと。それに俺はこの街が好きで、街を守るためならいつ命を捨ててもかまわないと思ってる。この辺の町議会だったら、俺たちが後援すれば誰でも当選する。お前、金がないんだろ。どうだ、ここに引っ越して、うちの土建屋で何年か働いて、立候補したらどうだ?」 (略) 「原発って……安全なんですか?」  話をそらすため質問した。ICレコーダーは回してあった。喧噪の中で上手く録音できるか不安でも、メモを取るわけにはいかない。こういう際には頻繁にトイレに駆け込む。使えると思った話があれば、便座に座り、ポケットの手帳に殴り書きする。 「原発がいいか悪いか、普通の人間にはわからんよ。電力会社が東大あたりの偉い先生を連れて説明に来る。やれ日本には石油がない、指先ほどのウランがあれば、たくさんのドラム缶に入った石油と同じだけ電気が作れる、なんて言われたら、へぇ、となる。俺らの世代は石油ショックを経験しとるから説得力があったね。  じーさん、ばーさん連中なんて、一通り説明されれば、原発は夢工場だと思っただろう。実際、そうなんだ、この街にとっては。なにしろ国のお墨付き。偉い先生と一緒に『放射能は厳重に管理されている』と説明を受けるからみんな信用する。田舎の人間は権威に弱い。大学の先生、これが効く。  それにちょっと考えれば、誰だって損得勘定が出来る。原発の関係会社が街にいっぱい出来て、飲み屋、飯屋にだって活気が出ると計算する。ここら一帯は元々なにもない寒村だ。国道から一本入れば砂利道ばかりで、人もいない、活気もない。金もない。若いヤツは学校を出るとすぐ都会に出て行ってしまう。それは仕事がないからだ。 (略) 俺たちは街のため、みんなのため、地元が少しでも多くの金を取れるよう努力する。それをちゃんと地元に還元する。街の人間に嫌われたらヤクザなんてやっていけない。地元密着の人気商売だから、みんなで儲けてハッピーにならないと生きてはいけない。きっちりそれを有言実行してるから、警察だって見て見ぬふりをしてくれる。それに警察だって、ほとんど俺らの幼なじみだよ。あいつらも仕事だ。上からヤクザを取り締まれと言われたら逆らえない。だからメンツは立ててやる。共存共栄。だからこうして、祭りの時にはみんなが挨拶してくれるわけだ。カタギさんを大事にしないとヤクザは生き残れない。暴対法みたいなもんができたらなおさらだろう。カタギの生き血を啜(すす)るような暴力団は消える。俺たちにとっても大歓迎だ」  表面上、親分は頼もしい街の顔役にみえた。地域密着に関しては仰せの通りだ。が、何年も暴力団取材をしていれば、言葉のすべてを額面通り受け取るウブさは消えている。慕われているのか、怖がられているのか、その両方か、割合の判別はある程度できる。 全文は 続きは「原発は儲かる。堅いシノギだな」 街の顔役だったヤクザが見せた正体とは 「みんな狂うんだよ、金に」 福島のヤクザが「墓でがっつり」を狙ったワケ『ヤクザと原発 福島第一潜入記』#2

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原発事故9年半、住民意思と乖離広がる行政の復興施策 via 日本経済新聞

