「核なき世界」の実現に向け、日本が主導権を取るべきだ―。核兵器禁止条約の来年1月の発効が決まったことを受け、被爆者だけでなく、科学者や法律家、教育団体など幅広い分野の団体が声明などを発表。条約に反対する日本政府に政策の転換を迫っている。(柚木まり)
日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は条約発効が決まった10月25日、早速「人類史上銘記される日」として歓迎の声明を発表。日本政府に「核なき世界の実現の先頭に立つことを改めて要請する」と、条約の署名・批准を求めた。
2020年を核廃絶の期限と定めて活動してきた世界の約8000都市でつくる平和首長会議も同日、国連加盟国などに送った書簡の内容を公表。「核兵器は絶対悪」とし、日本を含む条約に反対する国々に方針転換を求めた。
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日本弁護士連合会は、荒中会長名の声明を発表。憲法九条を守る立場を打ち出した上で、条約締約国が開く会議に、日本もオブザーバー参加するよう求めた。
核廃絶と非戦を掲げる科学者らでつくる日本パグウォッシュ会議は、条約に記された被爆者支援などで日本が主体的な役割を果たすよう声明で主張した。代表で広島大の稲垣知宏教授(物理学)は「日本政府は、唯一の戦争被爆国として被爆者援護の知見を生かし、国際社会で果たせる役割があるはずだ」と訴える。
親や教員らでつくる日本子どもを守る会(東京都豊島区)は「政府は条約に背を向けている」と抗議。細沼淑子事務局長は「子どもたちを二度と戦争に行かせるようなことはしないと活動を続けてきた。今こそ、声明を出さなければと思った」と語る。