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「原発事故、起こるべくして起きた」東電元エースの告白via 朝日新聞

[…] 「今思えば、あの事故は起こるべくして起きた。すべて過去とつながっていて、東電はそこに向けてずっと進んでいたんです」 […] その後、男性が次々と目の当たりにした光景は、東電の中枢にあって全く想定していない事態だった。翌12日午後に1号機の原子炉建屋が水素爆発し、14日午前に3号機、15日午前に4号機の原子炉建屋が相次いで吹き飛んだ。1~3号機がメルトダウン(炉心溶融)する未曽有の原発事故となった。  3カ月後、政府などの調査とは別に、東電は自らも「福島原子力事故調査委員会」を立ち上げ、事故の究明に乗り出した。計画停電の対応などに忙殺されていた男性は、上司から調査報告書をとりまとめるよう命じられた。しかし、調査は事故の経過や現場で起きていた事実の積み上げに多くの時間が割かれ、肝心の事故原因の分析になかなか進まない。男性が報告書の原案で事故原因に触れようとすると、会長の勝俣恒久ら経営陣からは厳しい言葉が飛んできた。  「事実に立脚していないことは書く必要はない」  「なんでお前が勝手に決めるんだ」 男性は「事故は天災で防ぎようがなかったというシナリオを求めている」、と感じたという。 […] 原文

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【ヒロシマの空白】被爆の線引き<中>失われた機会 入市被爆、詳細調査なくvia中国新聞

▽ABCCは影響を否定  原爆投下国の米国が1947年、放射線の人体影響を調べるため占領下の広島に設置した原爆傷害調査委員会(ABCC)。線量に応じたがんの増加などを追跡する大規模調査は後継の放射線影響研究所(放影研、広島市南区)に引き継がれ、世界の放射線防護の基礎となっている。そのABCCで52、53年ごろ、入市被爆の調査が試みられていた。  45年8月6日の原爆投下直後から、救護活動や人捜しのため、多くの人が郊外から市中心部を目指した。原爆さく裂の瞬間に大量の放射線にさらされたわけではないのに「直接被爆者に似た症状が出た、という話が聞こえていた。それなら調べてみようと」。ABCCで調査を担った医師の玉垣秀也さん(98)=佐伯区=は経緯を語る。  米国は戦後間もない広島での放射線の測定結果などを根拠に、公式には残留放射線による健康影響を否定していた。しかし県内の市町村や消防、医師に情報を求めると、300人以上の症例が寄せられた。 ■急性症状を確認  特に症状が目立つ約40人の診察や聞き取りのため、ABCCの四駆で山間部を回った。少なくとも2人が脱毛や血便、紫斑など典型的な急性症状を示し、数カ月後に死亡していた。歯茎からの出血などがあった人もいた。「入市被爆の影響は、あるはずだ」。玉垣さんは確信した。しかし、調査が継続されることはなかった。  なぜなのか。経過の一端が、奈良大の高橋博子教授が米科学アカデミーなどで入手した文書に記録されていた。ABCCに52~58年に在籍し、生物統計部長を務めたウッドベリー博士による報告書である。  それによると、玉垣さんたちの予備調査を受け、53年12月に研究計画「残留放射線の影響」が承認されたものの「他の仕事の圧迫や調査員の不足」で実現しなかった。ウッドベリー氏は、症状が残留放射線によるのか否かを明らかにするには「より詳細な調査が必要」と締めくくっていた。  玉垣さん自身も米原子力委員会の科学者に調査結果を伝えたが、「伝染病では」と退けられたという。高橋教授は別の資料から、ABCCが同時期に広島逓信病院(中区)からも入市被爆者の症例情報を得ていたと指摘。「米側も関心はあったはず。だが残留放射線の影響を否定している立場から、都合が悪いデータだとの意識が働いた可能性もある」と推測する。 ■変わらない見解  ABCCは75年、日米共同運営の放影研に組織替えした。現在も、残留放射線は「被爆者全体のリスクを考える上では、影響を無視できるほど少ない」との見解だ。[…]  医師たちは入市者の診察で何を見たのか。47~54年にABCCに勤め、調査に関わったもう1人の医師、武島晃爾さん(2007年に90歳で死去)の情報を求めて東広島市の病院を訪ねると、現院長の長男裕爾さん(56)が迎えてくれた。  「寝る間を惜しんで研究したそうです」。県庁勤務の弟徹之さんは被爆死し、姉アヤメさん(15年に101歳で死去)は弟を捜しに入市した。「姉のためにも影響を明らかにしたかったのでは」と父の胸中を推し量る。  ウッドベリー博士の報告書には、武島さんが53年4月、当時のABCC所長に宛てた報告が添えられている。「残留放射線のせいだとはもちろん言えないが、いくつかの症状は放射線障害とよく一致する」。組織の公式見解と、ヒロシマの医師としての実感。二つのはざまでの葛藤がにじむ。(明知隼二) 全文