東京電力福島第1原子力発電所事故で強制避難を強いられた福島県の市町村で唯一、全域で避難指示が出ていた双葉町で、一部地域の解除と立ち入り規制が緩和されて半年余が過ぎた。復興拠点には原発事故災害の伝承施設などができたが、住民の帰還に沿うインフラ整備の歩みは遅い。行政側の復興策と住民の思いは年を追うごとに乖離(かいり)する。 (略) 双葉町では海岸部の避難指示解除地区に加え、帰還困難区域内の特定復興拠点(555ヘクタール)の除染作業が進み、立ち入りも24時間可能に。国は「住民の帰還準備を加速する」としたが、インフラの基本である下水道はなく、住民が長時間滞在することはできない。 双葉町の復興拠点構想は2014年8月に浮上。大熊、双葉両町の中間貯蔵施設建設の同意を得るため、国は放射線量が低い地域での拠点整備を明言した。 (略) いわき市の復興公営住宅に18年から1人で暮らす渡部勝以さん(70)の自宅も規制緩和区域にあるが、行政の対応遅れや不作為に不信を抱き、帰還を諦めた。 住宅の除染は屋根や壁、庭など外側だけ。渡部さんは国に「除染後に家をどうするか考えたい」と依頼したが、国の回答は「除染すれば公費解体はしない」。 環境省福島地方環境事務所は「除染して汚染物でなくなった家を後に公費解体するのは税金の二重使用になる」と言う。「長期間避難させられたのに、除染か解体かの判断を迫るのは理不尽。住民帰還が目標の政策とは思えない」と渡部さんは憤る。 下水処理場の完成は21年度とまだ先である一方、避難解除の海岸部には9月20日、県立「東日本大震災・原子力災害伝承館」が開館した。施設は約53億円の公費が投じられた。しかし最大16万人が避難、多くの人生を狂わせた原発事故の原因である、巨大地震と津波の恐れが指摘されながら非常用電源を海側に置き続けた「人災」に触れない。(小林隆) 全文は原発事故9年半、住民意思と乖離広がる行政の復興施策

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福島原発の処理水 海洋放出の協議大詰め via NHK News Web

政府、週内にも農・漁業団体と 政府は東京電力福島第1原子力発電所でたまり続ける処理水の処分を巡り、週内にも関係団体と大詰めの協議をする。漁業関係者を中心に海洋への放出による風評被害への懸念は根強いが、処理水を敷地内にため続ければ今後の廃炉作業に影響が出かねない。2022年にもタンクの容量が満杯になる見通しで、海洋放出の決定に向けた調整を急ぐ。 (略) 11年の東日本大震災に伴う津波の影響で炉心溶融事故を起こした福島第1では壊れた建屋に地下水や雨水が入り込み、高濃度の放射性物質に汚染した水が1日180トン(19年度)発生している。東電は専用装置で主要な放射性物質を取り除いた処理水として、敷地内のタンク1000基に約123万トンを保管している。 20年中に計137万トン分のタンクを確保するが、東電によると足元の汚染水の発生状況などを踏まえると、22年10月にも満杯になる見通しだ。敷地内にタンクが増え続ければ、政府・東電が41~51年の完了を目指す廃炉作業に遅れが出かねない。 ただ、地元を中心に風評被害への懸念があるため、慎重に処分方法を検討してきた。有識者による検討にのべ6年かけ、20年2月には、全国の原発で実績がある海洋放出が「より確実に処分できる」とした。 処理水には現在の技術では十分取り除くのが難しい放射性物質トリチウム(三重水素)が残っている。トリチウムは自然界にも大気中の水蒸気や雨水などにごくわずかに存在し、放つ放射線は弱い。通常の原発でもトリチウムを含む水は発生しており、濃度を基準値以下に薄めて海に流すことが国際的に認められている。国内外の原子力施設も海に放出している。 東電は政府が方針を決めたら、放出設備の設計や規制手続きに入る。放出を始めるまでには少なくとも2年程度の時間がかかる。放出はトリチウム以外の放射性物質を取り除いた処理水に、新たに水を加えて500~600倍に薄めて時間をかけて海に流す計画だ。 東電によると放出時のトリチウム濃度は基準値の40分の1程度にとどまる見込みだ。原発周辺における海水の放射性物質濃度の監視を強化して異常があれば速やかに放出を止める。廃炉完了までに放出を終える方針だ。 全文は福島原発の処理水 海洋放出の協議大詰め

