原発を抱える自治体への財政支援を手厚くする特別措置法の期限が3月末に切れるため、政府は期限を10年間延長する改正案を今国会に提出する。期限を迎えるのは、2011年3月の東京電力福島第一原発の事故後初めて。事故後の原発への反発は根強く、かつて原発の新増設を後押しする狙いで生まれた法律をそのまま延長することの是非は国会で議論になりそうだ。
この法律は「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」(原発立地特措法)。原発の立地自治体が道路や港湾を整備したり、企業誘致のための減税をしたりする際、国が通常よりも手厚く補助するものだ。所管する内閣府によると、19年度は計144億円が投じられている。
1999年に核燃料会社JCOで起きた臨界事故で、全国の立地地域が原発の新増設に慎重になったため、原発推進派の国会議員が中心になって00年に議員立法で成立した。当初から10年間の期限があり、原発事故直前の民主党政権下で期限が21年3月末まで延長された。今回は議員立法ではなく、政府が期限を31年3月末まで延長する改正案を月内にも閣議決定し、今国会に提出する方針だ。
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また、補助金の交付などの担当が複数の省庁にまたがるため、毎年どのような事業にいくら使われているかが、国民から見えにくいという課題もある。
原発立地特措法に詳しい千葉商科大学の原科幸彦学長は「原発の廃炉が主流になっている時代。立地地域の振興のためには、今後は原発依存ではなく自立性のある発展を遂げられるよう、別の法制度を作るべきだ」と指摘する。(編集委員・大月規義)