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【ヒロシマの空白】被爆の線引き<上>こぼれ落ちた被害 黒い雨、乏しい記録が痛手 via中国新聞

▽カルテも散逸進む  「兄の体に何が起きていたのか」。広島市安佐南区相田の沖村武士さん(75)は、兄の正明さんと和男さんをがんで亡くした。2人とも33歳だった。放射性物質を含む「黒い雨」を体内に取り込んだからではないのか―。1945年8月6日を境に家族を苦しめ、今なお解けない疑念だ。 […] ■援護求める動き  広島市は73年、住民の声を受け、沼田町(現安佐南区)などで黒い雨の実態調査に乗り出した。国は76年、広島管区気象台(現広島地方気象台)の45年の調査から、大雨が降ったとされるエリアだけを援護対象区域に指定した。区域外で黒い雨を浴びた体験者たちは援護拡大を求める運動を本格化させ、手記集なども出版されるようになる。  しかし国は区域外での健康被害を否定した。直接被爆では援護の枠組みが徐々に整い、白血病やがんの増加といった知見が重ねられたが、黒い雨はそもそも公的な記録や研究の「網」からもこぼれ落ちていった。  記録や研究の「空白」は、さかのぼっての被害の検証を難しくしている。国は昨年11月からの新たな検証作業で、広島赤十字・原爆病院(中区)の被爆者カルテを分析するとしたが、保管対象は被爆者健康手帳の所持者分のみ。沖村家でも、当時の原爆病院を受診していたのは直接被爆した父政雄さんだけだった。  広島市と広島県が2008年、約3万7千人に黒い雨の体験や病気の有無などを聞き「心身に影響があった」との結果をまとめた大規模調査についても、国は「合理的根拠とはならない」と退けた。 ■資料発掘を提言  「空白」は埋まらないのか。被爆関連資料などの研究を続ける宇吹暁・元広島女学院大教授(74)は、病状などを客観的に記録した資料として「黒い雨の体験者が受診した病院のカルテを、国が予算を付けて発掘するべきだ」と提言する。  国民学校2年だった原田毅さん(83)=佐伯区八幡=は強いだるさや嘔吐(おうと)、下痢の症状にしばらく苦しんだ。2年ほど通院した地元医院での診断は「十二指腸潰瘍」だったが、今も「雨のせいだったのでは」との思いを抱える。  その医院は既に閉院していたが、近くに住む家族を捜して訪ねた。「原爆はもう2代前のこと。よく分かりません」。一帯で雨を浴びた多くの人がかかった医院だが、医師法が定めるカルテの保存期間は5年。記録は残されていなかった。  「原爆死の証(あかし)はありませんが…」。2人の息子をがんで失った沖村アキコさんが亡くなる2年前に残した手記には、母の悔しさが刻まれる。その「証」の一端が、日々の診療の記録として眠る可能性がまだ残る。しかし後継がおらず閉院する医院も多いのが現状だ。(明知隼二) 全文

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福島原発の処理水、海洋へ放出「反対」55% 世論調査 via 朝日新聞