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福島原発判決 「国の責任」かみしめよ via 東京新聞

 「国の責任」と断罪した。東京電力福島第一原発事故を巡る訴訟で仙台高裁の判決は「不誠実な東電の報告を国は唯々諾々と受け入れた」とも述べた。被災者の救済を早く前進させるべきである。  大地震が来る−それは国の地震調査研究推進本部が二〇〇二年に公表した地震の「長期評価」で予見できたはずである。東電が速やかにシミュレーションしていれば、遅くとも〇二年末ごろまでに福島第一原発に一〇メートルを超す津波が到来する予見もできた。仙台高裁の判決はこのような前提に立つ。  だが、東電は新たな防災対策を極力回避し、先延ばしした。むろん長期評価は国の知見ともいえ、国も同時に地震の危険性は認識していたはずである。ならば国は東電に対し、ただちに長期評価を踏まえた試算を指示できた。国自身で試算もできた。それなのに、やるべきことをしなかった。  東電からヒアリングした当時の原子力安全・保安院は「規制当局に期待される役割を果たさなかった」とも判決は述べている。東電との緊張を欠いた姿勢は明らかで、原発事故は「人災」であるとの原告側の言い分を事実上、認めたのに等しい。  これまで国と東電を被告とする同種の一審判決は十三件ある。そのうち六件の判決は国の責任が否定されていた。津波発生は予見できても実際の津波はもっと大きく事故が避けられなかった−などの論法だ。今回の高裁判決はそれを打ち砕き、国の責任論に決着をつけたと大きく評価したい。  かつ一審の福島地裁判決では賠償額において国は東電の半額にとどまっていたが、高裁は「責任同等」とした。国のエネルギー政策のもとで原発設置の許可、さらにそれを維持してきたのは、まさしく国であったからだ。これも重大な判断である。賠償額の算定を大きく左右する。 (略) 原発事故から九年半。国は「復興」と言いつつ、今年九月末でいまだ約四万三千人もの避難者がいる。国の責任を前提としない賠償基準は早く見直すべきである。  原告三千六百二十七人のうち既に九十二人が亡くなっている。国には反省が要る。義務として救済を急ぎ、被災者の生活再建を果たさなければならない。 全文は福島原発判決 「国の責任」かみしめよ

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若狭の原発を考える会 まず老朽炉止め、安全な社会 via 毎日新聞

 福井県南部は多くの原子力発電所が立地し、原発銀座と呼ばれてきた。その原発のリスクを知ってもらおうと活動している「若狭の原発を考える会」の中心メンバーで、日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構)研究員の経歴をもつ京都工芸繊維大名誉教授、木原壮林さん(77)は「危険すぎる若狭の老朽原発をまず止めて、原発のない社会にしよう」と訴える。【まとめ・湯谷茂樹】 ■被害は長期に  福島第1原発事故は、原子力発電所が重大事故を起こせば、人の命と尊厳を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、生活の基盤を根底から奪い去ることを、大きな犠牲の上に私たちに教えました。原発事故の被害は長期におよびます。多くの方が、いまも避難先で苦しい生活を送っておられます。  放射性物質が風で運ばれ、被害は広域におよぶことも実証されました。福島第1原発から50キロ離れた福島県飯舘村も全村避難になり、200キロ以上離れた関東でも高放射線地域が見つかっています。  若狭の原発は、京都駅から約60キロ、大阪駅からは約90キロの距離にあります。重大事故を起こせば、約260万人が住む京都府、約140万人が住み琵琶湖を有する滋賀県を始め、関西の多くが汚染されかねません。  事故を起さなくても、運転すれば使用済み核燃料を残します。その行き場はなく、未来に負の遺産を押し付けることになります。 (略) ■40年超リスク大  運転開始から40年を超えた原発を老朽原発と呼んでいます。老朽化すると、重大事故の確率が急増します。高温、高圧下で大量の中性子に曝(さら)され交換することのできない合金製の圧力容器(原子炉本体)などがもろくなる脆化(ぜいか)が急速に進み、配管は腐食などによって減肉するからです。  建設時には適当とされていたが、地震の影響など現在の基準では不適当と考えられる部分が多数ありますが、構造物や圧力容器など交換不可能なものも少なくありません。  さらに建設当時を知る技術者はほとんど退職し、非常時の対応に困難を生じます。 (略) 脱原発は圧倒的な民意です。原発の40年超え運転を阻止すれば、2033年には若狭から、49年には全国から、運転中の原発が無くなります。原発のない社会はすぐそこです。原発ゼロに向けて、前進しましよう! 若狭の原発を考える会◇  福島第1原発事故後に停止していた大飯原発が再稼働した翌年の2013年、木原壮林さんらが結成した。現地に宿泊拠点を借り、原発の危険性などを訴えるチラシを一軒一軒配布しながら、対話する活動を続けている。配布したチラシの累計は約70万枚、面談した人は約2000人にのぼるという。木原さんは9月6日に大阪市であった「老朽原発うごかすな!集会」の実行委員にもなっている。  連絡先は木原さん(090・1965・7102、メールkiharas−chem@zeus.eonet.ne.jp) 全文は若狭の原発を考える会 まず老朽炉止め、安全な社会

