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何が何でも再稼働だから? 東海第2原発の「不備」を4カ月も黙っていた日本原電と原子力規制庁の不誠実 via 東京新聞

 首都圏唯一の原発、日本原子力発電東海第2原発で、防潮堤の施工不良が明らかになった。ただ原電の公表は不備の把握から4カ月後。原子力規制庁もかねて報告を受けていたのに、公表に動かなかった。立地自治体の茨城県東海村ではこの間、休止続きの東海第2の再稼働について議会が初めて賛意を示した。原発不信を招く話が伏せられるうちに再稼働の道筋が付く—。こんな話がまかり通っていいのか。(宮畑譲、山田祐一郎、長崎高大) ◆再稼働準備の工事中 「防潮堤」に施工不良  「すぐに公表しないで、村議会議員や首長にも黙っていたことが問題。命と環境を守る意識が欠けている。信頼関係が崩れた」  今月8日に開かれた東海村議会の全員協議会。原電の面々を前に、再稼働に反対する阿部功志村議(無所属)はそう糾弾した。  大名おおな美恵子村議(共産)も「(防潮堤の不備は)重大な工事の失敗。少なくとも県や村、議会には報告してから対策するのが本来の姿だ」と切り出した上で、「全国の人が注目している。住民、地元議会、自治体にはいち早く説明していくスタンスが大事だ」と言葉を重ねた。  東海第2原発は2018年、原子力規制委員会による新規制基準の審査に通過。同年に運転期限となる40年を迎えたが、最長20年の運転延長が認められた。 その後、防潮堤の建設や非常用電源の設置など事故対策工事を進め、24年9月の完了を経て再稼働に向かう算段だった。  そんな最中の今年10月、防潮堤に施工不良があったと原電は発表した。  不備が見つかったのは、防潮堤の取水口付近の鋼製防護壁を支える基礎部分。外周部の地中に埋められた2本の柱(幅15.5メートル、長さ50メートル)の一つに、コンクリートの充填じゅうてん不足による隙間や鉄筋の変形があった。 ◆事実の発表は、内部告発を受けた記者会見とまさかの同日  当然ながら施工不良は問題だが、村議たちは公表の時期にも疑問のまなざしを向けた。原電が施工不良を見つけたのは今年6月。10月までの約4カ月間、公表していなかった。 原電の広報担当者は東京新聞「こちら特報部」の取材に「初めから公表する方向で調整していたが、原因を推定するのに時間がかかった。大方の原因が分かり、発表できるようになったのが10月だった」と説明する。  ただ、不可解な経緯もある。先の大名村議は9月6日に工事関係者から内部告発を受け、同月22日には原電に質問書を出した。ところがその後に回答がなく、10月16日に会見を開こうとしたところ、原電も同じ日に公表したという。  原電の担当者は「共産党は関係がない」と語るが、大名村議は「もっと早く公表できたはずだ。公表するつもりはなかったが、会見が入ったので公表したのではないか」といぶかる。 ◆山中伸介・規制委員長「重大性がある問題と認識していない」 […] 10月18日の定例会見で規制委の山中伸介委員長は「現時点で規制委が取り上げるほど重大性がある問題と認識していない」と述べ、「適切な工事がなされれば使用前検査できっちり確認していく」と繰り返した。  改めて規制庁に聞くと、担当者は「法令に基づき報告を義務付けている事象がある。今回の施工不良は該当せず、われわれから公表するものではない。あくまで完成後に検査をして合否を判定する」と述べ、「立地自治体への説明は大事なことだが、事業者が行うべきこと。コメントする立場にはない」と話した。 ◆日本原電と原子力規制庁の置かれた立場は  首をかしげたくなる対応を取る原電と規制庁。両者に関していえば、東海第2原発の再稼働に前のめりな姿勢がうかがえる。  原電は原発専業の電力会社だが、保有する敦賀原発1、2号機(福井県)、東海第2原発のうち、敦賀1号機は廃炉が決定。直下に活断層がある2号機も再稼働に向けた審査が滞る。震災以降、販売電力量はゼロで、再稼働を前提に原発の維持や管理費の名目で電力各社が支払う「基本料金」で経営をつなぐ。 […] ◆知らされない間に東海村議会が「再稼働求める請願」採択  国策と化す再稼働を巡っては、防潮堤の施工不良が公表されずにいた間、東海第2が立地する東海村では重要な局面を迎えていた。  村議会原子力問題調査特別委員会は9月、村商工会などが出していた再稼働を求める請願を賛成多数で「採択するべき」とした。再稼働を巡って議会が事実上の賛意を示すのは初めて。再稼働に反対する請願は「不採択」とした。  ただ施工不良が公表されていれば、委員会での審議に影響を与えた可能性がある。10月の公表でよかったのか。原電は「原因を一定程度推定するのに時間がかかった。村の請願とは関係ない」と答える。 脱原発を訴える市民団体「たんぽぽ舎」の柳田真共同代表は「原電はこれ以上、工事を遅らせることはできず、情報を伏せたのでは。何が何でも来年9月に工事完了できるよう躍起なのだろう」と推し量る。  一方、茨城大の蓮井誠一郎教授(国際政治学)は「不備をすぐに公表しなかったのは地域や社会をどこか信頼しておらず、オープンな議論を避けた結果ではないか」といぶかる。 ◆炉心溶融事故が起きたら経済的な損失は660兆円  厳しい視線は村議会にも向く。防潮堤が完成していない段階で再稼働絡みの請願の審議を進めたほか、不備が発覚した後も再審議に動かなかったからだ。  「地域のリスクを軽視しており、チェック機能が果たされていない」  再稼働に前のめりになるあまり、安全面がないがしろにされては困る。  東海第2で事故が起きれば甚大な被害が生じかねない。環境経済研究所の上岡直見代表は「炉心溶融事故が起きた場合、経済的な損失は660兆円を超える」と試算する。  福島第1原発2号機の放射性物質放出量の推定値と同量が東海第2から大気中に放出された場合、東京23区の東半分までの住民が避難や一時移転を余儀なくされ、生産・消費活動が停止すると想定した。  福島の事故では、民間シンクタンクが事故処理費用が最大81兆円に及ぶと試算した。「条件設定にも左右され、直接比較はできない」と語る一方、「再稼働した場合、利益と比べて桁違いのリスクがある。原電はどこまで認識しているのか」とも指摘する。 […] ◆デスクメモ  2020年9月の柏崎刈羽原発。東京電力はテロ対策の不備を把握し、規制庁に伝えたが、公表されなかった。表沙汰になったのは翌年1月の報道。その間、再稼働が絡む規制委の審査があり、ゴーサインが出た。「またか」と思う今回の件。双方に絡む規制庁。不信ばかりが募る。(榊)