東京電力福島第一原発の敷地内にたまる処理済み汚染水の処分について、朝日新聞社の世論調査(郵送)で尋ねたところ、政府が検討する海洋への放出には「賛成」は32%にとどまり、「反対」が55%だった。放出による水産物への風評被害の不安は、8割以上が「感じる」と答えた。 (略)  調査では「汚染された水から大半の放射性物質を取り除き、国の基準値以下に薄めた処理水を海に流す」ことへの賛否を聞いた。内閣支持層でも50%、自民支持層でも47%が海洋放出に反対し、いずれも賛成を上回った。男性は賛成44%、反対46%に割れたが、女性は賛成22%、反対62%と大きく開いた。  海洋放出によって水産物に風評被害が出る不安は「大いに」42%、「ある程度」44%合わせて86%が「感じる」。「感じない」は「あまり」9%、「全く」2%合わせて11%だった。海洋放出には賛成の人でも、風評不安は68%が「感じる」と答えた。  福島第一原発事故に対するこれまでの政府対応への評価も聞いた。「評価しない」が67%で、「評価する」は20%。自民支持層でも56%が「評価しない」と答えた。政府の事故対応を「評価しない」人は、処理水の海洋放出に64%が「反対」と答え、全体より反対が多かった。  調査は昨年11~12月、新型コロナウイルス関連の調査と同時に実施した。全国の有権者から無作為に選んだ3千人が対象で有効回答は2126人、回収率は71%。 (略)  原案では、地元自治体や市民団体から要望が出ているタンクでの保管継続は漏出リスクの増加につながるなどとして退け、海洋放出を選択。放射性物質の濃度を法令の基準より十分に低くした上で敷地内から流すことにした。除去が難しい放射性物質のトリチウムは海水で基準の40分の1以下に薄め、放出総量は事故前の福島第一原発の目標値(年22兆ベクレル)内に収める。  放出後のモニタリングの強化や、生産・流通・消費の各段階での対策を徹底した上でも生じた風評被害には東電に賠償させる。賠償の仕組みは今もあるが、地域や業種などを限定しないことを明確にする。風評対策に特化した新たな会議体も立ち上げる。  海洋放出は、専門家でつくる経産省の小委員会が昨年2月に「確実に実施できる」と有力視する提言を公表したが、風評被害への懸念が強く、全国漁業協同組合連合会は「漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対反対」と表明している。政府が昨年実施した意見募集などでも不安の声は多く、「国民への説明が不足している」との指摘は与党内からもあがっている。 全文は福島原発の処理水、海洋へ放出「反対」55% 世論調査

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「全国がん登録」最新データで判明  福島県で6年連続「胃がん多発」 via Level 7 News

明石昇二郎  2020年9月19日 大変使い勝手の良くなった全国がん登録データ […] 全国がん登録のデータは2015年分まで、国立がん研究センターがまとめており、データの公表も同センターのホームページ上で行なわれてきた。それが、2016年分以降の全国がん登録データからは、所管が厚生労働省へと移り、政府統計のホームページで公表されることになった。今年8月現在、2017年分のデータまで公表されている(注)。 (https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450173&tstat=000001133323&cycle=7&tclass1=000001133363&tclass2=000001133368&tclass3=000001133370) […] 6年連続で胃がんが「有意な多発」をする福島県 […] 男女ともにさまざまな年齢層で、全国平均を上回っている年齢階級が散見される。 […] その結果は【表2】のとおりである。福島県においては12年以降、6年連続で男女ともに胃がんが「有意な多発」状態にあり、それが収まる兆しは残念ながら一向に見られない。 ちなみに、米国のCDC(疾病管理予防センター)では、2001年9月の世界貿易センター事件(同時多発テロ事件)を受け、がんの最短潜伏期間に関するレポート『Minimum Latency & Types or Categories of Cancer』(以下「CDCレポート」)を公表している。これに掲載されている「がんの種類別最短潜伏期間」を短い順に示すと、 【白血病、悪性リンパ腫】0・4年(146日) 【小児がん(小児甲状腺がんを含む)】1年 【大人の甲状腺がん】2・5年 […] つまり、東京電力福島第一原発事故発生から4年が過ぎた2015年以降に胃がんに罹患した福島県民約7600人の何パーセントかは、同原発事故で放出された放射性物質による汚染や被曝で健康被害を受けた人である可能性がある。しかし、そのことに気づいている当事者――被曝者であり、胃がんを罹患した被害者――は、いったいどれほどいるのだろう。 この現実に目をつぶり続け、放置することは、もはや犯罪的でさえある。福島第一原発事故が発生するまでは、福島県民の胃がんSIRは全国平均と同等か、それ以下だったのであり、その〝超過分〟に当たる胃がん患者は原発事故の被害者かもしれないという観点から、実態調査を早急に実施し、その調査結果に基づく〝被害者救済〟が図られることが切に望まれる。 【肺がんを含むすべての固形がん】4年 【中皮腫】11年 もともとは甲状腺がん罹患率が大変低かった福島県 続いて、若年層における多発が懸念されている甲状腺がんを検証する。CDCレポートに従えば、その最短潜伏期間は大人で「2・5年」、子どもで「1年」である。 甲状腺がんの年齢階級別罹患率と、それから弾き出した年齢階級別罹患数を【表4、5】として示す。若年層に限らず、20歳以上50歳以下の女性たちでも著しい増加が見られる。 […] 全文