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原発事故で国の責任認める 仙台高裁 2審で初めて via NHK

2020年9月30日 東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、福島県で暮らす住民など3600人余りが訴えた集団訴訟で、仙台高等裁判所は「大規模な津波が到来する可能性を事故の前に認識できたのに、国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ」などとして、国と東京電力に総額10億円余りの賠償を命じました。全国の集団訴訟で、国の責任を認める2審判決は初めてです。 この裁判では、原発事故のあとも福島県内で暮らし続ける住民や避難した人など3600人余りが、生活の基盤が損なわれ精神的な苦痛を受けたとして国と東京電力に賠償を求めています。 1審の福島地方裁判所は3年前、国と東京電力の責任を認め、総額4億9000万円余りの賠償を命じていました。 30日の2審の判決で、仙台高等裁判所の上田哲裁判長は「平成14年に政府の地震調査研究推進本部が発表した地震の『長期評価』を踏まえた試算をしていれば、大規模な津波が到来する可能性を認識することができた。国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ」と指摘し、東京電力とともに国の責任を認めました。 また「国と東京電力は『長期評価』に基づく津波の試算を行って対策を講じた場合の、主に東京電力の経済的な負担などの影響の大きさを恐れるあまり、試算自体を避けるなどしたと認めざるを得ない」と、指摘しました。 そのうえで1審では、東京電力の半分にとどまるとした国の賠償責任の範囲について「国がみずからの責任で原発の設置を許可したもので、範囲を限定するのは相当ではない」などと指摘し、東京電力と同等の責任があるとして、国と東京電力に総額でおよそ10億1000万円の賠償を命じました。 全国の集団訴訟で、国の責任を認める2審判決は初めてで、各地で行われている裁判に影響を与える可能性があります。 原告団長「司法は生きていた」 判決のあと、原告団と弁護団が仙台市内で記者会見を行いました。 その中では、まず「国と東京電力の責任を明確に認めたことは、事故の再発防止や被害者の全面的な救済だけでなく、被災地の復興にとっても大きな意義がある。賠償の対象地域の拡大や賠償水準の上積みを認めた点は、原告のみにとどまらず広く被害者の救済をはかるという意味においても前進と評価できる」という声明を発表しました。 弁護団の事務局長、馬奈木厳太郎弁護士は「裁判が長期化し、判決を待たずしておよそ100人が亡くなった。この喜びを分かち合うことができないことは残念だ。東京電力と国は責任を認めて1日も早く救済すべきで、上告しないよう求めたい」と述べました。 会見後、原告団長を務める福島県相馬市の中島孝さんは「判決を聞いたとき、司法は生きていたと感じた。1審よりも踏み込んで国の政策が間違っていたことを示してくれてよかった」と話していました。 原告の果樹農家「原告1人1人に寄り添った判決」 原告の1人で福島市で果樹農家を営む阿部哲也さん(57)は、自宅のテレビで、国の責任を認めた2審判決の速報を見ると、ガッツポーズをして喜びを表していました。 阿部さんは、「原告団みんなの頑張りがこの判決に結びついたと思います。国の責任を認めることが私たちが一番望んでいたことなので、本当にほっとして涙が出そうです」と話していました。 そのうえで、「これまでたくさんの苦労や喪失感など精神的な被害を受けてきましたが、今回の判決で心が救われほっとしています。お金の問題ではない部分はありますが、とりあえず賠償という形で心にけじめをつけることはやむをえないと思いますので、原告1人1人に寄り添った判決になったと思います」と話していました。 東京電力「内容を精査し対応検討」 仙台高等裁判所が国と東京電力に賠償を命じたことについて、東京電力は、「当社、原子力発電所の事故により、福島県民の皆様をはじめ、広く社会の皆様に大変なご迷惑とご心配をおかけしていることについて、改めて心からお詫び申し上げます。本日、仙台高裁において、言い渡された判決について、今後、内容を精査し、対応を検討して参ります」とのコメントを出しました。 