原子力規制委員会の更田豊志委員長は17日の定例会で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所でのIDカード不正使用に関する検査について「場合によっては施設の使用停止を含む厳格な措置を講じていく」と発言した。検査で問題の重要性や深刻度を評価し、結果に応じて東京電力ホールディングスに必要な対応を求める方針だ。
柏崎刈羽原発は7号機の再稼働に向けて地元同意が焦点となっているが、IDカードの不正使用問題や安全対策工事の不備の判明で、地元自治体の態度が硬化している。仮に使用停止となった場合は規制上も再稼働が困難になる。
柏崎刈羽原発では2020年9月、職員が他の職員のIDカードを使って原発運転の中枢部である中央制御室に入っていた。原子炉等規制法に基づいて定める核物質防護規定に違反している疑いがある。更田委員長は「現在の防護規定と東電の防護措置が十分かどうか厳しく確認、評価していく」とした。
17年に柏崎刈羽6、7号機の再稼働の前提となる設置変更許可を出した際に規制委が認めた東電の適格性について、地元などから懸念が出ていることについては「個別の事案の都度審査をやり直すわけではない」と強調した。