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<東海第二原発 再考再稼働>(27)周辺開発 村は見直しを 茨城大名誉教授・乾康代さん(67) via東京新聞

三月十八日、水戸地裁の建物から原告団の弁護士らが飛び出して「勝訴」の旗を広げたのを見て、胸が震えた。日本原子力発電東海第二原発(東海村)で事故があれば、周辺に住む九十四万人が避難することはそもそも無理だろう、だから再稼働してはいけない−という判断は至極まっとうだ。 東海村は、村民が再稼働問題などを話し合う「自分ごと化会議」を開催しているが、山田修村長自身がこの判決を「自分ごと化」しなければならない。原発周辺の開発規制を緩め、住宅地をどんどん作ってきた責任が村にはある。 […] 原子力委員会が一九六四年に制定した「原子炉立地審査指針」は、原発を建設する前提として、周辺は「非居住区域」、その外側は「低密度人口区域」であることを求めている。東海第二と同じ敷地にある東海原発(六〇年着工、廃炉中)は、指針制定前に見切り発車で立地が認められたが、東海第二の立地は指針に基づいたものだ。 だが、原発からどれくらい離れたところまでが「非居住区域」「低密度人口区域」なのかは定義されず、一度審査を通れば、その後にどんなに周辺人口が増えても放置されてきた。指針は原発推進機関である原子力委の「内規」にすぎず、一度も改訂されることなく形骸化していった。 東海・東海第二原発周辺の人口増加を食い止めるには、村(六八年の新都市計画法施行前は県)が「非居住区域」「低密度人口区域」を維持するような都市計画を立てるべきだった。だが、村では急速に集積が進んだ原子力関連施設や日立製作所関係の住宅需要が拡大。強い開発推進圧力の中、まともな規制は一切してこなかった。 その結果が現在の「三十キロ圏内の人口九十四万人」だ。都市計画規制なき原発立地は「東海モデル」として全国に広まった。 東京電力福島第一原発事故後に施行された新規制基準も、既存原発を立地審査の対象とはしなかった。あらためて審査すれば、国内の全ての原発が廃炉に追い込まれたからだろう。 水戸地裁判決は立地審査指針にも言及しているが、原子力規制委員会が立地審査を採用していないことに関しては「疑問がある」と述べるにとどめた。有名無実化している指針について、もっと厳しく指摘しても良かったのではないか。 もちろん、東海第二周辺の家を今すぐ壊して村民に引っ越してもらうことなどできない。だが東海村には、開発規制を怠った結果、原発周辺の村民を事故のリスクにさらしている責任がある。今後は、空き家や空き地が出たらそこにはもう住めないようにして、少しずつでも原発敷地から住宅地をセットバック(後退)させていくことを考えるべきだ。 山田村長はまずひとこと、「開発のあり方を見直す」と言ってほしい。それが水戸地裁判決を「自分ごと化」する第一歩になる。 (聞き手・宮尾幹成)<いぬい・やすよ> 1953年、奈良県生駒市生まれ。大阪市立大大学院で博士取得。2001〜19年に茨城大教育学部助教授、准教授、教授を務めた。専門は住居計画、都市計画。新建築家技術者集団代表幹事。単著に「原発都市 歪(ゆが)められた都市開発の未来」、共著に「原発『廃炉』地域ハンドブック」など。水戸市在住。