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崩れた安全神話 「脱原発依存」で新産業創出を 会田・前新潟県柏崎市長 via 毎日新聞

 中越沖地震と東日本大震災。柏崎刈羽原発の立地市長として二つの災害を経験した前新潟県柏崎市長の会田洋さん(73)に、当時の対応や、原発に対する考えを聞いた。【内藤陽、井口彩】  --原発に対する考えに変化は?  ◆市長に就任した時、1号機の運転開始から19年たっていた。地元には原発を巡る推進と反対の長い抗争の歴史があり、市民が一つにまとまりにくい状況が今も続いている。就任までは大きな事故もなく、市長としては「あくまでもまちの安全性を確保しながら、原発と共存する」というスタンスだった。  しかし福島第1原発事故が大きな転機になった。原発は安全で事故もないとされてきたが、実はそうではなかったことが誰の目にも明らかになり、市民の意識も大きく変わった。それからは「安全性を第一にしながら原発を徐々に減らし、将来的には原発に依存しないまちにしなければいけない」と考えるようになった。 […]  事故が進むにつれて柏崎市に続々と避難者が集まった。一時は2000人超と県内で最も多くなった。原発から逃げるのに、なぜ避難先が原発のある柏崎なのか。当初は分からなかったが、避難者には原発関係者が多いことが次第に分かってきた。以前に柏崎で原発関連の仕事をしていた▽夫は福島だが家族は柏崎にいる▽仕事上の知り合いがいる――などの人々だ。福島と柏崎の両方を行き来して、柏崎に土地勘があったのだろう。  市では被災者サポートセンター「あまやどり」を設置。見守り訪問や交流の場の提供などの避難者支援にあたったり、福島原発の立地4町に支援のため職員を派遣したりした。  --なぜそこまで避難者の受け入れに尽くしたのか  ◆柏崎市、刈羽村と4町とは同じ東電の原発がある縁で、以前から年1、2回持ち回りで交流を続けてきたので、ひとごとではなかった。4町は全く推進一色で、「柏崎には原発反対の人がいて大変だね」と冷やかす町議もいた。その人たちが被害を受け、心中いかばかりだったか。避難先に町長を訪ね、避難者の惨状を目の当たりにして、避難者が何人来ようと、なんとかしなければいけないという思いだった。 […] 全文

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「これで家を壊せる」 福島原発事故後の〝帰れない村〟を映像に、撮った写真家の心に残る住民の言葉 via Withnews

