米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ導入問題が「自民党王国・山口」に飛び火している。当初は無風とみられていた山口県知事選(12日告示、29日投開票)だが、オスプレイの米軍岩国基地(同県岩国市)への搬入問題が浮上すると状況は一変。自民党は衆参両院議員を大量動員してテコ入れに躍起だ。安全保障上の懸案が地方選を直撃している。(佐々木美恵、村上智博)
知事選は、4期目の二(に)井(い)関(せき)成(なり)知事の引退に伴い、いずれも無所属新人の飯田哲也、三輪茂之、山本繁太郎、高邑勉の4氏が立候補。当初は二井氏の後継指名を受け、自民、公明両党が推薦する山本氏が圧倒的に有利とみられていた。
そこに降って湧いたオスプレイ問題。配備反対の動きが全国に広がる中、知事選投開票日直前の24日にも岩国基地へ搬入されることが分かり自民党は慌てた。
大阪維新の会のブレーンとして「脱原発」の旗を振ったNPO法人代表の飯田氏の出馬により、中国電力が計画する上関(かみのせき)原発(山口県上関町)への賛否も争点化している。自民党幹部は「反基地と脱原発が結びつけば保守基盤を崩しかねない」と危機感を隠さない。