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<東海第二原発 再考再稼働>(25)被ばく情報の透明化を 映画監督・鎌仲ひとみさん(62)via 東京新聞

原子力防災をテーマに、ドキュメンタリーの新作を制作している。タイトルは、ずばり「原子力防災」。新型コロナウイルス禍で撮影は中断しているが、東海第二原発(東海村)の再稼働を目指す日本原子力発電(原電)の住民説明会や、東海村が原発事故を想定して実施した避難訓練などは既に取材した。  原子力防災を考える上で鍵になるのは、情報の透明性だ。原電が開催する住民説明会に行っても、来ている人はごく少数。しかも技術的な話ばかりだ。東海第二の三十キロ圏に住む九十四万人に、必要な情報を届ける努力がなされているとは言えない。  核燃料サイクル施設がある青森県六ケ所村を舞台にした映画「六ケ所村ラプソディー」(二〇〇六年)などで、核や原子力の問題を世に問うてきた。東京電力福島第一原発事故より前に、こういう映像作品を発表していたのは私くらいだろう。テレビではできなかった。  それが3・11を境に、テレビも含めて一斉にやり出した。原発について語ることがマスコミのタブーでなくなったのは、福島事故がもたらした大きな変化と言える。だが、また新しいタブーが席巻している。被ばくの問題だ。  メディアに原発の情報はあふれるようになったが、エネルギーとして必要かどうかの議論に矮小(わいしょう)化され、被ばくのリスクを伴う発電方法をなぜ選択し続けるのかという本質が抜け落ちている。  被ばくがないなら、原発と他の発電方法は何が違うのか。被ばくがあるからこそダメなんですよ。そこを語らなくてはいけない。実際、福島では今も多くの人々が被ばくに苦しんでいる。そうした情報も欠落している。 福島の事故後、原子力ムラは公衆の被ばく限度を引き上げ、被ばくは大したことではないという情報を流した。被災者のふるさとを愛する気持ちを逆手に取り、避難者支援をどんどん打ち切った。「避難は悪いことだ」という心理作戦に成功してしまった。 (略) 東海第二のすぐ近くに(日本原子力研究開発機構の)再処理施設があるのも気掛かりだ。保管中の高レベル放射性廃液を全てガラス固化するには、まだ時間がかかる。その間に巨大な地震や津波が来て廃液が漏れたら、原発事故より悲惨なことになる。  高レベル廃液がどれだけ放射能が強く危険なものか、九十四万人に情報が届いていない。東海第二について語るなら、必ず再処理施設にも言及しなければならない。  東海村の人々自身は、二人の犠牲者を出したジェー・シー・オー(JCO)臨界事故(一九九九年)も経験し、被ばくの問題には敏感なはず。だが、村の中だけで閉じてしまって、周辺自治体の住民と当事者意識が共有されていない。情報が本当の意味で透明化されていないからだ。 (聞き手・宮尾幹成) 全文は<東海第二原発 再考再稼働>(25)被ばく情報の透明化を 映画監督・鎌仲ひとみさん(62)

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<東海第二原発 再考再稼働>(23)圧力容器劣化にリスク 元原発技術者・服部成雄さん(76)via 東京新聞