東日本大震災から今年で10年。福島第一原発事故の後、福島県ではいまだ人が住めない「村」があります。浪江町津島地区(旧津島村)。人口1400人ほどだった山あいの集落は放射線量が高く、今も帰還困難区域に指定されています。その地区を一戸一戸、ドローンで空撮するプロジェクトが2019年6月から1年がかりで行われました。「ふるさとの映像を何とかして残したい」。住民の熱意を受け、全520戸の撮影を担当した野田雅也さん(46)に話を聞きました。(withnews編集部・丹治翔) (略) 住民の結びつきの強さ ――全ての撮影が完了するまで約1年かかりました。 映像に残す方法として、「津島地区全体として空撮」「全520戸を一戸ずつ撮影」の二通りがありました。撮影前に、住民がつくった「ふるさと津島を映像で残す会」に尋ねたところ、選んだのは「全員の家を撮る」ことでした。 帰還困難区域ですので地区への入り口は今もバリケードが置かれ、撮影にも役場や警察の許可を得る必要があります。滞在時間も限られますので、手間も費用もかかる。実際、地図を見てドローンを飛ばしたけど、草木が生い茂って一度では住居を探せなかったときもありました。 それでも全ての家を撮影できたのは、「一つも撮り逃したくない」という残す会の強い思いがあったからでした。 撮影中、「ここはねえ、○○ちゃんがいてね。隣の家は○○ちゃんでね……」とみなさん名前で呼び合うんです。 津島地区は周囲を阿武隈山系に囲まれていて、集落の結びつきが強い。1年間で延べ1カ月以上の撮影をしましたが、同行した住民たちが毎回、ふるさとへの思いを語ってくれました。 1年かかったのは、「桜を撮りたい」という要望があったからです。山を切りひらいて建てた家に植えられた桜は、毎年きれいな花を咲かせていました。撮影のスタートが初夏だったので、最後に満開の桜を撮れるよう進めていきました。 撮影で気持ちに区切り ――印象に残っていることは何ですか。 自宅の撮影に同行した女性が「これで家を壊せる」と言ったんです。避難からもうすぐ10年。「ふるさとへ戻りたい」と願っていた人たちの中にも月日が経つにつれ、あきらめの気持ちが出ている人もいます。 ある男性は「避難先で生活の基盤を築いた息子は『もう帰らない』とはっきり言っている。津島の歴史は私の代で終わりです」と話しました。 プロジェクトは空撮だけではなく、住民にインタビューをしたり、津島の自然や伝統芸能を撮ったりもしました。後世にも伝えることができる「ふるさとの記憶」を映像に閉じ込め、自分の気持ちに区切りをつけていた住民の姿が今も心に残っています。 全文は「これで家を壊せる」 福島原発事故後の〝帰れない村〟を映像に、撮った写真家の心に残る住民の言葉

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東電・原発事故の賠償金と廃炉費用、こっそりと国民の電気料金への「上乗せ徴収」始まるvia Business Journal