原子力規制委 更田委員長「厳正な規制進める」 仙台高等裁判所が国と東京電力に賠償を命じたことについて、原発事故が起きた当時の規制機関、「原子力安全・保安院」を引き継ぐ形で発足した原子力規制委員会の更田豊志委員長は、30日開かれた会見の中で、「判決の詳細がまだわからず、コメントは控えるが、原子力規制委員会は福島の原発事故に対する反省や怒りにもとづいて設置された組織だ。二度と原発事故を起こさないよう原発に対する厳正な規制を進めていきたいと改めて考えている」と述べました。 […] そのうえで「今回の判決では、原発事故を避けることができたかどうかについて、国が証明できないかぎり責任を負いなさいという考え方が示された。このような判断のしかただと、事故を避けられたかどうかが不明確でも、国が責任を負う可能性が高くなってくる。ほかの裁判所の判断にどう影響するか注目したい」と話しました。 また、判決が国の規制当局としての在り方を厳しく非難したことについては「事故当時、東電の説明をうのみにしていたという点を厳しく指摘していて、判決の示したことを教訓として受け止め、規制当局としての在り方をいま一度確認してほしい」と指摘しました。 判断ポイント 国の責任 判決で仙台高等裁判所は、原発事故についての国の責任を厳しく指摘しました。 《津波を予測できたか》判決では、事故の9年前の平成14年に、政府の地震調査研究推進本部が発表した地震の「長期評価」について「国みずからが設置し、多数の専門学者が参加した機関による重要な見解であり『長期評価』を踏まえて、直ちに試算を開始するよう東京電力に指示するか、みずから試算をするなどしていれば、大規模な津波が到来する可能性を認識できた」と指摘しました。そのうえで「長期評価」をめぐる事故前の、国の対応について「不誠実ともいえる東京電力の報告を唯々諾々と受け入れ、規制当局に期待される役割を果たさなかったといわざるえない」と厳しく指摘しました。 《事故は避けられたか》また、事故を防ぐことができたかどうかについて「原告側が、一定の程度で事故を防ぎえる具体的な対策を主張した場合、国は、その対策を行えなかったことや、行っても事故を防げないことを主張し、証明する必要がある」としました。そのうえで「今回、原告が主張した室内に水が入らないようにする『水密化』の対策について、事故を防げなかったという的確な主張や証明がされていない以上、事故を防げた可能性があったと推測される」と指摘しました。そして「国が規制の権限を行使しなかったのは違法だ」としました。 《国の責任の範囲は》さらに判決は「国と東京電力は『長期評価』に基づく津波の試算が行われれば、対策を講じなければならなくなる可能性を認識しながら、そうなった場合の、主に東京電力の経済的な負担などの影響の大きさを恐れるあまり、試算自体を避け、あるいは試算結果が公になることを避けようとしていたと認めざるをえない」と、指摘しました。1審では、東京電力の半分にとどまるとした国の賠償責任の範囲については「原子力発電所の設置・運営は国家のエネルギー政策に深く関わる問題であり、国がみずからの責任において原発の設置を許可したものであることを考慮すれば、責任の範囲を一部に限定することは相当ではない」として、東京電力と同等の責任があるとしました。 判断のポイント 賠償 2審の判決は1審と比べて賠償の対象範囲を広げました。 具体的には、事故の後に避難指示の対象になった福島県浪江町や富岡町などの原告について「ふるさとを喪失した損害がある」などとして賠償額を大幅に上積みしたり、新たに認めたりした人がいました。 また、国の指針や1審判決で賠償の対象にならなかった▽福島県西部の会津地方や▽宮城県南部の原告の一部への賠償も認めました。 その結果、賠償の総額は1審の4億9000万円余りから、2審は2倍以上となるおよそ10億1000万円に増えました。 […] そして判決は、国と東京電力に対し「対応措置をとった場合の影響の大きさを恐れるあまり、試算を避け、あるいは試算結果が公になることを避けようとしていたものと認めざるを得ない」などとしています。 こうした判決に対して、原子力安全・保安院を引き継いで発足した原子力規制委員会の事務局の原子力規制庁は、「判決は承知しているが、個別の内容についてのコメントは控えたい。私たちとしては2度と原発事故を起こさないよう厳正な規制を行っていきたい」としています。 … Continue reading