日立製作所で長年、原子炉の材料研究やトラブル時の原因究明に従事してきた。二〇一一年三月の東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原発や東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発といった全国の沸騰水型軽水炉(BWR)に携わってきた。  私が脱原発に考えを変えたのは、福島第一原発事故を経験してから。それまでにも、全国の原発で多くのトラブルに対処して、原発の脆弱(ぜいじゃく)性を知っていたことから「原発は危険なものだ」という認識はあった。だが、社内の原発推進の雰囲気にあらがうことができず、結局は黙認していた。  原発事故の映像をテレビで見た時に、「大きな被害を出す犯罪的なものを造ってしまった」と脱力感を感じ、自分がやってきたことが全否定された気がした。 元技術者として、反省の念を込めて原発の危険性を伝えなければならないと思い、講演や文章で再稼働のリスクを発信している。  東海第二原発の再稼働にも反対だ。「核のごみ」をこれ以上、増やすことは許されない。その上、運転開始から四十年以上経過しており、原子炉本体の圧力容器の目に見えない経年劣化も懸念される。  原子炉内を飛び交う中性子線が、圧力容器や内部構造物の材料の組織を傷付けてもろくする。特に、燃料集合体近くはダメージが大きい。だが、圧力容器内の材料の状態を正確に調べることは困難。中性子線が材料に与える長期的ダメージがどのように起きるかも十分に分かっておらず、研究途上の段階にある。  このままでは、圧力容器にどの程度のダメージがあるか不明で、適正な検査もできない。そのような状況で、再稼働をしようとしている。 (略) 原電が東海村など東海第二の周辺自治体で開く住民説明会に行き、質問もするが、原電は「適切にやっている」「これだけ安全対策をやっている」と答えるのみ。それでは、地元の理解を得られない。「住民をばかにしているのか」と言いたい。原電の体質も、事故前よりむしろ悪くなっていると感じる。 全文は<東海第二原発 再考再稼働>(23)圧力容器劣化にリスク 元原発技術者・服部成雄さん(76)

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東海第2原発の県民投票案を否決 再稼働巡り、茨城県議会委員会 via 東京新聞

茨城県議会の防災環境産業委員会は18日、日本原子力発電東海第2原発(同県)の再稼働の賛否を問う県民投票条例案を自民党会派などの反対多数で否決した。先立つ総務企画委員会との連合審査会で、自民党は「原発の安全性検証や避難計画の策定、情報提供など条件が整った上で県民の意見を聞くのが適切」と反対理由を述べた。 「住民の直接請求権を尊重する」とした立憲民主党や共産党などが賛成、公明党や国民民主党系の会派は反対。  市民団体「いばらき原発県民投票の会」が必要数の1・78倍にあたる約8万7千筆の署名を集め、大井川和彦知事に直接請求。 続きは東海第2原発の県民投票案を否決 再稼働巡り、茨城県議会委員会

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原発再稼働 茨城県民投票条例案賛否 県議にアンケートへ 市民団体 via 茨城新聞

日本原子力発電東海第2原発(東海村)の再稼働の賛否を問う茨城県民投票条例案を巡り、同条例制定を直接請求した市民団体「いばらき原発県民投票の会」は16日、県議会の定例会本会議での採決後に、全県議対象の賛否理由のアンケートを実施すると発表した。結果は7月にシンポジウムを開き、明らかにするという。 本会議での採決は23日。アンケートは記名式で、翌24日〜7月1日に行う。 (略) 7月5日には、水戸市内で同条例の審議過程を振り返るシンポジウムを開催し、調査結果を公表。同行事には各県議を招くことにしていて、司会は吉田勉常磐大教授(地方自治論、行政法学)が務める。 全文は原発再稼働 茨城県民投票条例案賛否 県議にアンケートへ 市民団体

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<東海第二原発 再考再稼働>(6)東電の支援は背任行為 国際環境NGO事務局長・満田夏花さん(52)via 東京新聞