文=横山渉/ジャーナリスト 福井県などの住民約130人が「大地震への耐震性が不十分だ」として、国に大飯原発3、4号機の原子炉設置許可の取り消しを求めていた裁判の判決が12月4日にあった。大阪地裁は原子力規制委員会の審査過程に看過しがたい誤りや欠落があるとして、原発の設置許可を取り消す判決を言い渡した。  2011年の東京電力福島第一原発の事故以降、原発の運転停止につながる司法判断は仮処分を含め6例目だが、原発の設置許可を取り消す司法判断は初めてだ。今回の司法判断で規制委の審査基準自体に疑問符がつけられたことにより、安全性の水準がさらに上がることも予想され、全国の原発に影響する可能性もある。 原発事故や廃炉への備えが皆無だった大手電力 原発をめぐる裁判には、原発の安全性を争うものや東電福島第一原発事故での損害賠償請求などさまざまある。15の生協などでつくる「グリーンコープ共同体」が設立した小売り電気事業者「グリーンコープでんき」は、電気料金をめぐって10月15日、福岡地裁に提訴した。福島第一原発事故に伴う賠償金や廃炉費用などを一般家庭の電気料金に上乗せし徴収することを国が認可したのは違法と訴えている。  コロナ報道一色の大手メディアではあまり報道されなかったが、10月1日から「福島第一原発事故の『賠償費用』と『廃炉円滑化負担金』の託送料金への上乗せ」がこっそり始まった。もっとも、これが決まったのは電力全面自由化から日も浅い2017年なので、大手メディアはスルーしたのかもしれない。  原発事故によって東電が背負う賠償金は莫大だ。現在係争中の裁判もあり、最終的に何兆円になるのか見通しがつかない。そこで、賠償金を国民全員に負担させようというわけだ。具体的な金額は、事故前に確保されておくべきだった賠償への備えの不足分の一部2.4兆円で、年間約600億円程度が40年間にわたって回収される。  原発事故後、廃炉が決まった原発が全国に7社15基(女川1号機や美浜1、2号機など)ある。「廃炉円滑化負担金」は、これらの円滑な廃炉を促す環境整備の観点より一時的に生じる費用を分割計上するものだが、これも本来は各大手電力が責任を持って負担すべき費用だ。  上乗せされる「託送料金」とは、電気を送る際に小売電気事業者が利用する送配電網の「利用料」のことだ。送配電網は一般送配電事業者(東京電力パワーグリッドや関西電力送配電など10社)が保有・運営しており、料金は事業者が設定し、国が認可する。  当然のことながら、新規参入した新電力各社も託送料金を払ってこの送配電網を利用している。新電力は太陽光や風力など、CO2や放射性廃棄物を出さない、再生可能エネルギーに力を入れている事業者が多い。提訴したグリーンコープでんきもそうだ。 […] 実際の値上げは新型コロナの影響で1年間先送り では、すぐにでも電気料金が値上げされるのかといえば、そうではない。10月1日から託送料金への2つの上乗せが始まったが、同時にこれまで(05~20年9月)行われていた「使用済燃料再処理等既発電費相当額」の上乗せが9月30日で終了し、正確にいえば、入れ替わるかたちになった。  よって、実際は差し引きで、託送料金の値上げになる地域と値下げになる地域がある。また、値上げの場合でも、コロナの影響により1年間は据え置きされることになっている。ほとんどの消費者は将来も、月々の電気料金を見ただけでは、託送料金への上乗せの不条理に気づくことはないかもしれない。それだけに姑息で狡猾なスキームだといえる。  福島原発事故でいえば、賠償金を含む事故処理費用について、16年の経産省の議論では「21.5兆円」と試算していた。しかし、そもそもこの金額は極めて不十分で低い見積もりであり、日本経済研究センターのレポート(19年3月7日)では、35~80兆円と試算している。東京電力の経営陣、株主、債権者の責任が問われないまま、ズルズルと将来的に国民にツケ回しされるのである。 全文