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【原発避難者から住まいを奪うな】ここにも「自助」? 3団体が緊急提言も復興庁は実態調査拒否~独自アンケートで見えてきた「原発避難」「コロナ禍」の二重苦 via民の声新聞

2020/10/01 19:28 復興庁の「NO」に菅政権の「自助」がにじみ出ていた。「原発事故被害者団体連絡会」(ひだんれん)、「『避難の権利』を求める全国避難者の会」、「避難の協同センター」の3団体が実施した緊急アンケート調査の結果を受け9月18日、復興庁に緊急提言を提出した。避難者の生活実態調査を行うよう求めたが復興庁は拒否。実態把握も支援も民間任せ、避難者の生活実態が把握されないまま原発事故から丸10年を迎えようとしている。3団体はアンケートに回答した人々を継続してフォローし、支援して行く方針。〝復興五輪〟強行の陰で切り捨ては着実に進んでいる。 【「福島県の意思尊重」】 「アンケート調査の結果は重く受け止めさせていただきます。一般論として申し上げますと、避難者の方々の実態調査につきましてはこれまで、福島県が復興支援員等を活用して相談対応を行う中で実態を把握して来たという経緯があったかと思います。今回新型コロナウイルスの感染拡大があってなかなか自分たちで訪問出来ないという実態がある事も今回、伺いました。災害公営住宅の見守りサービスですとか、孤立という問題に対しては訪問出来ないという面もあったと聞いております。福島県は電話やスカイプなどを活用した相談対応などをしていると聞いております。われわれもそういったものを活用しながら、見守り支援や相談対応を行って参りたい」 復興庁被災者支援班の男性官僚は言葉遣いこそていねいだったものの、国による原発避難者生活実態調査には前向きな答えをしなかった。同席した福島瑞穂社民党党首(参院議員)が業を煮やして「実態調査をやって欲しい、というのはどうでしょうか。福島県内の避難者も大変だけれども、福島県外の避難者も大変なんですよね。実態調査はいかがでしょうか」と求めたが、言葉遣いがていねいなだけで、復興庁の基本姿勢は変わらなかった。 「この場でなかなかお答えしにくい部分もあるんですけれども、実態調査といいますか、避難者の方々が抱える生活上の課題は様々あろうか思います。それをきちんと把握していくというのは、先生おっしゃるように本当に重要な事だと思います。これまで福島県が相談対応する中で逐一そういったものを把握して、それを施策に活かしていただいていると思う一方で、国が責任をもってやるべきではないかというご意見だったかと思います。これまで福島県とは住民に身近なところで支援をやっていただいて、国はそれを財政的にバックアップするというような…。引き続き、福島県の意思を尊重しながら生活支援に向けてわれわれも取り組んで参りたいと考えているところです」 国としては実態調査をやらないが、福島県がやるなら支援する。しかし福島県もやらない。この繰り返し。当事者の生活実態を調べない空疎な〝避難者支援策〟が行われるという異常事態がこれからも続く。 […] 全文