 東京電力が昨年十月、日本原子力発電(原電)東海第二原発の再稼働に必要な資金支援を正式に決めた。福島第一原発事故で多くの人がふるさとや生きがいを失っている中で、東電が出したお金が原発再稼働につながるというのは、事故の被害者への裏切り行為だ。 東電は、自力では被害者への賠償や廃炉の費用を賄えず、国や他の大手電力会社から巨額の資金を注入され、形だけ破綻を免れている。賠償や廃炉に専念すべきで、他社の再稼働を支援するのは許されない。 (略) だが、原電が所有する原発は二〇一一年度以降、一基も動いていない。赤字額は平均十七億円で、原発以外に発電手段を持たない原電は倒産してもおかしくない状況だ。 さらに東海第二の事故対策費は、原子力規制委員会の審査段階では千七百四十億円とされていたが、三千五百億円まで膨らんだ。仮に再稼働しても、その電気はとてつもなく高くつくと予想される。このような電気を前払いで買うのは、賠償や廃炉の費用を負担する国民や電力消費者にとっても背任行為だ。 全く発電していない原電が生き延びているのは、大手電力各社から巨額の「基本料金」を得ているからだ。東電の支払額は最も多く、一一~一八年度で総額三千七百十三億円に上る。東電は経営合理化を言うなら、不当な支払いは即刻やめるべきだ。やめようとした時期もあると聞くが、原発を推進する国の意向には逆らえないのかもしれない。 東海第二は東日本大震災で外部電源を喪失し、三日以上かかってかろうじて冷温停止した。強い揺れによる被災を全て確認できているわけではない。三十キロ圏に九十万人以上が暮らし、実効性ある避難計画の策定も不可能だ。 (略) 国が原発にしがみついているために、多くの人が「原発反対」と言い続けなければならないのは、社会的コストだ。原発反対運動をしなくて済めば、再生可能エネルギーの出力調整や送配電網の適正な運用といった前向きな議論がもっとできる。(聞き手・宮尾幹成) <みつた・かんな> 1967年、東京都東久留米市出身。東京大卒業後、地球・人間環境フォーラム主任研究員を経て、2009年に国際環境NGO「FoE Japan」へ。3・11後は原発事故被害者の権利や生活再建、エネルギーに関する政策提言に取り組む。脱原発社会を目指す民間シンクタンク「原子力市民委員会」の座長代理も務める。 全文は<東海第二原発 再考再稼働>(6)東電の支援は背任行為 国際環境NGO事務局長・満田夏花さん(52)

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<東海村議選 東海第二原発の現場から>(上)  原発の恩恵「少ない」via 東京新聞

 日本原子力発電(原電)が昨年二月、東海村の東海第二原発の再稼働を目指す意向を表明してから、初の村議選が十四日、告示される。次の村議の任期中、村は原電から再稼働の同意を求められる可能性がある。山田修村長が是非を判断する上で、村議会の意向も一つの焦点。現状、村議会は再稼働賛成派が多数を占め、このまま再稼働に突き進むのか。原発を巡る村の課題を探った。 (松村真一郎) 東海第二原発から約一・五キロ離れたビジネス旅館おしょうづか。玄関からは、東海第二の排気筒がはっきりと見える。 旅館を切り盛りする斎藤日出子さん(74)は「最近は、(村に立地する)常陸那珂火力発電所で働く人の宿泊が多い。部屋はほぼ満室で、原発が動いていなくても客は足りている」と話す。 東海第二の再稼働賛成派は、メリットとして「作業員が宿泊施設に泊まったり、食事をしたりすることで、経済効果が生まれる」と強調する。確かに、村内の宿泊施設に尋ねると、「原発が動いてくれると、宿泊客が増えるので助かる」と恩恵を期待する声もある。 だが、東海第二が停止してから約九年で、原発に依存しない脱原発の経済が着実に浸透している。長年、旅館を経営する男性は「うちの宿泊客は、スポーツ合宿の学生も多く、原発のウエートは小さい。再稼働には期待していない」と言い切る。 村の財政面でも税収に占める原発の比率は下がっている。村内には、日本原子力研究開発機構などの原子力施設が複数あり、村税収入のうち、原子力関係の割合は二割程度。東海第二に限ると、より小さくなる。 (略) こうした背景も踏まえ、村は、原発なき後の村の将来を模索する。二〇一七年度には、関東学院大の湯浅陽一教授(環境社会学)の脱原発による財政の研究に資金提供した。 湯浅教授は、廃炉作業にも長い期間を要することから、作業員が村に滞在することによる経済効果は、長期的に持続すると分析し「東海第二を動かす必要はない」と主張する。 その上で「住民の間では、廃炉になることで村の経済が心配だという考えもあると思う。そのため、廃炉に必要な人員や期間のデータを基に、しっかりと検証し、住民に示していくことが重要」と話す。 東海第二が再稼働できる期限は三八年十一月までで、すぐに再稼働できたとしても、定期点検などもあり、実質十数年しか動かせないとみられる。新しく選ばれた村議は再稼働の是非にかかわらず、廃炉を見据えた村経済のビジョンを描く必要がある。 ◆村議選あす告示 21人が立候補へ準備 東海村議選(十四日告示)は、今回から定数が二〇から一八に減る。現職二人が引退するとみられる一方で、新人三人が立候補を予定しており、計二十一人の選挙戦になる見通し。 党派別では、公明二人、共産、国民民主各一人、無所属十七人。 投票は十九日、村内の十四投票所であり、午後七時から村総合体育館で即日開票される。選挙人名簿登録者は昨年十二月一日時点で、三万一千三百十人。 (松村真一郎) 全文は<東海村議選 東海第二原発の現場から>(上)  原発の恩恵「少ない」

