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「検査に救われた」甲状腺がん患者が検査継続を訴えvia OurPlanet-TV

東京電力福島第一原子力発電所事故後、甲状腺がんと診断された子どもや若者に経済支援を行っているNPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」が31日、福島県の県民健康調査課とオンラインで面会し、甲状腺検査の患者への支援の拡充を要望した。面談には甲状腺がんの手術を受けた20歳の男性も参加。終了後の記者会見で実名を公表し、「県民健康調査でがんを見つけていただいて、手術につなげていただいて非常に感謝をしている。」と検査の継続を訴えた。 基金では会見で、療養費を給付した患者らのデータなどをもとに、悉皆検査が存在しない県外と県内を比較。自覚症状などによってがんを発見する患者の多い県外では、がんが進行した状態で発見されるケースが多く、全摘例が5割を超えていると指摘。一方、検査のある福島県では、全摘例が1割程度で、肺などへの遠隔転移も7分1から8分の1程度と少ないとして、検査が患者のQOL向上に役立っていると説明した。 全症例数の把握を要望〜循環器疾患で先行また同基金は、福島県の甲状腺検査により、がんの全数を把握できていないことを問題視。福島県では、県の健康増進課と県内の医療機関が連携し、循環器疾患のデータ収集と分析を図る「福島県循環器疾患発症登録事業」を行っているとして、甲状腺がんでも同様の対策を講じるよう求めた。 […] 会見では、今年1月から2月にかけて実施した患者と保護者のアンケート調査のうち、福島県内70人の回答をまとめた詳細結果も公表した。これによると、自身の甲状腺がんについて「原発事故の影響があると思うか」との質問には、「おおいにある」「少しはある」と回答した人がそれぞれ21人(30.0%)と6割を占め、「ない」と回答した人は5人7.0%にとどまった。一方、「わからない」と回答した人が23人(32.9%)にのぼった。 また、福島県の検討委員会が1巡目と2巡目で見つかった甲状腺がんについて、「放射線の影響は考えにくい」と評価していることについても、「そう思う」が6人(8.6%)「どちからとえばそう思う」が14人(20.0%)と3割弱にとどまったのに対し、「そう思わない」24人(34.3%)「どちらかといえばそう思わない」が19人(27.1%)と、検討委員会の報告に否定的な考えが6割を占めた。 さらに、甲状腺がんが多く見つかっていることについて、「将来的に臨床診断されたり、死に結びついたりすることがないがんを多数診断しているとする「過剰診断」説への考えを尋ねたところ、「悪化につながる患者が多数存在しているのに、その表現は不適切。甲状腺がん患者に寄り添うどころか軽視発言」「(本人の)祖父、おばは、2013年〜2015年の間に甲状腺がんが原発がんにて死亡。おば一人は、甲状腺がんから多臓器に転移し、たたかっています」「手術を受けると選択したことが間違いだったのかもしれない、という心理的負担を強く感じる」といった反発や不安の声が寄せられたという。 会見に出席した福島市内在住で現在大学2年生の林竜平さんは、福島県の甲状腺検査について「非常に助かった。救われた。」「県での検査がなかったら、今の自分はない。」と発言。17歳で手術を受けた時は、がんが声帯に隣接していたといい、もし手術が遅れていれば、生きていたとしても、声がでなかったかもしれないと述べ、県民健康調査を縮小しようとする流れについて「ふざけんな、という気持ち。」と憤った。 また、検査を受信する上で「任意性の担保」が問題となるなら、医学の専門家だけで議論すべきではないと批判。人権の専門家など幅広い専門家が参加すべきだと主張した。 アンケートでは、患者への支援についても質問。福島県が実施している「甲状腺検査サポート事業」について、対象年齢でありながら知らない患者が1割を超える9人にのぼるなど、制度の周知が不十分であることが明らかになった。アンケート結果については月内をめどに詳細な報告書を作成し、基金のホームページに掲載するという。 林竜平さんの発言※動画はNPO法人「3.11甲状腺がん子ども基金」が主催したオンライン会見の録画を主催者と林さんの許可を得て配信しています 基金:経験に基づいて、県民健康調査の評価をどのようにしているか?林:非常に助かった。救われた。手術を受けた人間としての正直な意見。 基金:県民健康調査に感謝していると?林:手術をする際に、命に別状はないが、声帯にも限りなく近くて、これ以上大きくなってしまうと将来声が出せなくなる可能性があるから取ろうねと言われて、手術を受けたので。それこそ、今年21歳になるんですけども、生きていても、こうやって、この場で声を出して発信することが出来なかったかもしれないと考えると、県民健康調査で見つけていただいて、手術につなげていただいて、非常に感謝をしている。 基金:県民健康調査がなかったら、どうなっていたか?林:手遅れで全摘とか、それこそ、声帯にかかってしまい声を出せない。最悪の場合は、転移して、抗がん剤の投与であったりとか、大規模な手術であったのかと考えると、恐ろしいというか恐怖です。 基金:県民健康調査を縮小しようとか、学校での検査を縮小しようとかという意見がありますが、どう思っていますか?林:ふざけんな、という気持ち。学校の検査の縮小とか廃止の話の中で、任意性の担保、受ける受けないの自由をどうするのかという話が上がっていると思うが。では、それをどこの専門家でやっているのか、医大の先生、医学の先生だけで、任意性の担保の話をしているのならば、それはお門違いだと思う。もっと幅広い、任意性の担保という話であれば、人権の専門家だとか、もっと幅広い多様性のもった議論をしていただきたいとは考えています。 基金:甲状腺がんで手術した人がカミングアウトは林さんが初めてだと思うんですが、心理的な抵抗や圧力は?林:何もないですね。本名で顔を出して会見することを、親にも相談したんですが、思いっきり言ってこいと後押しされた。 基金:林さんは学生?林:大学2年生です。発言をしてメッセージを伝えたいと言うときに、顔を隠し、別の名前を使うとどうしても、信憑性が薄れる。こういう機会を設けていただいたので、何か、一人でも多くの人の気持ちを変えたりとか、認識を改めていただくためにも、今回本名出して、顔を晒してやらせていただいた。 記者:今日の県の役人との対面か?印象は?林:初めての対面。県の検査に非常に感謝している。県での検査がなかったら、今の自分が間違いなくない。ただ面談に関しては、事前に、やっぱり検討委員会の方ではないので、こちらの発言について明確な回答はないとは聞かされていたので、それほど期待してはいなかった。コロナの状況で、我々に目を向けてくださったのはありがたいと思う一方で、ちゃんと上に伝わるのか。せっかく、私が多少の勇気を振り絞って、顔出しして、実名出して発言したことが、課長やもっと上。知事に届くのかということは少し疑問がある。 全文とビデオ。

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