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「黒い雨」訴訟判決控訴抗議声明via ひだんれん

2020年9月29日    2020年7月29日広島地方裁判所は、「黒い雨」裁判に関する判決を下し、原告84名全員への被爆者健康手帳交付を広島市・広島県に命じた。これに対し参加行政庁厚生労働省、被告広島市及び広島県は、判決が「科学的知見に基づいていない」として、8月12日広島高等裁判所に対して控訴した。   この控訴は判決が含む実証性・科学性を否定する反科学的意図を含むものであり、被爆者健康手帳交付を徒に遅らせ、「黒い雨」被爆者救済を先延ばしするものである。よって厳重に抗議し、控訴取り下げを求める。 さらに、広島地裁判決は、内部被曝による健康被害の可能性を認め、地理的線引きによる被害者の特定を否定した点で、福島原発事故による広範な放射線被曝被害を正しい解決に導く一つの指針である。高度約600mで核爆発した原爆であったことと、地上で核事故を起こした原発であったこととの違いがあるだけで、膨大な核分裂物質が環境中にまき散らされ、周辺住民を生涯にわたって不安と健康被害に陥れる事実に変わりはない。 広島地裁、高島義行判決は現時点での英知の結晶であり、決して闇に葬ってはならない。 国・広島市・広島県の控訴は、戦後75年経過してもなおかつ未解決の「黒い雨」被爆者救済を、徒に遅らせるという点で不当である。「黒い雨」被爆者は原告になった84名だけではない。調査によれば数千人規模の被害者が存在すると言われる。    控訴せずとも、判決を機に今回認定された「黒い雨」被爆を広島原爆被害の「類型」として認め、「黒い雨」降雨域の範囲を新たに認定し、政令を改正すれば済む話である。これで数千人といわれる「黒い雨」被爆者を救済できる。にもかかわらず控訴して、救済に時間をかけようとする国、広島市、広島県の姿勢は到底容認できない。 さらに、広島地裁判決のもつ科学性・実証性が、核産業にとって、そして核産業推進を掲げる現政権にとって都合が悪いからという理由でこれを「非科学的」と論難し、自らの都合だけで広島地裁判決をなかったものとして闇に葬り去ろうとする国の「控訴理由」は極めて不当である。 私たちの国は、福島原発事故という未曾有の「放射能大惨事」のただ中にある。現に「福島第一原発事故による原子力緊急事態宣言」は、2011年3月11日以来継続中である。宣言解消のメドすらたっていない。    長期低線量被曝、特に内部被曝被害を考えて見たとき、広島原爆による「黒い雨」被爆者同様、福島第一原発事故による被曝被害は、私たちの国の将来を左右しかねないほどの健康被害を現にもたらしている。   また、科学的調査に基づかない政治的判断による線引きによって被害者は分断され、差別され、賠償や援護策から切り捨てられようとしている。    こうした被曝被害を、日本全体で正しく解決に導く一つの指針が、広島地裁判決である。それを闇に葬り去ろうという動きは、ここに至っても原発と訣別できぬこの国を滅亡に導くことと同義である。 日本国百年の計に立って見て、到底許されるものではない。 私たちは控訴に断固抗議し、控訴取り下げを求めるものである。 以上 (本抗議声明の「背景と解説」を別途添付する。) 【抗議声明発出団体】 原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)   住所:〒963-4316 福島県田村市船引町芦沢字小倉140-1   電話:080-2805-9004 伊方原発広島裁判原告団   住所:〒733-0012 広島県広島市西区中広町2-21-22-203   電話:090-7372-4608 「避難の権利」を求める全国避難者の会   住所:〒004-0064 北海道札幌市厚別区厚別西四条2丁目6-8-2 中手方   電話:080-1678-5562 福島原発事故被害救済九州訴訟原告団   住所:〒839-1308 福岡県うきは市吉井町八和田633   電話:090-9530-3148 原発賠償関西訴訟原告団   住所:〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満2丁目8番1号 大江ビル405号   電話:06-6363-3705 黒い雨判決控訴抗議声明賛同団体(86団体) 「黒い雨」控訴抗議声明 解説と背景 2020年9月29日 伊方原発広島裁判原告団  2020年7月29日広島地方裁判所は、「黒い雨」裁判に関する判決を下し、原告84名全員に被爆者健康手帳の交付を行うよう広島市・広島県に命じました。これに対し参加行政庁厚生労働省、被告広島市及び広島県は、8月12日広島高等裁判所に対して控訴しました。  私たちは、この控訴に対し、厳重に抗議し、取り下げを求め、「抗議声明」を発出することにしました。ここでは「抗議声明」の土台となる広島地裁判決の解説とその背景についてご説明します。 1.判決の説示 … Continue reading

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愛媛 伊方原発 敷地内の建設現場で火事 放射能漏れはなし via NHK News Web