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<東海第二原発 再考再稼働>(4)「除染すれば大丈夫」は間違い 元日本医師会長・原中勝征さん(79)via 東京新聞

東海第二原発の再稼働に反対する市民集会が、十一月十六日に水戸市で開かれた。私も賛同人として参加した。もし東海第二で事故があれば、広い範囲で人が住めなくなる。四季折々の風景があり、海の物も山の物も食べられる日本の素晴らしい国土を子孫に残す義務が、今を生きる者にはある。 日本医師会長を務めていた二〇一一年三月に、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起きた。医師会は、福島県を含む被災地に医療チームを送る活動を一年間続けた。 私は(福島第一がある双葉町の北隣で大部分が帰還困難区域になった)浪江町の生まれ。高校時代、授業が休講になった時に、みんなで釣りに行っていた場所に原発ができた。福島の事故後、除染がある程度進んだところで、妻と浪江の町を見に行った。除染土を詰めた袋が山積みで、あんなにたくさんどこに持って行くのかと心配になった。古里を失ったさみしさは言葉では説明できない。  旧ソ連・チェルノブイリ原発事故では、半径三十キロ圏内の住民を強制移住させた。三十年以上たった今でも、あの区域は立ち入り禁止のままだ。だが日本では「除染したから大丈夫」と言って、国民を危険なところに住ませようとしている。絶対に間違いだ。 地震や津波だけなら、犠牲者が出てもいずれは復興できる。しかし放射能汚染は違う。農業も、帰ることすらできなくなる。福島では、子どもの甲状腺がんが出ている。これからさらに増えるだろう。 (略) どうして原発を再稼働する必要があるのか。政治家が昔の「軍事大国」のような意識で、原発を持っていなければ、大国ではないとでも考えているのか。  国は、原発の電気は自然エネルギーより安いと言う。だが、東電が原発事故の被害者に支払う賠償金は、原発を持つ大手電力会社以外と契約する人も電気料金の一部として負担させられている。ふざけるなと言いたい。 (聞き手・宮尾幹成) <はらなか・かつゆき> 1940年、福島県浪江町生まれ。日本大医学部卒。東京大医学部助教授などを経て、2004~10年に県医師会長、民主党政権下の10~12年に第18代日本医師会長を務めた。茨城県筑西市の医療法人杏仁会大圃(おおはた)病院理事長。 全文は<東海第二原発 再考再稼働>(4)「除染すれば大丈夫」は間違い 元日本医師会長・原中勝征さん(79)

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社説 東電の日本原電支援 無理を重ねる原発延命策 via 毎日新聞

福島第1原発事故の賠償・廃炉に責任を負う東京電力ホールディングスが、経営難の日本原子力発電を助ける。無理に無理を重ねる構図だ。  東電は原電が再稼働を目指す東海第2原発(茨城県)の安全対策工事への資金支援を決めた。原電が自力で工事費を賄えなかったからだ。 再稼働後に原電から受け取る電気の代金を前払いする形という。支援額を明らかにしていないが、2200億円にのぼる見込みだ。 東電は支援の理由を「低廉で二酸化炭素排出量の少ない電源として期待できる」と説明した。しかし、東海第2は安全対策工事を終えても再稼働できるか疑問視されている。 (略) 原電は全原発4基のうち2基が廃炉作業中だ。2基が残るが、敦賀原発2号機(福井県)は原子炉建屋直下に活断層がある可能性が指摘され、再稼働は難しい。東海第2が動かなければ、会社の命運が尽きる。 東日本大震災後に全原発が止まった原電の経営は、東電などが原発の維持・管理を名目に払う年1000億円の基本料金で支えられてきた。 原発再稼働を推進する政府は東電の原電支援を黙認している。だが、無理を重ねて原電や原発の延命を図ろうとしても、世論や地元の理解が得られるとは思えない。 全文は社説 東電の日本原電支援 無理を重ねる原発延命策

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