福島原発、廃炉阻む廃棄物 本格作業控え6年で1.7倍 via 日本経済新聞

東京電力福島第1原子力発電所の事故から3月11日で11年を迎える。放射線の拡散を抑える当初の対応から、本格的な廃炉作業に向けた準備へと作業は移った。その結果、原子炉建屋のがれきなどの同原発の廃棄物は2021年11月時点で約48万立方メートル。廃棄物の計画的な管理を始めた6年前と比べ7割増えた。ただ敷地内の廃棄物が増え続ければ、廃炉作業に支障が出かねない。

1月19日、福島原発を訪れた。高台から見渡すと汚染水を処理してためた約1000基のタンクが所狭しと並び、東側では新たなタンク23基の組み立て作業が進められていた。放射能で汚染されたがれきを入れたコンテナも山積みされていた。

21年に訪れた際はがれきが無造作に点在していたが、空き地にだいぶ運び込まれた。22年3月に焼却処分場の稼働を始めるためだ。

ただ、放射線が高い主な廃棄物となる金属やコンクリートなどは燃やせず、あくまで仮置きしているにすぎない。将来は最終処分場に移す考えだが場所は未定だ。廃炉がさらに進展した場合には、仮の置き場も不足する可能性がある。

東電や国は今後、廃炉作業と並行して処理水、がれき、汚染土などの廃棄物の管理や処分を進める必要性に迫られている。これらの廃棄物は福島県内で発生したものだ。東電は「国と東電、福島県などが協議して決めることになる。議論にはまだ着手できていない」と話す。

廃棄物を巡っては、東電は32年ごろまでに約79万立方メートルにまで増えると試算している。メルトダウンを起こした原子炉建屋や、その周辺のがれきなども含まれる。損傷が激しい1号機では、がれき撤去のための足場作りが急ピッチで進められており、こうした廃棄物が増える。

21年3月には原発敷地内で高い放射線を出す塊が見つかった。がれきを保管していたコンテナ1個が腐食し、廃棄物が漏えいした。こうしたトラブルを防ぐため、一時的な保管施設が敷地北側の空き地に次々と建設されている。

22年には原子炉内で核燃料が溶けて固まった溶融燃料(デブリ)の取り出しも始まる。英企業などが開発したロボットアームを使い2号機から着手する。東電などによると今回取り出すのはわずか数グラム程度。1~3号機全体で溶融燃料は推計880トンある。

今回は取り出しの「入り口」にすぎないが、これも処分場が決まっていない。デブリは放射線が極めて高いだけに、処分のあり方は極めて重要になるにもかかわらずだ。

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