29日午後、愛媛県伊方町にある伊方原子力発電所の放射線の管理区域の外にある建設現場で火事がありました。火は作業員によってすぐに消し止められ、県によりますと放射能漏れはないということです。 (略) 四国電力によりますと、出火した現場は、国の新たな規制基準に基づいて3号機に設置するテロなどから原子炉格納容器の破損を防ぐ設備などを備えた「特定重大事故等対処施設」の建設現場で、工事中に火花が飛び散り、養生テープの一部が燃えたということです。 火が出た現場は、放射性物質を取り扱う放射線管理区域の外にあり、県は記者会見で、放射能漏れはなく3号機への影響もないと説明しています。 (略) 伊方原発では1号機・2号機の廃炉が決まっているほか、3号機でも運転を停止し、定期検査が行われるなどしていて、現在、稼働中の原発はありません。 全文は愛媛 伊方原発 敷地内の建設現場で火事 放射能漏れはなし

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韓国斗山、小型原発「SMR」で先行 米で認証取得 via 日本経済新聞

韓国の斗山(ドゥサン)重工業が中核部分を担う次世代原子力発電所「小型モジュール原発(SMR)」が米国で設計認証を取得した。米国がSMRに認証を出すのは初めて。原発産業には逆風が吹くが、SMRは安全性が高いとされる。商用化が軌道に乗れば、効率重視で大型化一辺倒だった原発の転機になる可能性がある。 ■12基1400億円分受注 米ニュースケール・パワーがユタ州公営電力システム(UAMPS)の発注で進めている原発プロジェクトが、米原子力規制委員会(NRC)の設計段階の安全認証を取得した。斗山は出力5万キロワットの小型原子炉やタービンなどの主要機材を12基分納入する。受注金額は13億ドル(約1400億円)規模という。2023年に着工し29年に稼働する計画だ。 斗山のSMRは地下に設けた水槽に原子炉を沈める構造だ。地震などの外部要因で原子炉を冷やす機能が失われるリスクが小さい。主要部分を工場で作り現場では組み立てるだけで済むため、工期が短く初期費用が安く済むメリットもある。出力が小さい分、発電効率は大型原発を下回るが、普及により量産効果が働けば総発電コストは引き下げられるという。 (略) ■日米の原子炉メーカーも開発中 SMRには日本勢も期待をかける。日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)が共同出資するGE日立ニュークリア・エナジーも米国での建設を目指し、NRCの安全審査を受けている。ガス火力発電所の建て替え需要などを見込んでおり、長期では日本での展開も視野に入れる。 三菱重工業は2040年代の実用化を目指す。既存技術を生かして発電プラントや船舶などに搭載できるSMRの開発を進める。島しょ部などでの地産地消電源としてのニーズを見据えている。 経済産業省も19年度からSMRなど次世代の原子力技術開発の支援をしている。三菱重工などは国の補助事業の枠組みで実用化に向けた開発を進める方針だ。 (略) 斗山にとっては経営再建に光明が差した格好だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権は脱原発を掲げて韓国内での原発新設計画を凍結。斗山は火力発電設備やプラント事業などの低迷も重なり経営危機に陥った。19年まで6期連続の最終赤字が続いており、政府系金融機関から支援を受けて事業売却などを進めている。 従業員の10%超にあたる650人の希望退職実施や、建設会社や不動産など非中核事業の売却を進めて財務基盤の改善を急いできた。今回、1400億円の受注につながるSMRの認証に、資本増強や油圧機器事業の売却契約も重なり、斗山の株価が急騰する場面もあった。SMR関連機材の輸出拡大が実現すれば再建に弾みがつきそうだ。(ソウル=細川幸太郎、東京=川上梓) ■燃料処分、残る懸念 東京電力福島第1原子力発電所事故以降、欧米を中心に「原発離れ」の動きが相次いだ。エネルギー安全保障などの観点から原発への投資継続を訴える立場にとって、安全性が高いとされる小型モジュール原発(SMR)は「希望の星」(日本の電力会社)だ。ただ、大量生産が可能で、導入コストが安いことから、核拡散につながるリスクも指摘されている。 全文は韓国斗山、小型原発「SMR」で先行 米で認証取得

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