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原発事故で天皇避難を打診 via Reuters

 2011年3月11日に発生した東京電力福島第1原発事故の直後、当時の民主党の菅直人政権が、天皇在位中の上皇さまらに京都か京都以西に避難するよう非公式に打診していたと、元政権幹部が29日までに証言した。宮内庁側は上皇さまのご意向として「国民が避難していないのに、あり得ない」と伝え、政権側は断念したという。複数の元官邸幹部は皇位継承資格者である秋篠宮さまの長男悠仁さまの京都避難も検討したと明かした。 続きは原発事故で天皇避難を打診

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【原発避難者から住まいを奪うな】まるでサラ金の取り立て! 福島県が親などに「国家公務員宿舎からの追い出しにご協力を」と迫る 手紙や訪問で「法的手段も」と脅す via民の声新聞

原発事故後に福島県の避難指示区域外から避難し国家公務員宿舎に入居している県民について、県が今月に入り、避難者の親や兄弟など親族に手紙や訪問で〝避難者追い出し〟に協力するよう求めている事が分かった。福島県は2019年4月以降も国家公務員宿舎に入居を続ける避難者に対し、「損害金」と称して家賃2倍請求を続けているが、親族も巻き込んだ〝追い出し〟に取り掛かった格好。県は訴訟での追い出しもチラつかせており、避難当事者や支援者たちは「まるでサラ金の取り立て」、「生存権や居住権の問題だ」と猛反発している。 【「特段のお力添えを」】 25日午前、「原発事故避難者『2倍請求』撤回訴訟を支援する会」の瀬戸大作さん(「避難の協同センター」事務局長)、熊本美彌子さん(「避難の協同センター」世話人、田村市から都内に避難継続中)、村田弘さん(同、南相馬市小高区から神奈川県に避難継続中)の3人が東京・永田町の参議院議員会館で記者会見し、明らかにした。 瀬戸さんによると、福島県生活拠点課長名の文書「国家公務員宿舎に入居されている御親族に関する御協力について(依頼)」が送付されたのは今月14日付。「本県としては、引き続き住まいの確保に向けた支援を行いますが、貴殿からも速やかに国家公務員宿舎から転居されるよう、特段のお力添えをお願いします」と〝追い出し〟に協力するよう依頼している。 さらに「御親族が自主的に転居されない場合は、訴訟など法的手段に移行せざるを得ませんので、御承知願います」とも明記。訴訟をチラつかせて、退去を促すよう求めている。 文書送付にとどまらず、福島県職員が二人一組で親族宅を直接訪問。ここでも「転居出来ない場合は訴訟を起こす準備がある」という趣旨の話をしているという。 瀬戸さんは「なぜ避難生活を送っているのか。そもそもの『原発事故』という問題と、生存権や居住権の問題がある。多くの避難者がさまざまな理由で転居が難しい状況にあるが、10万円ほどの月収でやりくりをして、新しいアパートへの転居費用や初期費用さえ工面出来ない人もいる。そういう避難者に対して、福島県職員は『家賃7~8万円のアパートを借りれば良いじゃないか』などと平然と言い放っている。原発事故被災県の態度としていかがなものか。ましてや、現在のコロナ禍で国全体が疲弊している中で、今そういう事をやる時か」と憤りを口にした。 [..]  Sさんは既婚男性。両親が既に亡くなっているため、妻の実家に福島県からの手紙が届いたという。 「理不尽。妻の実家の住所を調べる法的根拠を知りたい。次は私の職場に給料の差し止めを求めるのでしょうか。今回の文書送付は、どのような法的根拠の下で行われているのでしょうか」 今回、福島県が接触した妻の実家は、国家公務員宿舎に入居する際の保証人でも何でも無い。しかも、年老いた親が行政から「未払い」「未退去」などの文字を突きつけられれば、驚き、狼狽し、子との関係も悪化しかねない。Sさんは「この件で妻の実家と絶縁するような事があれば県の罪は深い。家族の人間関係を強引に壊す事は罪に問われないのだろうか。もし私の良心が健在なら、お上に逆らう息子を勘当しただろう。今回の文書は故郷を捨てさせる踏み絵ですか?」と憤る。 (下)「ひだんれん」の武藤類子さんはリモート参加。「避難者の人権や尊厳を踏みにじる行為。『最後の1人まで寄り添う』という言葉とは真逆の仕打ちだ。避難者の生活実態調査も行わない」と福島県の姿勢を批判した=参議院議員会館 【「支援活動の一環」】 福島県生活拠点課の担当者は、取材に対し「まずは御本人(34世帯)に期限付きで転居を促す文書を送るのと同時に、ご家族にも文書を送りました。文書では退去期限を2021年1月末という事でご案内しております。極力ていねいな説明をと考えて、親族の家にも訪問をさせていただいて、お考えをお聴きしたという状況です。親族というのは親の場合もあるし、お子さんの場合もあります。御兄弟の場合もあります」と語った。 担当者が何度も口にしたのが「支援」の二文字。 「私たちの認識としては『転居に向けた支援活動の一つ』です。文書を送るだけでは無くて、相談会のようなものも開きました。今の状態や課題を確認させていただいたり、希望されている物件の情報が変わっていないかどうか。これまで連絡がとれていなかった方が自発的に相談会にいらっしゃった事もありました。その意味で、「支援活動」の一環としては一定程度の成果はあったのかなと考えています。実際、御親族の協力で退去に結びついた方も1世帯いらっしゃいます」 しかし、ここで言う「支援」とは転居費用や初期費用の支給や融資、ていねいな物件探しではなく、早急な退去に向けた福祉機関への引き継ぎだ。 「1月末までに退去しない場合は、転居が難しい理由などを提出していただく事になります。それを見ながら、『支援』出来るところは『支援』していくという考えでおります。まあ、われわれが出来る『支援』というのは避難先の専門の機関につないでいく、その御助力をするという事になるんですが…。次なる『支援』としては、具体的な不動産の契約に向けた促しになるかと思います」 会見で村田さんは「一般的な貧困の問題のような話になっているが、この問題にかかわる時にはやはり、原発事故の問題を外してもらっては困る。避難者は自分で選んで国家公務員宿舎に入居したのでは無い。一方的に割り振られ、一方的に退去を命じられているんだ」と語気を強めた。 そもそも避難の必要が生じた原因は何なのか。なぜ退去や転居が難しいのか。国や福島県の言う〝自立〟を果たした人たちだけを見ていると、問題の本質を見誤る。これは私たちに突きつけられた問題でもある。 全文

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